覚醒
ヤンホモ対メンヘラ連合軍
中々良いシーンになったと考えてます。
(о´∀`о)
三対二のスタートで始まったナイツ・ゲームだが、明らかに有利は俺たち黒猫隊が握っていた。
「シャァアッ!!」
ユニゾンソードを突き立て不動の仁王立ちする俺に対してリューザスの牽制は意味を成さず、膠着。
メギア先輩はシールダーの特性上ペイント無しのスタートであり初手で俺に特効を決めようとしたが冷静にアリスが処理、一ヒットを捥ぎ取る事に成功した。
だが、ここに来てまたもあの男が立ちはだかった。
「…セルファ!!」
「僕のレイちゃんをカエセェッ!!」
修羅の形相でアリスに肉薄するセルファ。
「させるかよっ!」
すかさずアリスのフォローに回りアリスを後退させ、すれ違いざまにナイフを二本抜き取る。
「NICEだ、相棒!」
「アリスゥゥッ!!」
尚もアリスに食らいつくセルファを初見殺し加速でそのまま頭突きをする。
鈍い痛みに顔を顰めながらユニゾンソードを振るう。
ユニゾンソードは分離するほど勿論軽くなる。
ナイフは片方で五本、両手合わせて計十本のナイフを連結させているのだ。
残量は八本。
性質上、ユニゾンソードは後半になればなるほど加速する。
引き起こされるのは大混戦。
一人突出したセルファがいるため、リューザスは牽制が出来ず、インクの付いていないメギア先輩はアリスの踏み台代わりに使われ、アリスはリューザスを狙って一直線に駆ける。
勝てる。
どうやら、イップスは発動しない。
このままなら技量で勝る俺が一歩先へ行く展開となりセルファが敗北。
メギア先輩を無視してアリスと二人で逃げるリューザスを追って勝ちだ。
そんな活路を潰す言葉を耳にした。
「エンチャント・フィジカルアビリティ」
セルファがハイライトの消えた目で言ったのだ。
この世界には魔法は一部の特例を除き存在しない。
では、一部の特例とは?
転生者?違う。
転移者?それも違う。
寵愛者だ。
神に愛され、あらゆる行為を正当化できる人間。
転移者、転生者への世界によるカウンター。
かつて、勇者は言った。
『寵愛者は転生者、転移者への抑止力じゃ、世界を変革する因子を悉く摘む役割を担っとる。きっと神様ってのは外部リソースによる進化が望ましくないと考えとるんじゃろ。だから、形質を保つ為に完全に自由な人間を製造する。それこそが寵愛者じゃ』
教科書にも載っている常識だ。
だが、常識故にその存在を忘れやすい。
まさかセルファがそれだったなんてー。
「こ ろ す」
目は充血し紅く光る。
その妖しい光は何もかもを拒絶するような冷たさがあった。
普段の狗のようなセルファからは想像のつかないような冷酷さを以ってアリスへ向かう。
俺は止められない。
何故かー、シンプル。
速度が違い過ぎる。
常に上を征くセルファ。
俺の勝てない相手。
圧倒を見せ付けられた俺は打ち拉がれるしかなかった。
人はそれを絶望と言う。
「う…ぁ」
「アアァああああッ!!」
頭が真っ白になって、叫んだ。
セルファには負けまいと努力してきたのにッ!!
セルファに勝ちたいからランカーを目指したのにこれではあべこべだ!!
せめてセルファに一撃をッ!!
「そこを退けェェッ!!!」
ユニゾンソードすら捨て、駆ける駆ける駆ける!!
メギア先輩を蹴飛ばし前に進む。
焦燥も怒りも嫉妬も。
全部賭してー。
『俺がお前を助ける理由、親愛だ』
優しい言葉。
『泣き言だったら幾らでも聞いてやる』
優しい言葉。
『側にいて欲しいなら幾らでもくっついてやる』
優しい言葉。
ああ、そうだ。
アイツのくれた言葉はほんの少し俺を救った。
俺に巣食った。
相棒(、、)俺はお前を生涯恨むぞ。
そんな事言われて…。
「強がらねえ男は男じゃねえだろうがッ!!!」
もし俺が必要ならその時は確実にアリスの側に居たい。
泣き言を言わないアリスが泣き言を言うなら聞いてやらない事もない。
アリスが窮地なら助けたい。
「クソッ!!コイツ早いな!?」
「し ね」
「相棒はやらせねえよ」
リューザスを置き去りにしてセルファに掌底を食らわせる。
「Coolじゃねえな?相棒」
「ハッ、遅いな相棒。だが、…今のお前は惚れちまうくらいCoolだな。違いねえや」
「レイちゃん…どう、して…」
「俺の相棒をよくも倒そうとしてくれたな。高く付くぜ?セルファ」




