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悪夢

例によって例の如く睦月節が炸裂する話です【意訳】若干鬱展開

『レイちゃんすごーい!!』

『どんなもんだい!こんなの【いーじー】ってやつだ!!』

『【いーじー】って?』

『楽勝って意味さ!』


酷く懐かしい夢を見ている。

あの頃はセルファも素振りしてるのを見ているだけで積極的に絡むような事はなかった。


思えばこの頃は幸せだった。

俺にとって幸せな世界だった。

微温湯に浸かるような、それこそ人生はイージーで幸せに満ち満ちていて俺はその幸せを無条件で享受できると信じて疑わなかった。


ナイツ・ゲームは楽しくて仕方がないし、仲間と騒げるのは好きだった。

セルファという弟分もいて母さんも優しい、お腹には妹だっていた。

そして敬愛する父さんもいた。

何一つ不自由は無かった。

寧ろ自由が無かった事を考え付けない位の幸せ者が俺。


なのに、少しずつ狂い出す。


セルファに俺の努力が敗北し、母さんは妹ばかりを見て、父さんは壁の外に単身赴任。


誰も俺に目を掛けてはくれなかった。


そして、事件が起こる。

身体は疲弊し切り、殴られ、蹴られ。

心はズタズタに引き裂かれた。

けれども、一番辛かった事は。


『アスレイの妹殺そっかなー』

『え?アイツ妹いたのか?育ったら一緒にレイプしようぜ?』

『無理無理、あのグズの妹だぜ?殺した方が世の為だ』


妹を、


『あいつの親父、壁の外でシールダーやってんだって』

『壁の外に行ってまでシールダーかよダッセェ。どうせ周りからウザがられてフレンドリーファイアで死ぬだろ』

『ゴミ野郎の親父にピッタリな末路だな』


父さんを、


『なぁ、見たか?あれアスレイの母さんだって』

『見た見た、スッゲー美人さん。あれがアスレイの母さんとか嘘だろ?ったくどうしてあんな美人な母さんがいてグズになれたよな』

『だな。俺だったらバリバリ良い子になっちゃうな』

『良い子でちゅねーよちよちーってか?マザーファッカーかよアスレイみたいだな』


母さんを、



侮辱するやつが、許せなかった。

もし生まれたばかりの妹に危害が及んだらその遠因は間違い無く俺だ。

全部、俺のせいだ。

だから、俺のせいにしない為に母さんに引っ越しを提案した。


沢山泣いた。

沢山沢山泣いた。


遂に涙は枯れはててーツマラナイ男が出来上がった。


俺はあの日に囚われ続ける。


あぁ、神様。

もし居るのであれば答えて欲しい。


俺はそんなに悪だったのか?

努力が報われないが為に起きたたった一度の失敗を一生かけて償わないといけないのか?


だとするならばー俺は恨むぞ。


◆◆◆


瞳が目蓋に張り付いて中々目を開けれない。


「う、ぁむぞ…」


心に張り付いた言葉をうわ言のように呟いてみる。

掠れた声は憎悪で滲んでいて常闇から来た悪魔の唸り声のようだった。


ゆっくり目蓋を開ける。

日差しを浴びて仄かに輝くカーテン。

嗅ぎ慣れたアルコールの匂い。

白くて清潔なベッド。


病院だ。


あれからどちらかが救急車でも呼んだのだろうか。

いずれにしろ助かった。


「アスレイ!目が覚めたのね!?」


ガララっとドアがスライドして母さんが現れる。


「今起きた」

「リューザス君が救急車を呼んでくれなかったらどうなっていたか…」

「大袈裟な…」


母さんがこう言うのも仕方ない。

親心以外にも俺には前例があるのだから。


事件以降俺を苛むこの発作だが、道路の真ん中にを横断中に発症して車に轢かれたのだ。

幸い全身の打撲で済み、骨の一本も折れたりはしていなかったが。


「大袈裟じゃないわよ!!もう、本当に心配したんだから…」


静かに涙を流す母さんに俺は。


「ごめんなさい…」


謝罪の言葉しか出てこなかった。

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