表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/202

第11話 俺の話を聞けー

 俺とミルネは先に食事を済ませた。食事と言っても『ジュレ』というゼリーみたいなもので、燃料補給をしたと言った方がいいだろう。


 部屋に戻って、なんとか自然に『起動』の話を切り出そう。それで俺も早く魔法使いに……。

 


「ちょっと、話したい事――」

「マユリンはもう『クリーン』したの?」

「は? え?」



 今、何て言ったんだろう? 俺も喋ろうとしてたから、よく聞き取れなかった。

 クリーニングって言ったのか? この学校はクリーニングしてくれるのかな……。



「いや、まだ……だけど……」

「さっさとやって、早く寝ようよ」



 もう寝るのかよ! ミルネが眠くなる前に話をしないと。



「まぁ、風呂に入る時に出すよ」

「ふろ?」

「うん、風呂……だよ」

「ふろってなあに?」



 えぇぇぇー! この世界は風呂が無いのかよ。



「ほら、こうやって身体洗って、お湯に浸かるやつ」

「魔水浴のこと?」

「えっ! 麻酔浴?」



 今、麻酔浴って言ったのか? 何だよ、そんな危なっかしいものは? 

 


「マユリン、さっきから何言ってるの?」



 もしかして、身体を洗ったりしないのか!? いや、そんな事は無いはず.....。

 また、魔法で何かするんだろう。



「い、いや、あれだよ。魔法で身体を洗う? 綺麗にする? あれだよ」

「さっきから言ってるじゃん。『クリーン』って」

「ああ、それね……クリーンね……。聞き間違えたよ」

「マユリンって、たまに変な事を言うよね」

「ははははぁ……」



 こういう基本的な知識なら、この世界に来る前に準備出来たはずなのに。

 前情報無しだからこうだよ。



「じゃあ早くクリーンして寝よ」

「う、うん、そうだね……うん」

「どうしたの?」



 ここで『起動』の話を切り出してみるか。早くしないと寝そうだしな。



「実は、ミルネに頼みたいことが――」

「分かった! 授業で魔力使い過ぎてもう残ってないんでしょう! あたしがやってあげるよ」

「うん、頼むよ」

「クリーン!」



 都合良く解釈してくるのは助かったけど、俺の話を聞いてくれー。

 

 すると、俺の足元に魔方陣が現れ、青い輪っかの放物線みたいなものが上がっていき、頭を超えた付近で消えた。以前にカリバーが魔法の『解除』をした時と同じような感じだ。

 


「ありがとう。なんかカラっとして気持ちいいよ」

「マユリンも、魔力は節約した方がいいよ」



 節約も何も俺は魔力を一切使ってないから。

 いや、この魔力の話を利用して、再起動の話題に持っていきやすくなりそうだな。

 

 とりあえず、ミルネが制服から寝間着にデザインしたから、俺も制服からジャージに着替えよう。


 そして、着替え終えてベッドの上に座った。

 もう1回トライだ!

 


「なぁ、ミルネ。ちょっと魔力で――」

「あ、そうだ! マユリン聞いたよ!」

「俺の話を聞けー!!」



 わざとか!?



「ん? マユリンどうしたの?」

「いやお先にどうぞ。その代り、それが終わったら俺の話を聞いてくれよ」



 何を聞いたのかは知らないが、ミルネは俺に話したそうにしているし、俺も気になるから、それが終わってからの方がいいだろう。



「わかった。マユリン、今日の体力トレーニングの授業で、可愛い運動着にデザインしてたんでしょう。あたしもそれ教えてもらったんだ」


「あの女子の中に知り合いがいたんだ」

「実はあたし、体力には自信があるんだ。だから、体力系の授業も他にも色々出ているから、知ってる子がいるんだよ」



 体力に自信ね……。



「へぇ、そうなの」

「あたし、腕立て伏せ3回出来たんだよ。凄いでしょう?」



 この話題の前に授業に出て良かった。もしその辺りの事情を知らなかったら、馬鹿にしていただろうな。俺は100回は普通に出来るぞ。



「凄いよ! ミルネ。先生でも5回って言ってたのに」

「えっへん」

「話はそれか?」

「違うよ。マユリンが着てた運動着のデザインを教えてもらって、マスターしたよ!」



 なんか、ミルネの目がギラギラとしているなぁ。余程、出来た事が嬉しいんだろう。  



「ほう、ブルマに変えれるのか」

「マユリン見て! 運動着にデザイン!」

「今、やるのかよ!」


 

 ミルネが魔法をかけると、服装がブルマになった。完成度も文句なしのレベルだ。 

 しかし、ベッドの上でやられると、ブルマ姿はエロい。ミルネの足も綺麗だし。



「なかなかの再現度だと思うよ」

「でしょう! えへへ」


 

 なんか凄い嬉しそうだな。この子は褒めると伸びるタイプか?



「触り心地もいいよ。触ってみて!」

「えっ!? おい!」



 ミルネは俺の手を掴み、強引に触らせた。ミルネ的には、デザインの完成度を見て欲しいからだと思うけど……。



「ねぇ、どう?」

「どうって言われても……。とても良かったと思います」

「なんでそんな喋り方? 目線も違う所を見てるし!」



 これは自主規制というやつだ。

 不覚にも、ブルマ姿のミルネの足にエロさを感じてしまったからな。

 

 これ以上刺激されたら、ベッドに押し倒してしまいそうだ。

 一応、俺は「羊の皮を被った狼」だからね。



「もういいだろう。今度は俺の話――」

「運動着にデザイン!」

「えっ!」



 ミルネは俺に魔法をかけ、ジャージをブルマに変えられてしまった。



「さむっ、何やってるんだよ!」

「だって恥ずかしそうにしてたから。これで分かるでしょう?」



 なんで俺までブルマ姿にならなきゃいけないんだよ! 流石にこの恰好は寒いぞ。



「完璧に出来てるのは分かったから、元に戻してくれよ」

「えへへ、あたしも魔力を使い果たしたみたい」

「バカなのか! さっき『魔力の節約しろ』みたいな事言ってたよな!」

「いいの! 一晩寝れば魔力は復活するんだから」



 一晩、この恰好で寝るのか!? 夏なら悪くないかもしれないが、今はちょっと寒いぞ。



「寒いぞ! こんな薄ペラの布団で、こんな格好で寝たら風邪引くぞ」

「こうすれば大丈夫!」

「うわわ!」


 

 ミルネは俺を押し倒し、今朝のように抱きついてきた。

 体力に自信があると言うだけの事はあって、なかなかの力だ。それとも俺が軽過ぎるからか。



「マユリンも早く」



 早くと言われても、俺から抱くのは遠慮しよう。

 しかし、ミルネの身体は震えていた。寒いならそこまでしなくてもいいのに。

 

 もしかして、部屋に戻る時に「遅い!」って俺に言ったのは、これを早く見せたかったからじゃあないだろうな。

 


「震えてるけど大丈夫か?」

「マユリンが暖かいから大丈夫」

「ならいいけど」

「ところでマユリンの話ってなに?」



 そういう空気ではなくなったが、もう考えるのが面倒になってきた。もう普通に聞くか。



「えーと、魔法の起動で――」

「ハックショーン!!」

「汚ね! 顔が近いんだからもっと遠慮しなさい! 俺が聞きたいのは――」

「ハックショーン!!!」

「犬みたいなクシャミをするんじゃない!」


  

 犬のくしゃみみたいに顔を大きく揺らすから、その度に俺の顔にぶつかる。



「ごめんごめん、もう大丈夫だから」


「罰として、俺の言う通りの事をやってもらうぞ。もちろん疑問点があっても聞き返さないように」

「なに、ちょっと怖いよ……」



 ちょっと強引だが、これだけ話を止められたらそうなるよ。あと、もう面倒くさいし。



「最近、魔力の調子が悪いから、もう一回『起動』をして欲しいんだが」

「マユリン、それ関係ないと思うよ」

「反論も禁止! 頼むよ、起動してくれよ」

「別にいいけど、何も変わらないと思うよ」



 よし! 直球だが結果オーライだ。



「もし、魔力が必要なら明日でもいいし」

「魔力はほとんど使わないから、大丈夫だよ」

「じゃあ、お願いします」

「マユリン、仰向けになって」



 俺は言われた通り仰向けになった。すると、ミルネは起き上がり馬乗りになった。

 そして俺の両手を押さえつけた。



「えっ? ミルネさん一体何を?」

「ちょっと痛いけど、我慢だよ」

「痛いだと?」

お読み頂き、ありがとうございます。


気に入って頂ければ、ブックマークや↓の☆をクリックしてくれますと、モチベーションが上がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ