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リヴァイバー・ゼロ  作者: 風降よさず
First Match
324/596

041

「そっか、小城が……」


 ……あいつ、最後まで残る気満々だったのに。


 ちゃんとブザーが鳴っていたから、小城がやられてしまったのは間違いない。

 ……さすがにそんなところまでは改ざんできないだろうし。


「ご、ごめんなさい。私がもっと、しっかりしていたら……」

「あなただけでの責任ではないでしょう。それを言い出したらきりがありませんよ」

「は、はい……」


 腕を掴んで抑え込むのが小城の役割だった。


 だから、攻撃を受ける可能性も一番高かった。

 話し合いの時にも話題になったから、きっと小城も最大限警戒していた。


 それでも防げなかった。

 近くにいたイリアや東雲さんでさえ分からないような方法で、突如やられた。


「俺も同感。目に見えないなら本当にどうしようもないし。攻撃の手口だけでも、なんとか分かればいいんだど」


 なんとか二人とは合流できたけど、引き返すに引き返せない。


 こうして物陰に隠れている間に向こうが準備を進める事くらい分かってる。

 分かっているけど、下手に飛び出せばそれはそれでやられてしまう。


「それがその、本当に分からなくて……。小城くんも、何が起きたのか分かってない感じだったから……」

「前回のような派手さを捨ててきたと考えるべきでしょうね。今のところは」

「派手さ……。派手さかぁ……」


 それは分かるけど、地味かつ威力のある攻撃手段というのが分からない。


 普通に魔法を使えばやりようはある。

 あれだけ教えてもらったんだし、知っている魔法をそれとなくアレンジするなりすればいい。


 だけど今回はそうじゃない。

 さっき使った小型の魔法陣も、線状に高火力をぶちかますためのものだし。


 そんなものがあっても、東雲さんが思い出してくれたと思う。


 それでもと思ってみたけど、やっぱり心当たりもなさそうだった。


(あの陣の魔法の範囲を更に絞り込む……なんて、できないよなぁ……。いくらなんでも)


 無理に狭めようとしても、抑え込もうとした何かを壊しかねないし。


 溜めそうにも試せない。

 というより、絞り過ぎたらそれはそれで一点にかかる力が大きくなりすぎて危険なことになりそう。


(だからきっと、何かしらのからくりがあるんだろう……けど――)


「あ、そうだ。ちょっと二人とも、軽く服の上からはたいてもらっていい? 何か着けられてるかもしれないし」


 物音は断てないように、だけど見落としのないように遠慮なく叩く。


 それでも落ちてくるのは砂ぼこりだけ。

 小さな紙が貼りつけられているとか、そういうことも特にない。


「……そのような代物があるのなら、あなたが聞いた時点で思い出していたのではありませんか?」

「それでも一応、念のため。勝手に改造なんてしてたら分かりようがないし」

「過大評価が過ぎますよ」

「まあまあ、念のためと思って」

「……あなたがそこまで言うなら、構いませんが」


 小城には2811の人を捕まえてもらっていたから、その隙に何かを仕掛けられていてもおかしくない。


 それこそ、気付かれないようにこっそりと張り付けるとか。

 イリアの言う通り、現地じゃなくても実現できるようなこととは思えないけど。


「えっ、え……? 天条くん、どうして自分のことを叩いて……」

「もしかしたしたら何か仕掛けられてるかも、って。俺もさっき、向こうの人とやり合ったから念のため――」


「そういう趣味だからですよ」


「こんなときになんてデタラメ吹き込もうとしてくれるんだこの野郎」

「違いますよ、桐葉。こんな時だからです」


 これっぽっちも違わない。


 そもそも出鱈目を吹き込んでいいタイミングなんて一瞬もない。

 根も葉もない話を広めようとするなんて、恐ろしいったらない。


 しかもよりにもよって、イリアがそれらしい表情で話せば信じてしまいそうな東雲さんに向かって。


「えっ、と……あの、そういう、って……どういう……?」


 小城みたいに茶化して流してくれるわけでもないし。

 今の一言で軽くパニックになりかけてる東雲さんに、そんな余裕はなさそうだし。


 イリアの言いたい事は分かるけど、だからって何もこんな方法にしなくていいのに。


「まだ負けと決まったわけでもないでしょう。それなのにこの世の終わりのような顔をしているようでしたから」

「そんな顔、一瞬もしてないんだけどな。俺」

「えぇ、もちろん。分かっていますよ。あなたがこの程度で投げ出すことがあればそれこそこの世の終わりでしょう」

「そこまで言わなくてもよくない? なぁ」


 褒められてるのか貶されてるのか。


 イリア本人は満面の笑みを浮かべているのがまたなんとも。

 楽しいか。そんなに楽しいのか。デタラメを吹聴したりして。


「…………?」


 東雲さんは完全にフリーズしていた。


 さっきまでの重苦しさの欠片もない。

 ただでさえ意味不明な内容なのに、タイミングが最悪すぎる。


「もしもし、東雲さーん? 大丈夫、聞こえてるー?」

「……ぇ…………あ、は、はいっ!!」


 だって普通、思わない。


 なんとかその場を離れたばかりのタイミングに。

 相手の攻撃方法も分かっていないところに、そんな話。


「えっと、あの……もしかして、私のこと……?」

「あなたの他に誰もいないでしょう。まさかあそこまで驚くとは思いませんでした」


 驚いてもらわないと困る。

 いきなり自分の身体をぶっ叩いて喜んでも誰にも疑問を持たれないなんて、いくらなんでもヤバすぎる。


 イリアだって他の人が同じことを言ったら絶対許さないくせに……


「それは、その……天条くんがそんなことするとは思わなくて、それどころじゃなかったっていうか……」


 ……妙なことしなくて本当に良かった。


 美咲に話をした時点で、そもそも実行に移すつもりなんてこれっぽっちもなかったけど。


 ちょっとがっかりされるような行動をとったくらいでそこまで認識がひどくなるなんて思いたくもないけど。


 こんなことを言われるならもうやらない。絶対にやらない。考えもしない。


 想像するだけでも恐ろしい。

 そんな風に思われるなんてぞっとする。


「でも、その……ありがとう……。おかげで少し、落ち着けた気がする……」

「感謝をされるようなことではありませんよ」

「本当、さっきの件に関してはしなくていいから……」


 今度はまたどうしてくれたんだろう。


 単独行動が納得いかなかったのか、それ以外か。


「あなたがいきなり自分のことを叩き始めるからですよ」

「ちゃんと事前に予告したんだけど。俺。そこまで強く叩いてないし」


 とんでもないことを言うのは決まって何か思うところがある時。


「事前……事前…………?」


 衣璃亜に何度もあんなことをされたらさすがに凹む。


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