羊とライオン
「ようやくついた。ここよ」
ドクターキャットは指差した。
そこにはどこまでも美しく輝く野原に沢山の羊が群れをなしていた。
「羊が一匹、二匹、三匹・・・・・・一体何匹いるんだ?」
「1000はくだらないはず」
「多すぎて背景が真っ白になってる・・・・」
「綺麗でしょ」
「あぁ」
ワタルとドクターキャットはそんな羊の群れをいつまでも眺め続けていた。すると、ワタルはその群れの中に一つ特異なモノがあることに気づく。
「おい、あれ」
「あ、もう気づいたの?」
ワタルは群れの中を指差した。
「なんかあそこの部分だけ黄金色なんだが」
「あれはね、雇ってるのよ」
「雇ってる!?」
すると黄金に輝く一匹の動物がのっしりのっしりとこちらに向かってきた。
「何のようだ? ドクターキャット」
「お仕事中ごめんね。新入りにここを紹介したくてね」
「あれは、ライオンか!?」
「そう、雇われてるのよ」
「よう、ライオネルだ」
「金浜ワタル、よ、よろしく」
「よろしく・・・・」
そういうとライオネルは元の場所へ戻っていった。
「牧羊犬ならぬ牧羊ライオンってやつか」
「牧羊犬とはまた違う気もするけど、いわば彼ら羊達のボディーガードね」
ドクターキャットは話を続けた。
「ライオネルもね、あなたと同じ地獄からこっちの世界に来たらしいよ」
「ふーん。でもあれって楽しいのかな」
「さぁ。でもライオネルにとっては楽しいんでしょうよ」
「そういうものか。ちなみにライオネルは地獄でもライオンだったのかな?」
「いや、初めて会った時はあなたと同じ人間の状態よ」
「てことは、変身したのか?」
「そう、それを教えようと思ってね」
ドクターキャットは笑みを浮かべた。
続く