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鉄壁のギルガⅣ ~リンゴール戦記Ⅱ~  作者: 金剛マエストロ
12/34

11 ~決着~

クーナvsアークデーモンの戦いの結果は・・・

 クーナが握った長剣が、深々とアークデーモンの胸を穿(うが)ってゆく。

 内側から黄金色の光を放ちつつ、輪郭を(おぼろ)にしてゆくアークデーモンが、クーナの手を吐き出すと、

「ふむ。残念ながら、時間切れか。

 しかし、お前の血肉の味は覚えた。

 程なく、あい(まみ)える時が来よう。

 その折はまた、思う存分に殺し合おうぞ・・・」

 愉悦(ゆえつ)と邪心に満ちた笑みを浮かべつつ、幻のように、アークデーモンは大気に溶けていった。

「・・・ふぅ。」

 剣を地面に突き立て、膝を付くクーナ。

 すぐに振り返り、ゴドーの姿を探す・・・と、

「まったく、なんて威力だ。」

 (かか)げた小ぶりの盾に空いた穴から、ゴドーのはしばみ色の瞳が覗いていた。

「怪我はない?」

「他人の心配よりも、自分の方を気にかけろよって、言いたいね。」

 存外に真顔のゴドーが、アークデーモンに(かじ)られていた方の手を取る。

 魔力で身体強化はされていたものの、手首から先は、流れ出る自分の血で、紅く染まっている。

 触れているゴドーの手を伝って、穏やかな魔力が流れ込んでくる。

「血止め程度しかできないが、痛みも少しは緩和される筈だ。」

「そうだ!教会は?」

 頭を巡らせるクーナの瞳に、『鉄壁』パーティ一行と、隠し部屋に潜んでいた子供たちが、扉を失った教会の入り口から出てくる姿が映し出される。

「周囲には、魔物の気配は感じられませんね。」

 一番小さい子を肩車しながら歩いてくるのは、長身で細身のエルフの青年=エンゲだ。

 長耳の一族の特徴に(なら)って、際立った美貌の持ち主であるけれども、クーナにしてみれば、同じパーティに属するドワーフと(ねんご)ろであるらしいということが印象的だ。

「あの消え具合からすると、どうやら本召喚されたわけじゃ、ないようだね。

 悪魔族特有の嫌な匂いも残ってないし。」

 両の腕に一人ずつ子供をぶら下げているドワーフ女性=ニナだが、子供らの重さはまったく意に介していないようだ。

「嫌な匂い?フィノはどう?

 デーモン以外の、魔物もいない?」

 二人の後からトコトコと小走りについてくるのは、魔術師の少女=シャーナだ。

 フィノと呼ばれている猫型の魔物は補助要員と認識していたクーナだが、シャーナと連携して強力な魔法を行使できるらしい。

 シャーナ一人だと中級の上位程度の魔力しかないはずだが、フィノとコンビを組んだ時の魔力は、もしかすると上級以上かもしれない。

 ふみゃぁと、呑気な返事を返すフィノに、

「村全体に広げた結界内には、魔物は検知されていませんね。

 まぁ、もしもまた、魔物が現れたとしても、フィノさんが退治してくれるでしょう、ね?」

 声をかけたのは、神官服の少女=リーリアだ。

 返答の代わりにフィノはリーリアの肩に駆け上り、リーリアの耳元で、にゃおんと鳴いた。

「うふふっ。

 少し、くすぐったいですよ、フィノさん。」

 リーリアはそう言いつつ、クーナに歩み寄る。

「ふむふむ。

 ゴドーさんって、治癒魔法も使えるんですね。」

「いやいや、本職には(かな)わないさ。」

「でも、出血も止まってるし、応急処置なら、これでもう、十分だと思いますよ。」

「あ、あぁ、そうだな。」

 名残惜しげに手を離すゴドーに、クーナも少し残念と感じていた。

 ゴドーから受け取っていた、温かみのある魔力の流れは、クーナにとっては、嫌な感じがするものではなかったから。

(また、生き延びてしまったのか・・・)

 見た目は生々しいが、血も固まり、痛みもだいぶ緩和されている自分の手の平に目を落としつつ、クーナは一人ごちる。

(こんなわたしでも、まだ生きて、何事かを()せと言うことなのか・・・)

 見上げた空に輝く星々は、何も(こた)えてはくれなかった。

残念エルフのエンゲ:組合の受付嬢がみんな強かったら・・・

毒舌魔法使いのシャーナ:強かったら?

残念エルフのエンゲ:それはそれで悪くはないかな。ふふッ。

毒舌魔法使いのシャーナ:うわぁ。(ドン引き)

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