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空を飛びたい竜のように  作者: 水木紅緒
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不思議な世界“ガーファンクル”

初めまして。なるべく毎日更新していく予定です。宜しくお願い致します。


「ヴォガッ・・・・!!」

 ある日、唐突に金浜ワタルは死んだ。日本語では表せないようなうめき声をあげながら・・・・。ワタルにいったい何があったか、詳しいことは分かっていない。ただワタルは死んでしまったということだけは確かである。


「メーリさんの羊、羊、羊」


 華やかな歌声が死んだワタルの耳に届いてくる。



「ここはどこ・・?」

 ワタルは突然、目を覚ました。背景を見回すと先程ワタルが死んだ場所とはずいぶん変わっている。沢山の山々に囲まれている。

 それからワタルは自分自身を確認してみる。腕も足も頭も確かにある。

 自分だ。俺だ。それからワタルは大きく息を吸い込み

「ワーッ!!!!」

と辺りの山に向けて叫んだ。すると、

「ワーッ!!!!」

と山彦が返ってくる。


「俺は、生き返ったのか? ここは天国か?」

 ワタルは実に不思議で愉快な気持ちになった。この世界はこれまで自分が生きていた世界とはまるで違う。そんな気がした。もう嫌な母親とも父親ともクラスメートとも会わなくて済むのだ。自由なんだ。最高なんだ。ワタルは大きな声で笑い出した。


 すると、そんなワタルを見ていた、一匹の大きな姿をしたヤマネコがずっしりずっしりとワタルに近づいていった。ワタルは笑い続けていたがやがてそんなヤマネコの姿に勘づいた。


「なんだ、あのでっかい化け猫は」

ヤマネコは3メートルはくだらない大きさだった。恐怖を感じたワタルは少しづつ後ずさりしていく。


「怖がらないで。大丈夫よ」

その見た目の割に、ヤマネコは随分温かくて優しそうな声だった。


「何者?」


「私の名前はドクターキャットっていうの。この山の長みたいなもんよ」


「長? ってことはリーダーか?」


「そう。見た感じ、この山に迷いこんだようだから心配になって話しかけにきたのよ」


「ここは何なんだ? 日本か?」


「日本? そこからきたの?」


(日本を知らないのか・・・・やはりここは地球ではないのかもしれない)「あぁ、そうだ。で、ここは何なんだ?」


「ここはガーファンクルという名前の山よ」


「ガーファンクル? 不思議な名前だ」


「ふふ、貴方はどうやってここに来たの?」


「あまりよく覚えていないが・・とにかく嫌な世界で生きるのが辛かった。周りの全てが信用出来なくて、沢山の仲間がいるはずなのに、まるで独りぼっちで生きているような感覚だった。経緯は覚えていないが俺は死んだんだ。そしたらここにいた」


「死んだ? 死ぬってことはまさか地獄からきたの?」


「地獄?」


「そう、あなたの生きていた世界は地獄というところだったのよ。あそこはどんな生き物も必ず死ぬように出来ている。恐ろしい所だわ」


「え? 普通は死なないのか?」


「そうよ、危ないケガをした場合は別だけどね。」


「そうなのか・・、俺が住んでいた所は、80年ほど生きると必ず衰弱して死んでしまうようにできていた。そうか、そうだよな。今更思うと、なぜ気がつかなかったんだ、あそこが地獄だということに」


「真実というものはなかなか気がつかないものよ。でもあなたは上手くそこから抜け出したみたいじゃない」


「そのようだな、これからは昔のことは忘れて新しい気持ちで生きていくことにするよ。この世界、ガーファンクルのこと、教えてくれないか?」


「ええ。勿論」

それから煙がもくもくと炎上し、衝撃音が走る。 


「ドンッ!!」


「・・え?」


そこに現れたのは小さな、女の子だった。


「誰?」


「ドクターキャットよ」


「え? あんな大きい猫だったのに」


「これでもリーダーやってるからね、それなりの姿をしておかなきゃいけないのよ」


「じゃ、じゃあなぜ俺にその姿を見せたんだ?」

ワタルは胸がドキドキと高鳴るのを感じていた。


「タイプだから・・かな?」

そう言いながらドクターキャットは顔を赤らめながらワタルの頬に口づけをしようとする。


「うぉあっ!」

ワタルはビックリ仰天して思わずしりもちをついてしまった。それを見たドクターキャットは顔を赤らめながら


「ご、ごめんなさーい。」

そう言いながら赤らめた顔を手で隠していた。ワタルは心臓の高まりが収まらず、ずっとドキドキし続けていた。


「と、とにかく、案内を頼む」


「う、うん」

ドクターキャットは先程の行動に後悔をし続けながら先を歩いた。


ワタルはそんなドクターキャットについていった。胸の高鳴りは収まらなかった。


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