表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

110/202

第110話 スク水姿で一緒に寝る?

 ようやく、俺は拘束魔法から解放された。

 

 2人とも妙にテンションが高く、今真面目な話をしても聞いてくれないだろうから、落ち着くまで言う通りにしておこう。


 俺は2人に引っ張られる形で小屋のドアまで行き、そして、中に入った。


 すると……。



「宿泊料取れそうだな」



 部屋の中は結構広くて、メルヘンな雰囲気が漂わせていた。お菓子みたいなテーブルに椅子が4脚あり、この椅子の数はアルシアの分も入っているんだろう。

 そして、隅っこには荷物が置いてあり、微妙なサイズのベッドが1つあった。


 なぜ微妙かと言うのは、ベッドが3台あれば1人1台なんで広々と使えるが、ここに3人が寝るとなるとかなり身を寄せないと厳しい。もちろん、計算通りに設計しているのは言うまでもない。



「マユリン凄いでしょう!」

「ミリも頑張った」



 うーん、褒めて欲しいのか、2人とも目をキラキラさせながら俺の反応を見ている。でもここはちゃんと言わないといけない。一応俺は討伐隊隊長なわけで……。



「うーん、凄いけど……一応俺達は討伐隊なわけだし、今もまだ任務中で……しかもここは魔王軍領域だから、あまり目立つようなことは――」


「マユリン、ミリちゃんの眼を見て話さないと」

「ヒィッ、い、いや、うん、はっはっはー、凄いよ、よく頑張りました。今晩はいい夢が見れそうだ」



 またスク水姿で拘束されるのはもう御免だ。それにミルネに言われなくても、すでにミリちゃんの圧を感じ取っていたからね。



「マユリン、あそこのテーブルで夕食にしよ」

「そうだな、俺もお腹空いた」



 全然着替えようとしない2人を見るとやっぱり、この恰好で食事をするのね。

 俺は鞄からジュレを取り出し、テーブルに並べて行った。


 しかし……。



「何か物足りないよな?」

「また塩焼きが食べたい」



 そう、それなんだよな。 

 最近はジュレにすっかり慣れてしまっていたから、特に気にしなくなっていたけど、昨日の塩焼きを食べてしまった事で、この世界に来た頃みたいに物足りなくなってしまったようだ。


 でも今から釣りは流石に面倒くさい。



「うーん、気持ちは分かるが今日はジュレだけにしよう。このジュレだって、アルシアが作ってくれたものだから、ありがたく頂こう」


「そうだね」



 ここで不満を言ってしまっては、アルシアに申し訳ない。このジュレがある限り飢える事は無いからありがたく思わないと。でも、アルシアが戻って来た時には、塩焼きをご馳走したいなぁ。

 

 きっと驚くに……いや、今頃美味しい物を食べているかもしれないな。 

 元気を取り戻して俺の世界を楽しんでくれたらいいんだけど。




 そして、夕食も済ませていよいよ就寝の時がやって来た。もちろん、まだスク水姿だ。



「なぁ、本当にこの恰好で寝るのか? 風邪引くぞ」

「大丈夫だよ。それよりマユリン、なんかお腹がまだ満たされないよ」

「ミリも」

「うーん、それは俺も同じだ」



 2人ともベッドの上で座って、寝ようとしなかった。確かに何か物足りなさはあるが、どうしようかな?

 そういえば、鞄の中にまだ乾パンが残っていたはずだ。3人で分けるには物足りないかもしれないが、無いよりましだろう。

 

 俺は鞄の中から乾パンを取って、ベッドの上に体育座りしているミルネと、布団にもたれかかっているミリちゃんに差し出した。



「これ食べるか? 少ししか残ってないが、これも俺の世界の食べ物で、乾パンというやつだ」

「何これ!? 食べる!」

「ミリも!」



 ミリちゃんも珍しく、乾パン欲しさに声を上げ、2人とも貪るように食べた。

 余程美味しかったんだろう。



「俺の分もやるよ」

「ありがとうマユリン! これ美味しいよ!!」

「ミリも!」



 ミルネはまだ座ってるからまだいいが、ミリちゃんは布団にもたれて食べてるせいか、水着の上に乾パンの破片をボロボロと零している。慣れない食べ物だから仕方ない面もあるが、行儀悪いから注意した方がいいだろう。



「ミリちゃん、座って食べようよ。乾パンがこぼれてもったいないよ」

「じゃあ、真由ちゃんにあげる」

「へっ?」



 どういう思考回路しているのか? 姿勢を注意したはずが、俺がこぼれた乾パンを欲しがっていると勘違いしたのか?



「いや、そう言う……こ……とでは……な」



 段々とミリちゃんの眼が、例の『ジト目』になって行き、俺に対するプレッシャーは相当なものになって来た。いつかちゃんと“駄目なものは駄目”と言わないといけないが、今はこんな格好だし、怖いし、止めておこう……。


 ……。


 ううっ……。



「真由ちゃん、早く」



 ミリちゃんは、お腹辺りにこぼれた乾パンの破片を食べろと言ってきている。でも、それを食べるのはちょっと屈辱だぞ……。



「分かったよ……」



 やっぱりミリちゃんはドSだ。




 そして、いよいよ寝る時が来たが、やっぱりこの格好で寝るらしい。しかも……。


 これはハーレムなのか?


 俺を真ん中に挟んで抱き付くように寝ている。

 スク水の独特の肌触りと、普通のパジャマに比べて露出度が多いと、なんかこう……うん、悪くないね。


 って、何言ってるんだ俺!

 なんとかこのスク水をやめさせないと。

 この格好で、ベルリア学園に行きそうで怖い。


 

お読み頂き、ありがとうございます。


気に入って頂ければ、ブックマークや↓の☆をクリックしてくれますと、モチベーションが上がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ