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最悪な提案

結局、寝ても気分は晴れなかった。

天気は快晴。

全くもってTPOを弁えない俺の心情は兎に角厄介者じみたメンドくささがあった。

朝は早起きだから時間には余裕があるので片手に『こころ』片手にコーヒーでブレイクしていた。

朝食は『こころ』になぞらえて言うならば鉛のような飯を飲み込んだ、と言ったところか。

碌に味なんて分かりはしなかった。

妹にはいつにも増して陰気臭い顔をしていると眉間に皺を寄せながら指摘された。

多分俺は今、酷い顔をしている。

ページを捲る。

俺には行間を読んだりと言ったことは出来ない代わりにシーンを想像する。

『先生』は俺に似てるな、とか『K』はセルファに似てるかもしれないとか。

俺の読んでるところは噛み砕けば『先生』と『K』が『お嬢さん』を取り合う…と言えば語弊があるが大体はそんなワンシーンだが、哀しいかな。

『K』はナイフで系動脈を切って自殺してしまう。


その姿がありありと浮かぶようで冷や汗が出た。

同時にセルファが自殺する、なんてとりとめの無い想像までしてしまい震える羽目になった。


「アスレイ、そろそろ時間よ」

「分かってる」


母さんが俺に言う。

俺は心配かけまいと意地になって普通を装う。


家を出るとー。


「おっす、リューザス」

「何だ元気そうだな」


それから中身の無い会話をしてー俺から『こころ』の話をリューザスに振ってみた。


「でさ、なんか『K』とセルファって似てないかって思ったんだけどリューザスはどう思う?」


リューザスはむむ、と顔を顰めると言った。


「俺は『K』がお前に似てると思うけどな」

「へ?」


深刻そうな顔で、痛ましいものを見る目で淡々とリューザスは続ける。


「…お前、本当は努力家なんだろ…?毎日毎日河川敷を直向きに走ってるのを俺は知ってる。結果が出なくて悩んでるのも、知ってる。だから…セルファの存在に押し潰されて自殺しないか…俺は心配なんだ」


…考え無かった訳ではない。

ただ、親には引っ越しを無理にさせた負い目がある。

だから親に迷惑を掛けてはいけないと死なないように我を張った…頑張ったのだ。


「そんな訳ないだろ。リューザスは心配性だな」


ははは、と乾いた笑いを出す。


「……なあ、アスレイ」





「一緒に退部しないか?」

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