クイーンパラサイト
アリスは真の姿を露わにした。
それは人型の怪異。
包帯が取り去られた皮膚からはドロリとした体液が吹き出し、退化した翼が背中を破って表出する。
「く、クイーンパラサイト…」
クイーンパラサイト。
その魔獣は魔獣の中でも特異な存在だ。
まず、通常時には一切の戦闘力を持たないこと。
数を増やすことに特化していること。
そして、戦場に於いて最低最悪な敵であること。
通常の魔獣は人間を殺し、それを食すことで生き延びるのだが、このクイーンパラサイトは違う。
死ぬことで生き延びるのだ。
正確にはクイーンパラサイトが死亡した際に飛ばす体液、粘液を他者に付着させる事で他者に寄生するのだ。
クイーンパラサイトの体液が付着した皮膚から体液が浸透し、性器にまで到達。
そして生まれる子供にある形質異常をきたすような遺伝子改変を行う。
その遺伝子改変こそパラサイトクイーンの生存手段。
生まれる子供は皮膚が所々裂け、人食いをしなければ生存出来なくなるのだ。
但し、それだけなら子供を手にかけるだけで済む。
ミトコンドリアを知っているだろうか?
要するにそれと同様な事が起こるのだ。
クイーンパラサイトを起点にした新人類の誕生。
魔獣と人間のハーフが合法的に完成するのだ。
研究者達は魔獣に対抗すべく魔獣を用いた改造人間の製作をしていたが、それがクイーンパラサイトによって完全に成就した。
人間の思考を持ち、魔獣の強かさを持つ新人類、TYPEⅡ。その有用性が幼少の殺害を上回るメリットと相成ったのだ。
クイーンパラサイトはその特異性故に一部の人間の庇護の元、着々と数を増やしている。
だが、TYPEⅡにも弱点がある。
まず、人食いができない環境下では簡単に餓死する事。
そして、それをカバーする為の行為が酷くリスキーである事。
この二点だ。
そして後者、これこそ『生き餌』である。
TYPEⅡは気に入った相手を人生に一人定め、粘膜の接触を行い自分の因子を対象に送りつけるのだ。
因子を埋め込まれた人間は正式に『生き餌』となる。
『生き餌」を得たTYPEⅡは極端に弱体化し、身体の構造が人間に近付く。具体的には人食いをしなくても生存が可能となる。
そしてこれに付きまとうリスク、それは『生き餌』が死んだ際にTYPEⅡも死ぬのだ。
その特性を、死が二人を分かつまで(ブリュンヒルデ・ロマンシア)と言う。
そしてークイーンパラサイトが『生き餌』を喰らえばどうなるかー。
「こ、ろ?せない?」
異形によるジェノサイドが吹き荒れる。
普段の穏便さは鳴りを潜め、圧倒的な火力と再生力をもって敵を殺す。
「勝負ありだ、アスレイは私のものだ」
「な、…ぁ」




