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鉄壁のギルガⅣ ~リンゴール戦記Ⅱ~  作者: 金剛マエストロ
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7 ~強敵~

スケルトンロードと対峙する鉄壁メンバだが・・・

 ブンと、空を切り裂いて、剣の切っ先が目前に迫る。

 ガツンと、鈍い音をたててスケルトンロードの斬撃は盾で逸らされ、その力を空しく散らす。

 盾の持ち手であるギルガは、わずかに呻く。

(さすがは特級。

 気を抜く余裕は与えてくれないか。)

 ゴゥンと、地の底から聞こえてくるような低い響きとともに、スケルトンロードの大剣が爆ぜる。

 ギルガの前方に割り込んでいたのは、ニナの逞しい背中だった。

「格上って言っても、ナイトゴーレムの時ほどじゃないね!」

 敢えて軽口を叩くのは、自身を鼓舞するためだ。

 大剣の切っ先が遠く離れるのを見て取ると、ギルガは一気に距離を詰め、盾ごとスケルトンロードの足に体当たりをかませる。

 ガンと弾かれつつも、スケルトンロードがわずかにバランスを崩す。

「でぇいッ!」

 ニナの蹴りが、スケルトンロードの膝の内側に打ち込まれる。

「いたたたたあッ!

 なんて硬さだよ、コイツ!」

 蹴った方の足を抱えて、ピョンピョン跳ねるニナ。

「結界の効果が薄いのか?」

「魔力の練りが足りないってことかい!」

 そう言って、両の手甲を打ち合わせるニナ。

 ニナの体内の魔力が急速に高まる。

 紅色の揺らぎを纏いつつ、ニナの拳がスケルトンロードの剣を迎え撃つ。

 ゴッとくぐもった音、飛び散る火花。

 スケルトンロードの懐に潜り込んだニナの拳が一閃、きらめきを放つ。

「効いてるような、効いてないような・・・」

「余計なことは考えるな!

 手数で圧倒するッ!」

 蒼い揺らぎを纏ったギルガの盾が、スケルトンロードの背中を打ち付ける。

「鉄壁防御!」

 リーリアの声と同時に、パーティ全員の身体が光に包まれた。

「炎熱爆砕!」

 シャーナの叫びとともに、スケルトンロードを中心に、火炎が弾ける。

「にゃおうッ!」

 詠唱?、そしてフィノ自身が、灼熱の砲弾となって、スケルトンロードの頭蓋を貫いてゆく。

「フィノのやつ、いいとこ持っていきやがった!」

 悔しそうに地団太を踏むニナに、

「も、もう、大丈夫・・・かな?」

 落ち着きなく、周囲を見回すエンゲ。

「みんな、無事か?」

 リーダーらしく、仲間たちの無事を確認する、ギルガ。

「ふぅ、さすがに五人分はキツいですねぇ。」

 汗を拭う仕草をする、リーリア。

「フィノ!」

 シャーナの呼びかけに、フィノはふわりと右肩に降り立つ。

 だが・・・

「別のスケルトンロード!?

 いや、何か、違うものが・・・」

 全身の毛を逆立て、シャーナの方に爪を食い込ませる、フィノ。

「まさか・・・いや、あっちが本当の召喚主?」

「みんな!とにかく防御を!」

 リーリアとシャーナを背中にかばいつつ、魔力を高める、ニナ。

 防御魔法はリーリアの方が専門だが、ニナの方が手は早い。

 『鉄壁』と出会う前まで、正直、専門外の技を重要視していなかったニナだった。

 だが、『鉄壁』メンバとともに学園で強者たちと闘い、思い知った。

 得意な技は、もっとひたすらに、鍛えた方がいい。

 一芸に秀でることは、自信にもなるし、他の者から頼りにもされる。

 一方、不得手な技は、不得手なままでも構わないが、無理しない範囲で、更なる技術向上に努めるべきだ。

 武闘試合なら、単純に強い者が勝つだろう。

 だが、実戦となれば、ことはそうそう単純なものではない。

 強さは有利ではあるが、絶対ではない。

 剣を振らせない。

 弓を引かせない。

 魔法を詠唱させない。

 いや、完全に封殺できずとも、十全に力を発揮させなければ、それでいい。

 ニナの防御結界で確保したわずかな時間の間に、リーリアの防御結界が、新たに生成されている。

「このまま、教会に向かいます!」

 すかさず、ギルガが走り出す。

 その広い背中が、仲間たちを導く。

「慌てず、急いでついてきなッ!」

 ギルガと、肩を並べるようにして走る、ニナ。

「二人はまだ、生きてるようだ。

 でも・・・」

 エンゲが言い淀む。

 敵を目前に、かろうじて息をしているということと、戦える状態にあるということは、もちろん同じ意味ではない。

「大丈夫!きっと無事よ!」

「うん、きっと、そうですね!」

 迷いなく断言するシャーナに、リーリアにはそう答えるしかなかった。

男前ドワーフのニナ:まさかの伏兵だったね。

天然神官のリーリア:あんな魔法、いつの間に?

毒舌魔法使いのシャーナ:そんなの、わたしだって知らないわよ。

炎猫のフィノ:にゃ~お。

ニナ、リーリア、シャーナ:(なるほど、わからん!)

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