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鉄壁のギルガⅣ ~リンゴール戦記Ⅱ~  作者: 金剛マエストロ
24/34

23 ~敗北~

リーリアvsクーナ戦の結末は・・・

(!?・・・)

 目が覚めた時、最初に目に入ったのは、クーナの心配げな表情だった。

 気品がありながらも、親しみも感じる、すっかり見慣れたはずのクーナの顔立ちだが、今は心の中の不安が、ありありと表に出ていた。

 思わず差し出した手を、クーナは優しく握ってくれた。

「・・・そうか、負けちゃったんですね。」

「そう、ガッカリしなさんな。

 正直、僅差(きんさ)の勝負だった。

 と言うか、わたしの提示していたルールでは、こちらの負けだった。」

「あっ!」

「まさか、君が体術も身に付けていたとは思わなかったな。」

「あれは・・・」

 振り下ろされたクーナの必殺の剣を、リーリアの錫杖(しゃくじょう)が受け流した。

 その勢いを利用したリーリアの蹴りを掻い潜ったクーナの当て身が炸裂、リーリアを台上から吹き飛ばした。

 しまった!と、言いたげなクーナの表情で、リーリアの記憶は途切れている。

「一撃で決着できなかったから、わたしの負けだ。

 でも、結果的に君を倒してしまったので、わたしの勝ちと判定された。

 準々決勝は午後からだから、今から棄権する事は可能だが・・・」

 そこまで言って、ようやくクーナは、リーリアが笑みを浮かべていることに気がついた。

「クーナさんて、生真面目(きまじめ)ですよねぇ。」

「し、しかし、自分で仕掛けたルールを、自ら破るというのは・・・」

「戦いって、流れみたいなものがあるじゃないですか。

 一撃というのは、剣を一回だけ振るのと、同じ意味ではないですよね?」

「いや、しかし、わたしは・・・」

「戦ったわたしが納得してるなら、それでいいじゃないですか。

 それに、たとえクーナさんの代わりに次の試合に出たとしても、まともな試合になるとは思えませんし。」

「いや、それは、やってみないと・・・」

「だいたい、予選通過できたのだって、出来すぎです。

 これ以上欲張っちゃったら、きっと罰が当たりますよ。」

「ううむ。」

 それでもまだ、不満顔のクーナに、

「それじゃ、こうしましょう!

 クーナさんが賞金を貰ったら、鉄壁のみんなと、なんか美味しいものを、お腹いっぱい食べにいきましょう!

 もちろん全部、クーナさんの(おご)りで。」

「そ、そんなことで納得できるのか?君は。」

「せっかく、ここまで勝ち進んで来たんです。

 次を勝てば、金貨二百枚ですよ!

 だったら、勝てそうな人が戦った方がいいじゃないですか!」

 まるで自分が大枚を手にしたような笑顔を浮かべるリーリアに、ようやくクーナは表情を緩めた。

「わたしが出ても、必ず勝てるとは限らないが、まぁ、やれるだけのことはやってみよう。」

 そう語るクーナの顔は、すでに戦士の顔だ。

「わたしが男の人だったら、ぎゅっと抱きしめてるところですよね。」

「わたしには、同性愛の趣味はないぞ!」

 そう言うクーナの頬が、あからさまに紅い。

「同性愛だなんて、酷いなぁ。

 でも、そういうクーナさんて、ちょっと可愛いですよね。」

「わたしは、可愛くなんてない!」

「そういうところが、可愛いって言ってるんですよ。」

「知らん!」

 プイと横を向いたクーナの視線が、シャーナにぶつかった。

 シャーナの、軽蔑するような眼差しが痛い。

「大人のクセに、いちいち動揺しすぎ。」

「うっ。」

「まぁまぁ、そんなに落ち込まないでくださいよ。」

 ガックリとうな垂れるクーナを、リーリアが慰める。

「どっちが勝ったのか、分からない。」

 追い討ちをかけるシャーナの口調は、あくまで冷酷だ。

「ふなぁお。」

 不意に、クーナの肩に感じる、温かみ。

「フィノは、優しいな。」

「ふみぃ。」

「優しいフィノに免じて、今日はこのくらいで勘弁してあげる。」

「今日はと言わず、いつでも勘弁してくれないかな?」

「それは、クーナ次第。」

 口調は厳しいままだが、心なしか、シャーナの表情は緩んでいるように、リーリアには思えたのだった。

天然神官のリーリア:あれ?静かだと思ったら、寝ちゃってましたね。

熱血剣士のクーナ:寝顔は、年相応に可愛いんだけどな。イジリイジリ

天然神官のリーリア:何やってるんですか?後で怒られますよ。

熱血剣士のクーナ:昔、後輩騎士の髪を、こうやって編んだものさ。

天然神官のリーリア:リボンとか付けたらどうでしょうかね。


・・・後で、シャーナにしこたま怒られたクーナとリーリアだった。

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