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爆縮と体温の機知(13)

夏の天道虫

圧倒的な物理による力には

道徳心も倫理観も敵うことはない

道徳心も倫理観も

弱者側の論理である

それを踏まえていれば

どちらの武器も手に入るのが

世の中というものである


圧倒的な物理による力を持つ者が

弱者側の話に耳を傾け

道徳心や倫理観に基づき

その通りであると矛を収めたなら

圧倒的な物理による力を持つ者には

最低限の道徳心や倫理観があると

周りに勘違いをさせることが

可能なのである

そもそも、道徳心や倫理観がある者が

身勝手に、もしくは巨大な理由も無く

他者へ矛を突き出すことはないという

当たり前のことを忘れてしまうのは

何故なのだろうか


しかしながら

それを繰り返し行えば

圧倒的な物理による力に加えて

弱者にとって最大の武器である

道徳心や倫理観を

手に入れることができるだろう

それが俗に云う独裁者であり

一人の人間が

最大のパフォーマンスを

実行できる状態でもある

個人主義の最大化が

独裁者になることなのだ


世の中というものは

他人が他人の武器を奪い

他人の未来や価値を

変質化させる状態である

生存競争は

見えるものだけで行うことではない

知能が発達すると

見えないもので

行うようになるのかもしれない

だが

それが曇りのない人間の姿である

根幹の流れは変わらないが

頭でっかちになった命の戯言として

表面に浮き上がった

綺麗なだけの膜として

毎日の中に置かれているのである






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