表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鉄壁のギルガⅣ ~リンゴール戦記Ⅱ~  作者: 金剛マエストロ
30/34

29 ~炎撃~

武闘大会六日目、本戦に進んだシャーナの相手は・・・

 わぁッと、会場全体が揺れるような声援の中、武闘台の上に立つ人影が二つ。

 一つは、平均的なヒト族男性より頭一つ分ほど長身で、ヒト族で言えば二十歳前後の若い女性の姿を持つ者。

 今一つは、小柄で痩せぎすのヒト族の少女。

「見違えたぞ、シャーナ。」

「わたし、そんなに変わって見える?」

 自分の身体を見下ろす、シャーナ。

 あと数年もすれば、ぼちぼち家庭に入る者もいるだろう年頃ではあるが、遺伝的な体質のためか、起伏(きふく)に乏しい、貧相な体つきだ。

「わたしにとっては、見た目なぞ意味はない。

 デラの気まぐれは、随分と役にたったようじゃな。」

「思い出したくないから言わないで!」

 明確な言葉を放つシャーナに、リザの口元に笑みが浮かぶ。

 シャーナとは対照的に、こちらは世の男性どもを惹き付けるのみならず、同性でさえも嘆息をもたらす程に優美な曲線を有している。

 リザの周囲に、(ほの)かに炎が()らめき始めると、

「フィノ!」

 シャーナの呼びかけに瞬時に現れたのは、今や相棒としてかけがえのない存在となった炎猫(えんびょう)だ。

「遠慮は無用じゃ。

 そちらから来ぬならば、こちらから参るぞ!」

 足を踏み出すリザの目前で、シャーナの姿が揺らぐ。

「何ッ?」

 リザの後頭部の髪が、ザワッと逆立つ。

 振り向くこと無しに、リザはフィノの体当たりをかわしたが、ほとんど遅滞なく放たれた火炎弾が、リザの背中で爆裂する。

「くッ!」

 痛みもダメージもないが、体勢が崩れたリザの足元に、シャーナの痩身(そうしん)が滑り込み、

「炎獄弾!」

 リザの胸元に向かって叩き込まれたのは、物理重量さえ感じさせる、炎の(つぶて)

「むんッ!」

 構わず踏みつけたリザの足元には、すでにシャーナの姿はない。

(まさか、ここまでヤれるようになっていたとはな。)

 初めて会った時、ヒトの形をしたリザに向かって魔法を放つことさえ躊躇(ちゅうちょ)した内気な少女の面影は、もはや皆無(かいむ)だ。

(男子三日会わざれば刮目(かつもく)して見よと言うが、やはりヒト族の成長の速さは(あなど)れんな。)

 リザの(まと)う魔力が、瞬時に色を増す。

 つまり、リザが少し本気を出してきたということだ。

(フィノ!

 このまま畳み掛ける!)

 リザから距離を取って立つシャーナと、その頭上に浮かぶフィノ。

(身体強化、火炎防御、感覚強化・・・)

 すでに行使されていた魔法を、さらに上書き強化する。

 鍛錬を積んだデラと違い、シャーナの身体能力は、普通より少しマシな程度だ。

 だから、魔法の重ねがけで対処する。

 音に敏感な相手にも勘付かれないよう、無音詠唱はすっかり手馴れたものだ。

「さて、それからどうするのかの?」

 シャーナの首の後ろに、ゾクリと冷たい汗が滲む。

 紅く燃えるリザの瞳が、目前にあった。

 リザの右手が、シャーナの首を絞めている。

 迫ってくるリザの、気配も魔力も感じなかった。

(やっぱり、何もかも相手が一枚も二枚も上手だ。

 でも・・・)

 シャーナの心臓はまだ、鼓動を続けている。

 体力も魔力も、尽きてはいない。

 今のシャーナの全力をもってしても、リザにかすり傷をつけることさえ叶わないかもしれないけれども。

 せっかく、成長を認めてくれた相手に対して、無力のまま終わるのは口惜(くや)しいから。

(フィノ!

 極炎装身!)

 フィノの輪郭が(おぼろ)に揺らぎ、シャーナの身体の表面を(はし)る。

 まるでそれは、炎蛇(えんじゃ)のように。

 シャーナを、リザを、炎の大蛇はすべてを呑みこみ、渦を巻いて吹き上げる。

 最後の魔力が放たれるのと同時に、シャーナの意識は混濁(こんだく)に沈んでいった。

火龍リグザールことリザ:なかなか、良い鍛錬を積んだようじゃな。

毒舌魔法使いのシャーナ:・・・(赤面)

火龍リグザールことリザ:フィノとの呼吸も、ようおうておる。

炎猫のフィノ:みぁう~

火龍リグザールことリザ:これからの成長が、ますます楽しみと言うものじゃ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ