第4章ぬらりひょん
「おい、ユーレイ、天狐。最近何かおかしいとは思わないか?」
「おかしいって......何が?」
突然の八城君の問に、少し戸惑いながらも聞き返した。
「何がって......決まっているだろう?最近、妖怪の出現数が多い事だ。」
「言われてみると、確かにそうだね。今まで月に1、2体妖怪が現れたらいいほうだったのに、今月は既に5体だもんね」
「なんだ、そんなこと?確か『ぬらりひょん』って、妖怪大将だったよね?もしかして、ぬらりひょんが妖怪達に命令しているとか......_____」
私はなんとなく言ってみたのだが......。あれ?八城君と天野先輩の様子が......。
「?2人とも一体......_____」
「それだ!!」
「っ!?」
「原因はぬらりひょんだ!ユーレイ、お手柄だぞ!」
「はいっ!?」
満足気な声とともに、八城君は私の頭を軽く叩いて撫でた。
八城君って、私より背が高いんだよな~......と、少し関係の無いことを考えてしまう私がいる。が、一体何が何やら......。
「鷹犖、又崎さんが何がなにやら全くわからないって顔してるよ?」
「ん?仕方ない。この俺が、わざわざ、お前の為だけに説明してやろう。」
説明してくれるのは有難いけど、その言い方はどうなの!?
「さて、まず覚えておいてほしいことがある。」
天野先輩、私、そして八城君しかいない放課後の部室の中に、八城君の声が静かに響く。
「この世の中には、妖怪に関わった者、先祖に妖怪となった者がいる者、そして、妖怪そのものに限り、一人ひとつ、能力を得ることがある。」
「......能......力?」
「あぁ。俺や天狐、ユーレイ。お前にもある。」
「私にも!?」
一体どんな能力なんだろう......。
「恐らくお前の能力は、実体化といった所だろうが......まあ、今大事なのはそこではない。気になるだろうが、今は説明しないぞ。
ぬらりひょんは元は人間なんだ。本題はここからだからな?特にユーレイ、よく聞けよ?元は人間のぬらりひょん。彼らは妖怪と関わり、能力を得た。その能力は......______」
「『不死』。って言っても、ただ寿命が数百年になるだけ。だよね?鷹犖。」
「あぁ、その通りだ。」
「へぇ~。なんかいいですね、その能力。......あれ?ぬらりひょんは妖怪そのものではないのに、なんで妖怪大将に?」
「......さあな。俺に言えることはただ一つだ。やつの狙いは......俺だ。」
「えっと......どういう事です?」
「いずれ分かる。それより天狐。準備はいいか?」
「いつでもいけるよ。」
話をそらして八城君が言った問に、天野先輩が答えた。
その答えに納得したのか、八城君は頷き、少しニヤついて言った。
「さあ、五百年続いた物語を、終わらせに行くか。」




