一章 一話 生まれ変わり
俺は知らない所で目が覚めた。
まるで空の中にいるような場所だ。
足場は中世ヨーロッパの遺跡にありそうな石のタイル。
俺の周りにはしっかりとした足場があるが、少し先に目を渡すと石のタイルが途切れている。
更にその先は石のタイルが浮いている。
こんな所なんて今までに全く見た事がない場所だ。
いや、そもそもいままで俺がどんな所にいたのか、どんな生活を送ってきた事すら覚えてない。
ただ一つ言える事がある。
それは・・・
めっちゃ厨二心がくすぐられる事だ!
すると突然目の前に人魂が現れた。
「起きたか」
俺はこう返した。
「ここはなんだ?」
人魂は少し間を置いて返した。
「やはり覚えていないのか」
その後こう続けた。
「お主は老人をかばって死んだのじゃ」
俺超かっけえ!、そう一人で思ったのだ。
人魂はさらに続けた。
「お主は善行をかさねていたので来世を選ぶ権利がある。
どんな人生でも言うが良い」
ここで二つ候補が出た。
一つ目は正義の騎士として王のために剣を振るう人生。
二つ目は最強の悪として他国を侵略しまくる人生。
人魂は俺の心を読んだようにこう言った。
「その二つを同時に体験する事も可能じゃ」
俺は迷わず「それで!」そう答えた。
消えゆく意識の中で人魂の無表情な顔が一瞬、歪んだように見えた。