19 ~勝負~
アルフとクーナの打ち合いを眺めるゴドーとギルガだが・・・
「君らは、武闘大会に向けて特に何かするということはないんだな。」
ゴドーの問いに、少し間があって、
「僕らは、元から守り専門ですからね。
今さらスタイルを変えても、うまくいくとは限りませんし。
いつもと同じように依頼を受けて、少しでも地力を上げられればというところですね。」
「そうだな。
パーティの全員が、剣術も魔法もそこそこ使えるというのが理想だが、そういう意味では、『鉄壁』パーティは悪くない。
体力だけ、魔法だけに特化している、専門バカがいないからな。」
「そうですね。
敢えて言うなら、シャーナとリーリアさんは、もう少し体力を向上させたいところですし、僕も何か、それなりに使い物になる魔法を身につけたいところですが。」
「君は、どんな魔法が使えるんだったかな?」
「防御魔法と火炎魔法を少し、リーリアとシャーナから教わりました。
ただ、基礎魔力が低いので、気休め程度しか効果がないのが残念なところです。」
「防御魔法と火炎魔法か・・・他の魔法は試してみたのかい?」
「エンゲさんは土魔法が得意なんですが、教えるのはあまり得意ではないようで・・・」
「ふむ。
しかし、せっかく素養があるのなら、もう少し魔力を底上げできれば、気休め以上のことができるようになるかもしれん。
依頼を受ける頻度をもう少し落として、魔法の練習に専念してみるのも、悪くないかもな。」
「う~ん・・・
僕としても、戦闘力向上のための次の一手がなかなか見つからないので、ちょっと手詰まりに思っていたところです。」
「それならいっそ、魔法部門で大会に参加してみるというのはどうかな?」
「えっ?」
「魔法で防御力を上げつつ、相手のすべての魔法攻撃を耐えて、魔力切れになった相手を火炎魔法で止めを刺す・・・とか。」
「う~む・・・」
真剣に考え込むギルガに、ゴドーは表情を崩し、
「武闘大会と銘打ってはいても、建前としては、あくまでお祭りだ。
真剣に、命の取り合いをするわけではないんだ。
それに、今回は逃しても、今後も昇格の可能性は・・・」
「いや、せっかくの好機です。
やれるだけのことは、やってみたいと思います。
正直、僕の剣技の才能は凡庸です。
でも・・・」
ギルガの口調は、普段通りの穏やかなものだった。
だがしかし、その言葉の奥底に、熱い何かが仄かに垣間見える。
「剣術だけが、戦う方法ではないということを、僕はすっかり忘れてました。
拙い剣技でも、弱い魔力であっても、それは紛うことない、自分の力です。
技の未熟は、もっと鍛えればいい。
魔力の弱さは、創意工夫で補えばいい。
結果、たとえ敗北しても、そこからまた、立ち上がればいい。
それに・・・」
ギルガはリーリアの方を見やり、
「リーリアさんが剣術部門で参加すると言うのに、僕が不得手の魔法から逃げ回ってばかりはいられませんしね。」
「えっ?なんか言いました?」
まだ続いていたクーナとアルフとの闘いに気を取られていたリーリアが、振り返って尋ねる。
「僕も、魔法部門で参加することにしました。」
「えっ?ギルガさんが?」
「ええ。
リーリアさんが剣術で、僕が魔法で、どっちが予選突破できるか、勝負しましょう。」
一瞬、きょとんとした表情を浮かべたリーリアだったが、すぐに破顔して、
「何だか良く分かりませんけど、挑まれた勝負から逃げ出すのは、女が廃るってもんです。
いいわ、ギルガさんなら、相手にとって不足なしです。
この勝負、受けて立ちます!」
拳を握り締め、力強く宣言したリーリアだった。
熱血剣士のクーナ:以外に、筋は悪くないようだな。
天然神官のリーリア:ホントですか?わたしも、クーナさんみたいに格好良くなれます?
熱血剣士のクーナ:・・・そんなに、格好良く見えるかな?
天然神官のリーリア:そりゃぁ、もう。ゴドーさんのハートをズッキュンですよ。
熱血剣士のクーナ:ちょ、おま・・・アタフタ




