20 ~予選~
第一回、リンゴール武闘大会初日の初戦は・・・
<これより、第一回、リンゴール武闘大会を開催します!>
武闘会場に響き渡る音声が、祭りの本当の始まりを宣言した。
「初日に出番があるのは、ニナだけか。」
つぶやくゴドーに、
「予選通過で、大金貨五枚でしたっけ?」
さっそく賞金が気になるリーリアだった。
「予選に出場するだけでも、小金貨一枚は貰えますよ。
それを目当てに、戦わずに参加するだけの方もいるようですね。」
誰から聞いたものか、そんな情報を口にするギルガである。
「ニナは、予選通過を狙ってるみたいだよ。」
そう、真顔で語るのはエンゲ。
「そう言えばニナって、山篭りとかしてたんだっけ?」
シャーナの質問に、
「そういうお嬢ちゃんこそ、しばらく姿が見えなかったが・・・」
シャーナの、苦虫を噛み締めたような表情に気がつき、ゴドーは続ける言葉を見失う。
「イヤよ。
話したくない。」
プイと横を向くシャーナに、
「まぁまぁ、今は取り合えず、目先の試合に集中しましょう。
リンゴール内外から集まってきた実力者たちの試合をまとめて見られる機会なんて、そうそうありませんから。
今後の依頼解決にあたって、何か役に立つことが見つかるかもしれません。」
ギルガの言葉に被せるように、最初の予選が始まった。
「あっ!
早速デラちゃんの対戦だ!」
目の良いエンゲが、ガタイの良い男たちに埋もれるようにしている小さな姿を捉えている。
「観覧席に、アルフくんの姿も見えますね。」
ざわざわしている武闘会場に、ルール説明の音声が降ってくる。
魔力を使うカラクリによって、声を増幅しているらしい。
「よもや、予選通過できないということはないと思うが・・・」
言いかけたゴドーに、
「見ないでも分かる。
瞬き一つする間に、終わってるわ。」
諦念とも思える口調に、ゴドーが思わずシャーナを見やる。
<それでは、試合開始!>
間髪入れず、ドーンと、武闘会場全体の床が揺れた。
砂埃に包まれる武闘台に、一瞬、静まる武闘会場。
「なにが・・・」
呻く、エンゲ。
観客が見守る中、砂埃の中から、次々と飛び出してくる出場者たち。
やがて砂塵が消え去った時、武闘台の上に残っていたのは、たった一人の少女だった。
「やっぱり・・・」
そうつぶやくシャーナの口元には、なぜか笑みが浮かんでいる。
『挑戦者、求む!
ただし、一人ずつだよ!』
デラの声が、見守る『鉄壁』メンバーの耳を打つ。
「これは・・・」
「声に魔力を乗せているのか・・・」
問いかけにもならないゴドーの言葉に、エンゲが応えた。
武闘会場内の放送と同じ原理が使われているはずだが、もちろん、広大な武闘会場全体に声を届けるためには、膨大な魔力と道具が必要だ。
道具を介在することなしに魔法を行使し得るとは、いったい、どれだけの魔力が必要なのだろうか?
その事実に気づいたエンゲとゴドーが言葉を失うのと対照に、シャーナはしごく当然という表情だ。
「身体強化なしで全員場外だもの、これは、勝負あったわ。」
シャーナの予想は違わず、デラは予選を通過した。
天真爛漫のデラ:毎日武闘大会だったら、楽しいな。ニコニコ
毒舌魔法使いのシャーナ:そんなの、身体が持たないわ。
天真爛漫のデラ:シャーナには、クンフーが足りないわ!ウフフフ
毒舌魔法使いのシャーナ:えっ?クンフーって何?何なの?




