終 ~集結~
武闘大会が終わり、鉄壁メンバは・・・
武闘大会は、最終日、焔龍エルドレットの乱入という想定外の事態が起こったものの、結果的には人的損害はほとんど皆無であり、大成功のうちに終了した。
鉄壁メンバは、リーリアとエンゲは本戦で一勝し、それぞれ大金貨五枚を得、残りのメンバとゴドー、クーナは大金貨十枚を手にすることになった。
ちなみに、大金貨五枚ともなれば、平均的な一家が半年は暮らしていける金額だ。
「さて、昇級も内定して、懐も暖かい。
未来の上級冒険者パーティである鉄壁さんたちは、これからどういう予定でいるのかな?」
出会った頃と比べれば、随分と言葉が増えたゴドーが尋ねる。
「そうですね。
上級ともなれば、受けられる依頼も多くなります。
だから、今後はもう少し難しい依頼を受けて、一つ一つ、着実にこなしていきたい・・・と、言うところですが・・・」
応えるギルガが、隣にいるリーリアを見やる。
「なんだかんだ言って、わたし達って、まだまだ冒険者としての経験が足りないと思うんですよね。」
ふぅと、ため息のリーリア。
「リンゴールを拠点に、近場の依頼をこなしていくのも一つの方法ですが、資金に余裕のある今だからこそ、リンゴールから離れてみたいと思ってるんです。」
そう言うギルガは、リンゴールからはあまり遠くない、北方の村の出身であり、リーリアは生粋のリンゴールっ子だ。
辺境域では比較的大きな街であるリンゴールだから、リンゴールと近隣の町や村が生活圏のすべてである住人の割合は、七割から八割というところだ。
冒険者と言えば、旅から旅の根無し草と思われがちだが、実際のところ、土着の冒険者と旅暮らしの冒険者の比率は、わずかに前者が優勢だ。
短期間で上級に昇格(確実な)鉄壁パーティが、さらに経験を積むために旅に出るということは、それなりにまっとうな成り行きではある。
「まだ見ぬ大地、まだ見ぬ冒険を求めて旅に出る・・・か。
浪漫だな。」
そう言って口元を歪めてみせるゴドーだが、それは嘲笑と言うよりは、悪巧みを巡らせている少年のような笑みだった。
「浪漫!
そんな言葉が、ゴドーさんの口から聞けるなんて!」
「おいおい、俺を枯れた老人みたいに扱うんじゃない。」
「いやいや。わたしは、そこまでは言ってませんよ~。」
無邪気なリーリアの言いように、ゴドーは苦笑いするばかり。
「若いコって、それだけで徳よね。」
思わずつぶやいたのは、クーナ。
どうも、先日の打ち上げ会以来、リーリアを敵視しているようだ。
「・・・で、ものは相談なんですが、僕等と一緒に旅に出る気はありませんか?」
リーリアとクーナの確執に敢えて被せるように、ギルガが尋ねる。
「俺を、誘ってくれているのか?」
「僕等の力不足は承知の上で、旅のサポートをしていただければ、こんなに心強いことはありません。」
ギルガの真摯な眼差しに、
「俺で良ければ。」
ほとんど反射的に応えたゴドーだった。
ゴドーの返事に満足げに頷いたギルガは、さらにクーナの顔を向けて、
「クーナさんも、一緒に来ませんか?」
「え?わたしも?」
「クーナさんも一緒なら、嬉しいです!」
先ほどまでの険悪な雰囲気など吹き飛ばし、リーリアが裏表のない笑顔で叫ぶ。
「確かに。
剣士としての技術は申し分ないが、今後、冒険者として独り立ちするためには、実地の経験は必要だろうな。」
「それは・・・確かに、思っていたところだ。」
「それって・・・賛成ってことですよね!」
「いや、まだ、参加するとは言ってないだろう!」
「え~っ?一緒に行くの、イヤなんですか?」
「イヤとは言ってないだろう、イヤとは。」
そう言いつつ、チラリとゴドーを見やるクーナ。
「なぁんだ、それなら参加、決定ですね。」
もはやクーナが拒絶するとは、毛ほども思っていないリーリアの満面の笑みに、クーナはガックリと肩を落とし、
「リーリアには、負けたよ。」
あまり口惜しそうな顔をしてはいない、クーナだった。
かくしてゴドー、クーナを加え、ビステテューが脱落した形で、鉄壁パーティのメンバが揃いました。
そして、彼らの最初の修行の旅は・・・程なく語られることになるでしょう。
それではまた、いつか、どこかで。




