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12/202

第12話 魔法使いになれる?

 傍から見た状況は、ベッドの上でブルマ姿の美少女2人が馬乗りになり、両手を押さえられているから襲われているように見えるだろう。


 今、誰か入ってきたら間違いなく誤解される。



「じゃあ、やるね」

「何をだ?」



 そう言うと、ミルネは首元辺りに顔を近づけた。




「この辺りでいいかな。ちょっと我慢してね」

「本当に何を……」

「ガブり」

「痛たたた!!! お前なんで噛むねん!!」



 ペシ!



 突然、ミルネが俺の首元を思い切り噛んだから、思わずマジツッコミしてしまった。

 スゲー、痛いんだけど血が出たんじゃないか? 

 

 何でこんな事をするんだ!?



「マユリンなんで叩くの.....」

「いや、突然噛んだりするから」

「だって起動しろって言うから、やったのにー」

「これが起動なの?」

「当たり前じゃん!」



 噛み付くだけかよ!! 

 

 もし、カリバーに起動させられていたら、あいつに噛まれていたのかよ。

 それはちょっと嫌だな。



「何も変わらないでしょう?」

「うーん、どうだろう……」


 

 実は噛まれた箇所から、今までに無い新たな感覚が広がっていくのを感じ。さらにこの感覚はコントロール出来そうな気がした。


 これが『魔力』っていうやつかな?

 

 カリバーの説明だと、俺の中にに宿っていた魔力が、ミルネの魔力によって引き出されたという事になる。


 ふっふっふー、これで俺も魔法使いになったんだー。



「マユリン、顔がにやけているよ」

「あ、いや、何でも無い」

「うーん、寒いから寝よう」

「いや、ちょっと待って」



 ちょっと、このコントロール出来そうな気がする魔力を試してみたい。

 指先に魔力を集中させてみると、なんと! 指先が少し光始めた。



「おお! 光った! スゲー!!」

「魔力を指先に集中しただけじゃん.....眠いよ」



 感覚を集中させるのは、身体強化のMPCシステムと似ているぞ。これは意外に早くマスター出来るかもしれない。明日は魔法の練習をしてみるか。



「マユリンこっち」

「お、おい」



 ミルネは俺を抱き枕のように抱いて、眠ってしまった。

 もう少し試したい気持ちはあるが、抱きつかれたこの状況では無理なので、俺も寝ることにした。


 しかし、この状況は流石にヤバい。スベスベとした肌触りが、足から伝わって来る。

 これが健全な男であれば我慢出来ないはずだ。

 

 でも俺は自制出来てしまう。やっぱり、アレが無いせいか……。はぁー。

 



 ――そして、周りが明るくなって、少しひんやりとした朝がやって来た。

 

 ブルマだと特に寒いが、人間湯たんぽのお蔭で寝心地が良く、起きるのが億劫になりそうだ。しかし……。



「ハックション!!」

「うわ!」



 突然、ミルネの何の配慮もないくしゃみで、俺は飛び起きた。


 目の前でそんな事されたら、誰だってそうなるだろう。しかし、当の本人は起きる様子もなく、幸せそうに眠っていた。

 とりあえず、寒いから先に制服に着替えよう。ミルネを起こすのはそれからだ。



「おいミルネ起きろ! そんな格好だと風邪引くぞ!」

「マユリンもう少しだけ……」

「駄目です」



 ミルネは朝がかなり弱いみたいだ。

 しかし、このままだと遅刻だし、風邪を引くかもしれないから、俺はミルネを叩き起こすことにした。


 

 そして、すぐに食堂で朝飯をとった。相変わらず代わり映えしないジュレだけだったが。



「マユリン、他のジュレを混ぜて食べても美味しいよ」

「ほー、そういう食べ方もあるのか」

「どう?」

「これはひどい」


 ベシ!


「いて! おい蹴るなよ!」

「マユリンのバカ!」



 いや、本当に不味かった。

 

 例えるなら、コーラが飽きたからと言って、オレンジジュースを混ぜたら美味しくなるかという話だな。

 

 早く味を変えれる魔法『テイスト』を習得したいところだ。

 ジュレで腹が一杯になっても、何か満たされない食欲が残ってしまう。いつか爆発しそうだ。


 


 ――そして、朝食後、俺はミルネと別れて授業の予定表がある掲示板の前にいた。

 

 今日は……あ、一発目に『討伐の編成と戦略』の続きがあるなぁ。

 魔力が使えるようになったから、技能系の魔法の授業に出ようかな。


 いや、墓穴を掘るかもしれないから、もう少し魔法に慣れてからにしよう。

 別に全部出る必要ないから、後半は自主練でもしようかな。



 俺は『討伐の編成と戦略』の授業が行われる教室に向かい、前回同様後ろの席に座った。

 やはり前の席は、これまた前回同様ケイト先生目当てに、女子が陣取っている。

 


 キン、コン、コン


 

 この適当チャイムは、もしかして魔法か?

 

 暫くすると、昨日と同じように前の方に座った女子達がざわめき始めると、ケイト先生が教室に入ってきた。


 まともや黄色い声援が飛び交った。

 

 

「はい、前の方静かに。授業始めますよ」

「はーい!」

「では『討伐の編成と戦略』の授業を始めます。今日は『討伐隊の編成』についてお話します」

「はーい!」



「討伐隊には討伐隊長を中心に編成されます。隊長は基本『Sランク』の魔法使いがなります。そして、隊長の権限で、メンバーを選定することが出来ます。基本的にSランクの権限は絶対的であり、A以下のランクの者は従わなくてはいけません。でも、討伐隊の中では隊長が絶対的であり、そのメンバーは従わなくてはいけません」



 やはり『Sランク』の権限は絶対的なんだ。



「実際、隊長になるのはSランクしかいませんので、混乱とかは起きないでしょう」



 確かに隊長がAランクでメンバーの1人がSランクだったら、揉めそうだな。



「隊長はSランクの権限によって、Aランクから戦力のメンバー3~8人選定し、サポータにBランクを何人か選定して、討伐隊を編成します。もし、隊長がAランクであると、権限が無いため自主的にお願いする形になってしまうので、思うように集まらないでしょう。Bランクには指示は出せますが」



 面談の時に「討伐隊の依頼があれば従ってもらう」という話はこれの事か。Cランクの俺には関係の無い話だけどね。



「メンバーの選定には、戦術に合わせなければなりません。私達は総合魔法だから何でも出来ますが『魔動拳』『魔法剣術』などの接近戦タイプや『魔動砲』など遠距離戦があります。それらは――」



 カーン



 ん? なんだ? いきなり鐘が一発だけ鳴ったぞ。

 するといきなり放送? みたいにどこからか聞こえてきた。



(お知らせします。ただ今、偉大なる魔法使いSランク最強クラスのダンロッパさんが率いる討伐隊『ロイヤルクラウン』が、帰還されました。御出迎えを行いますので、皆さんは講堂に集まって下さい)



 偉大なる魔法使いね……。なんか独裁的な匂いがするぞ。



「皆さん! 今聞いた通りダンロッパさんが帰って来られたので、御出迎えしましょう!」

「はーい!!」



「今年入った人の為に説明しますね。ダンロッパさんは、討伐隊の総隊長でもあり、今活動中のSランクの中でも最強だと言われてます。だから、敬意を表して御出迎えしましょうね」



 この学園ではこの『ダンロッパ』という人が一番偉いのかな? 


 しかし、放送では「最強クラスの」とか、ケイトさんは「今活動中の中では」とか、素直に最強と表現しないのは、まだ上がいるという事なのかな? だったら、ダンロッパという魔法使いを持ち上げるような言い方をするということは、忖度でもあるのかな?


 もしかして、組織に侵入した魔法使いかもしれない。これは確認しなくては。



 俺は講堂に向かい、人の流れに身を任せた。

 講堂には続々と人が集まり、先生達が誘導していた。


 この講堂は舞台の前には椅子が並んでおり、あとは立ち見だ。舞台は5段高くなっており、両サイドと奥に椅子があった。



 ミルネも来ているかな? 

 講堂は一般的な体育館よりは少し狭い。人は150人程度はいそうだ。


 その内ほとんどが立ち見側に集まっている。Sランクはどこに座るのかは分からないが。


 ミルネは……いた! 立ち見側の一番前にいるな。

 俺はミルネの所に行った。



「よっ、ミルネ!」

「……。」

「おーい! ミルネさん!」

「……あ、マユリン……」



 今朝はあんなに元気だったのに、今はなぜかしょんぼりしていた。

お読み頂き、ありがとうございます。


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