第10話 体育はやっぱりブルマ!?
この世界の体操着はブルマ何なのか?
制服はこちらとそんなに変わらなかったわけだし、やっぱりそうなのかな? それに、この世界には遊びで来ているわけではない。任務で来ているわけだから、流石にそんな冗談みたいなことはしないだろう。
一応、着替えておくか。
この世界は魔法の『デザイン』で衣装チェンジするに違いないから、更衣室とか無いはずだ。
いや、覗きたいとか、そういう目的ではない。ここでしか着替える場所がないということだ。
俺は制服を脱ぎブルマに着替えた。
俺が小学生の時はもう短パンになっていたから、実際見るのは初めてだ。まさか自分が履いたやつになるとは思わなかったが。
服をブルマの中に入れる方がいいのかな? いや、出す方がいいのかな?
おお! 真由の身体だとよく似合う。鏡があれば全体も見てみたい。
というかこれエロいなぁ。もし学生時代に女子がブルマだったら、楽しみが増えただろうに。だから滅びたのかな?
さてと、そろそろグランドに行かなくては……。
うーん、でもこれで外に行くのは恥ずかしいな……。
よし、この上から制服着よう。
しかし、この世界って、魔王軍が人間を滅ぼそうとしている状況なのに、ブルマがエロいとか恥ずかしいとか言ってるのは、かなり温度差があるよな。
それは『討伐隊』が陰で頑張ってくれてるお陰かもしれない。
俺も組織で影ながら守ってきたんだから、この世界では守られる側で、平和に過ごしたいね。
俺はグランドに出る直前で、制服を脱ぎ木陰に置いて授業に出た。
参加者は15人ぐらいで、今回一番少ない人数だ。
男女比率はちょうど半分ぐらいで、分かれてやるようだが。
しかしここでも俺は注目を浴びてしまった。
なぜなら、ブルマは俺だけだったから。
あいつら、本気で任務を舐めていやがる! 帰ったら説教だ!!
みんなの服装は、男も女も質素な半袖短パンという感じだ。
当然だが、男子からは離れた所からガン見され、女子は物珍しそうに俺の周りに寄って来た。
「ねぇ、これあなたが『デザイン』したの? 初めて見るよね」
「あ、う、うん」
一応、適当に答えたが、女子達に囲まれて逃げられない。
「いいなぁ、可愛いいなぁ。ねぇ、もっと見せて。いいでしょう?」
「いや、あ、あんまり見られるのも」
「あたしも見せて!」
「私も!」
やばい、バーゲンセールの争奪戦みたいになって来たぞ!
「私も見たい!」
「なんか触り心地いいね」
「おい! 触るな! あっ」
いつの間にか俺は女子7人に『襲われていた』と、言っても過言ではない状況になってしまった。
中には脱がそうとしてきた子もおり、みんなブルマというものを詳細に調べていた。
そして、暫くすると、女子達は指先に魔力を集中し始めた。
「デザイン!」
すると1人が『デザイン』と魔法を使うと、俺と同じブルマ姿に変わり、残りの女子も次々とブルマ姿になっていった。
これで俺1人が目立つことはなくなったから、良かったとすべきだが、男子の視線は凄いものを感じる。
キン、カーン、ポン
授業が始まり校舎から、40代ぐらいの男性がやってきた。どうやら、先生は1人でただ男女に分かれているだけのようだ。
「おっ、あ、俺はBランクのドンボだ!」
今、女子達のブルマ姿に動揺したな。
「いいか! この授業では魔法は一切禁止だからな!」
「「えーー」」
他の生徒は大ブーイングだが、俺にとってはその方が助かる。
「魔法ばかり頼ると体力が落ちるからな! 俺なんか腕立て伏せ5回は出来るし、ランニングも300メートルは走れるぞ!」
「ぶっふふ、腕立てが5回で、ランニング300メートルって」
俺は思わず吹き出してしまった。
あれだけ啖呵切って、腕立て伏せ5回は笑うだろ。
しかし、そう思ったのは俺だけで、先生は少しご立腹のようだった。
「なんだお前は!? 腕立て5回がそんなにおかしいか!? 5回だぞ!! 5回!! それにランニング300メートルだぞ!」
「いや、あの……」
頼むから5回とか連呼しないでくれ、笑いを堪えられなくなる。
しかし、この世界は5回出来ることがそんなに凄いのか!?
「分かったぞ! 俺が5回も出来ないと思っているんだろう!?」
「いや、あの俺じゃなくて私は、1回も出来ないから、5回も出来る人いるのかな? って」
俺は咄嗟に先生に合わせて、そういう風に言うと、先生は得意げな表情に変わった。
「がっはっはっはー! そうか、そうか、分かるぞ! では見せてやるか! 先生が腕立て5回やる所を!」
先生は頼んでもいないのに、腕立て伏せの構えとり、もの凄い声を出して気合を入れた。
「ぬぅぅぅぅぉぉおらー!!」
俺はこの滑稽な光景に、笑いを堪えるのに必死だった。どんな罰ゲームだよ!
「はぁ、はぁ、どうだー!! 凄いだろー!! 今日は調子が悪かったから4回だったがなー」
5回すら出来んのかーい!! って、心の中でツッコミを入れたが、周りは違った。
「先生ー、凄ーい!!」
「がっはっはっはー! とりあえずお前らも1回やってみろ!」
「えーー無理だよ!」
どうやら、1回でも出来れば凄いみたいだけど、大丈夫か?
男子は辛うじて1回出来たようだが、女子は全滅だった。俺も周りの女子に合わせて1回もやらなかった。
「じょ、っじょ女子は全滅か! 気合が足らんぞ!! もっと集中しろ!」
お前もまだブルマに動揺してるじゃないか!
「よし、今度は20メートルランニングだ!」
すぐ終わるだろ!
……。
……。
こうして、今日の授業は終わった。
体力トレーニングというよりは、リハビリをしている感じで、ここの世界の人の体力無さには本当驚いた。
何でも魔法でやろうとしているせいじゃないか?
俺は制服に着替え寮に戻ることにしたが、まだ時間もあるし、これからについて一度考えを整理しようと思い、校舎の屋上に向かった。
ここからの眺めは周囲が見渡せるな。しかし、もう少し柵を低くしてくれたら良かったのに。
俺が小さいからだけど。
でも、気がつけばもう夕方だ。
時計が無いせいか、時間が経つのが早いような気がする。朝食で食べた『ジュレ』の腹持ちがいいのか、腹もあんまり減っていない。
さぁ、これからどうするか?
ここならゆっくりと考えれそうだ。
今回の任務の1つ、この世界に逃げた魔法使いの調査だけど、向こうは俺が美少女になったことを知らないから、バレる心配はない。
それに、Sランクだから普通に過ごしていても、そのうち分かるような気がする。
そしてもう1つ、俺が魔法を使えるようになる事だ。
この世界にいる以上、魔法が使えなくては生きていけない。
しかし、魔法を使えるようになるには、魔法使いに『起動』という魔法? をしてもらわないといけない。
今、それを頼めそうな魔法使いはミルネしかいない。
問題はどうやって頼むかだ……。
俺は一応、Cランクの魔法使いになっているのに『起動』をお願いするのは矛盾する。だから、なんか理由をつけて頼む方がいいだろう。
例えば、魔力の調子が悪いからもう一回起動して欲しい。
そう再起動……なんかパソコンの再起動みたいだな……。
それにしても日が暮れると寒いな。部屋に戻るか。
俺は考え事をしながら部屋に戻りドアを開けると、部屋の中はミルネの魔法? なのか明かりは付いていた。
もうミルネは部屋に帰っていて、俺の姿を見るとこっちに寄ってきた。
「マユリン遅い! 夕食待っていたのに!」
よし、今晩中にミルネに起動してもらうぞ。
そして俺は魔法使いになる!
「マユリン?」
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