表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鉄壁のギルガⅣ ~リンゴール戦記Ⅱ~  作者: 金剛マエストロ
5/34

4 ~殲滅~

戦いの中で、信頼を深め合う鉄壁一行だが・・・

「おりゃッ!」

 ニナの剛拳が、飛び掛ってきたスケルトンの肋骨と背骨を粉砕して突き抜けた。

「むんッ!」

 ギルガの盾の一閃で、粉みじんになりながら吹き飛ばされるスケルトン。

 ほとんど駆け足の二人と、それに負けない速度で追いかける、エンゲ、シャーナ、リーリア、そしてゴドーの四名。

 進路を遮る生き残りのスケルトンは前衛の二人が蹴散らし、殿(しんがり)をゴドーが担当している。

(前衛二人の体力はともかく、魔法担当の嬢ちゃんたちが、なかなかにタフだな。)

 散発的に飛び掛ってくるスケルトンをいなしつつ、ゴドーは、前を走る二人の少女たちの足取りが乱れていないことに、いたく感心していた。

「やっぱり!数が多いと!取りこぼしも!多いねっ!」

 生き残りのスケルトンを蹴散らしつつぼやくニナだが、シャーナに文句を言っているというよりは、それなりに手応えのある敵を次々と(ほふ)れるという状況を楽しんでいるらしい。

「エンゲさん!残りは?」

「七・・・いや、八体かな?」

「一体でも残すと厄介です。殲滅(せんめつ)しましょう!」

「殲滅って、お前らなぁ。」

 あきれたようなゴドーのつぶやきに、

「魔法組は、魔力を温存しておいてください。

 エンゲさん、援護よろしくお願いします!」

 あくまでマイペースを崩さない、ギルガ。

「一つ!二つ!残り六つ!」

 ニナの拳が、豪炎を(まと)いつつ、二体を葬る。

「取り逃がすと、後が恐ろしいですからね。」

 軽口ながら、遠方で(うごめ)くスケルトンの仙骨を射抜く、エンゲ。

「流石はエルフの弓術だな。」

 感心げなゴドーだが、エンゲに少し遅れて放った(つぶて)が、動きを止めたスケルトンの両肩を打ち砕いている。

「ゴドーさんこそ。

 やっぱり、実力は特級並みって言う噂は、本当だったんですね!」

 エンゲの言葉に、一瞬、虚を突かれた表情を見せたゴドーだったが、

「そう言うお前さん方こそ、なんでまた、中級で足踏みしてやがんだ?

 それだけの実力があれば、上級はおろか、特級以上を目指してもおかしくないだろうに。」

 最後のスケルトンを脳天唐竹割に両断したギルガが、

「これで最後ですか?」

「ああ、立ち上がってる奴はね。」

「えいッ!」

 エンゲの返事と、上半身だけで地面を這いずっていたスケルトンの頭蓋を、リーリアが錫杖で叩き割るのとが、ほぼ同時だった。

「今ので、完全終了かな。」

「フィノも、掃討完了って、言ってる。」

 フィノを頭の上に頂いたまま、シャーナがボソリと呟く。

「ふん。

 上級冒険者一人と中級冒険者五人のパーティで、上級の魔物百体以上を、一刻も要せずに殲滅か。

 悪い冗談にしか思えないな。」

「あたしらにしてみれば、長らく冒険者稼業を続けている人が、ずっと実力を隠しているっていうのも不思議だけど。」

 近づいてきたニナが、パンパンと手を叩いて骨の欠片を落としている。

「ボクらの場合とは、違う理由だとは思うけどね。」

 そう言って、エンゲは愛用の長弓を頭上に(かざ)してみせる。

「まぁ、そりゃそうだ。」

 ニナもまた、手甲のはまった手を突き出し、エンゲの弓に、コツンと当てる。

「実際のところ、ウチらの素の力なんて、中級の上位ってとこだしね。」

「まぁね。

 その点、ボクはそんなに自惚(うぬぼ)れてないよ。」

「何言ってるのさ。

 弓の腕は月並みだけど、魔法付加に関しては、ずいぶんマシになってきたじゃないか。」

「どうせ褒めてくれるのなら、褒めるだけにしておいてくれないかい?」

「愛の鞭と呼んでもらいたいね。」

 そう言って、カラカラと豪快に笑うニナだった。

残念エルフのエンゲ:やっぱりニナは男前だなぁ。ホレボレ

男前ドワーフのニナ:あんたがそれを言っちゃあ、おしまいだろうに。

残念エルフのエンゲ:だって、ボクはヒロイン枠だし。別にそれで問題ないだろ?

男前ドワーフのニナ:開き直るなッ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ