第122話 本人超えの可愛い偽真由誕生!!
アルルンは真由になる為に、今にも俺の服を奪いに来そうだ。しかし、魔法で拘束されている状態では抵抗出来ない。
こんな状況で脱がされたら、マジでやばそうだ。
「お前は俺に『裸になれ』と言っているのか?」
「心配ご無用、ご無用。特別にアルルンの服を貸してあげるわけですね」
「いや、そういう……って、おい! 堂々と脱ぐな!」
「女の子同士なわけで、問題無いわけですよ」
アルルンは、何の遠慮もなく水色のワンピースを脱ぎ下着姿になりながら、その服を俺に手渡そうとした。
「君も早く脱いで、交換しよう」
「いや、脱ぎたくても拘束魔法で、手がこんな状態だったら脱げないし」
「いっしっしっしー、解除してあげるわけですね。でも、アルルンの実力はAランクに匹敵するわけですよ。君はCランク、抵抗はしない方がいいわけですね」
Aランクという事は、アルシアと同じぐらいの強さなのか!? そうは見えないのは、アホそうだからか……。
いくらAランクと言っても、俺のMPCの攻撃には対応出来ないはずだから、解除と同時に仕掛ければ倒せるだろう。しかし、悪い子には見えないから、それは可哀そうな気がする。
ここはアルルンに従っておいて、色々と情報を聞き出す方が得策だろう。上手く聞かなくてもべらべら喋ってくれそうだが。
「魔法は解除したわけですね。さぁ、脱いでもらおうわけですよ!」
「うぅ、分かったよ。でも、そんなまじまじと見るな!」
なんか見られながら着替えるのは、恥ずかしいなぁ。アルルンもミリちゃんみたいに俺に興味があるのか? そうだとしたら、ミリちゃんと気が合うかもしれないなー。
いやいや、そうなったら俺が酷い目に遭いそうだ。
そして、俺が着ていた水色の可愛いゴスロリ衣装を脱いで、アルルンの服と交換した。恐らく俺の顔は羞恥心で顔が赤くなっていることだろう。
すると、アルルンは燥ぎながら着替え、興味深々に服の細部まで見ていた。
俺も早く着替えよう。
なんか、さっきまで美少女が着ていた服を着るのも、なんかあれだな。
俺とアルルンの服装は同じ色で似ていたが、こうして見ているとやっぱり、ミリちゃんがデザインした物の方が細かく、フリフリして可愛い。
しかし、よくもまぁ、今までこんな可愛い服を着ていたものだ。
「しっしっしー、どうですよ!? 似合うでしょう?」
「うん、可愛いよ。けど、本当に俺に変身するのか? そのままでも気に入ってくれると思うが」
「アルルンの変身を侮っていけないわけですよ。アルルンの完璧な変身を見せてあげるわけですね」
アルルンは立った状態で、両手を胸の前にクロスさせて前かがみになると、全身が溶けるようにスライム状になった。
おお! 本当にスライムだったんだな。今は人型をキープしているけど、色んな形に変えられるのかな? もしそうなら、これは脅威になりそうだ。
そして、しばらくすると、単純な人型だったスライムが、段々と細かい形状に変化していくと、肌の色はまだ水色のままだが、ツインテールの髪型まで真由の身体を再現されていった。
さらに、体型が出来上がると今度は色が肌色になり、変身も完了すると、アルルンはゆっくりと前かがみだった上半身を起こし、顔を上げた。
その姿を見た瞬間俺は……。
「俺、かわええぇぇぇーーー!!」
っと叫んでしまった。
いやいや、久しぶりに真由の姿を見たが、ゴスロリ姿というのもあるけど、本当に可愛い!! けどこの真由は偽物だが、中身が女の子だからある意味本物かも知れない。
これは見た目以上に真由だ。
「しっしっしー、これがアルルンのスキルというわけですね。完璧、完璧」
「驚いたよ。これは凄いわ。これなら見分けがつかないだろう」
「いっしっしっしー、アルルンは凄いわけですよ!」
「喋り方はアルルンだけど」
何と言うか、やっぱり中身が女の子だと、一つ一つの仕草が俺と違って、一層可愛さが増している。
うーん、これは本人を超えてしまったなー。
でも、喋り方でバレそうな気はするが、どうだろう? ミリちゃんとミルネがどういう反応するのか興味が湧いてくる。
「しっしっしー、これでミリはアルルンの思い通りになるわけですね」
「ミリちゃんに何かしてもらいたい事でもあるのか?」
「それはアルルンも分からないわけで、魔王軍の指示に従うわけですよ」
「魔王軍!?」
ええー!! という事はアルルンは魔王軍……いや、あの言い方だと魔王軍ではないが、関係者という立場になるのか?
以前にコーレス先生から、魔物人間は、人間と魔物のハーフの話があったが、それは結局、味方なのか? それとも敵なのか? 当時は分からなった。
けど、アルルンが魔王軍の指示を受けている事を考えると、敵になると考える方が妥当だろう。
「アルルンは、魔族派の会長なわけですよ。いずれ魔王軍と人間は戦う事になるわけで、魔王軍には魔物が5000体いる秘密の部隊があるわけですね。だから、アルルンは魔王軍が勝つとみて、魔族派になったわけですよ。賢い、賢い」
「おお、それは凄い」
うーん、何も聞いていないのに向こうから、魔王軍の情報が手に入ったぞ。それから、魔物人間の中でも魔族派というものがあるんだな。ならば人間派というのもあるのだろう。しかも、アルルンが会長って……。
でも、魔物5000体が襲いかかってくれば、討伐隊だけで防ぐのは無理なんじゃないのか? これではジリ貧で、魔力を使い果たしそうだ。そこに魔王軍幹部まで攻め込んで来たら終了だ。
「でも、底知れぬ存在のミリがいる限り、魔王軍が勝つとは言い切れないわけですね。だからアルルンが必要になるわけですよ。いっしっしっしー」
そんなに情報を漏らしても大丈夫なのか、心配になるぐらい勝手に話してくれるよな。
そうか、確かにミリちゃんなら「ふん!」で、魔物5000体を一瞬で倒せそうだもんな。未だにミリちゃんの天井が分からないし、凄い魔法を隠していても全然不思議ではない。実際、空間を引き裂いたり、生命を与える魔法もあったわけだし。
でも、その魔法を使うか、使わないかは本人の気分次第で、そもそも戦闘に興味が無いから、実戦でどうなるか分からない。
それで隊長の俺に変身すれば、言う通りにさせる事が出来ると考えたんだろうが。
「しっしっしー、では、アルルンはミリの所に行ってくるわけですね。君はここで待っているといいですよ」
「今から行くのか? 気を付けろよ! ミリちゃんはちゃんと『ちゃん』付けしないと怒られるぞ!」
アルルンは喋るだけ喋って、外に出て行った。
うーん、あいつ俺を拘束を解除したままで、出て行ったなー。
今からミリちゃんの所に行くみたいだけど、なんか心配だ。俺も隠れてついて行こうか。
さて、俺は一体どっちを心配しているんだ?
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