表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/15

【第1013回】プロローグ×エピローグ

プロローグ「ハハハハハ。いやはや、いやはや、私達がこの放送に出るなんて、そんな事、一体誰が予想出来ただろうねえ? ねえねえねえ?」

エピローグ「ハハハハハ。ホント、ホント、全くその通り! どころか、それどころか、我々の出演どころか、我々の存在を知っていた者だって、きっと少なかった事だろう! 今頃ラジオの前のリスナー達は驚き慌てているかもしれないねえ」

プロローグ「おおっと、そうかそうか。確かに、今、リスナー達は皆、驚き慌てているのかもしれない。それならばまず最初に宣言しておきましょう! 皆さん、安心しなさい。次回からはまた、何時もの通り、皆さんの知っている出演者達が出演する。我々が今回ここに居るのは、それは、今回が特別だからに他ならない!」

エピローグ「その通りその通り。今回我々がここに居るのは、我々がささやかな我儘を申し立てたからである。その我儘を次回以降も突き通すつもりは無いから、皆さん、皆さん、安心してくれたまえ」

プロローグ「いやあ、しかし遅くなってしまった。実に申し訳ない。不甲斐ないばかりだ」

エピローグ「それどころか、なんやかんやあってタイトル変更まで! 一体何があったんだ!」

プロローグ「私達はそんなの知らない! 知りもしない! ハハハハハハ」

エピローグ「さあて、では我々の事を愚かにも存じ上げない諸君に対し、自己紹介という奴を行おうではないか! 行い始めようではないか!」

プロローグ「良い案だ。実に良い案だ。素晴らしい」

エピローグ「私、名前をエピローグと言う。どうぞお見知りおきを!」

プロローグ「私の名はプロローグだ。ハハハ、皆さん、今日は私の名前を憶えて眠りについてほしい!」

エピローグ「よし、よし、まず最初にやるべき事はやった。これで全ての前置きは終了だ。よし、ではこれからは、我々の自由という事で一つ、二人で雑談に興じるとしよう! 意味の無い文言を言い合うとしよう!」

プロローグ「いやあ、こういうのを待っていた。長らく待っていた。ラジオ放送! これ程に待ち焦がれる存在もなかなか無い事だろうね!」

エピローグ「時にプロローグさんよ、最近、何か変わった事はお有りで?」

プロローグ「そうですねえ、そう、そう、そう言えば一つだけ、一昨日にこんな事が有りました! 一昨日にね、ハハハ、考えるだけでもおかしな話でしてね、私、道路を歩いていたんですよ。車道ではありませんよ。歩道です、歩道。車道なんて歩いていたら君、車に撥ねられてしまうからね!」

エピローグ「そりゃあ、そうだ! ハハハハハ」

プロローグ「それでね、君、その歩道に、なんと、マンホールが有ったんですよ! 信じられますか! マンホール! 私はびっくり仰天、危うく腰を抜かしかけましたね!」

エピローグ「ほう! ほう! して?」

プロローグ「そのマンホールからね、なんと! でっっっかい海坊主がヌラーリと出て来たんですよ! 青い肌をうねうねさせて、ぎょろりとした目ん玉がぐるりと回ったりしてね、ハハハハハ、もう、おかしいったりゃない!」

エピローグ「ハハハハハ、それは愉快だ! マンホールから海坊主が出て来るなんて、ねえ! そうそうお目に架かれる光景ではありませんよ、ハハハハハ」

プロローグ「それでね、それでね、まだありますよ! これだけで終わったと思われちゃたまらない! その海坊主がね、言うんですよ。野太くキンキンとした声でね、『若い娘を出せえ、若い娘を出せえ』って。ハハハハハハハ、海坊主がそう言うんです、もう、周りにいた奴等、みーんな逃げ出しちまいましてね、おやまあ、気付けばそこには私と海坊主の二人だけ。たった二人っきりで、気まずいったら! 空気が石になったかと思いましたよ!」

エピローグ「ハハハ、おかしい、おかしい、ああ、腹が痛い! 腹痛か? それとも海坊主の呪いか? ハハハハハ、それで、それで?」

プロローグ「ええ、ええ、それから、それからね、海坊主が続けて言います! 『なーんでオイラを見ると、みーんなして一目散に逃げちまうんだあー』ってね。ハハハハハ、その悲しそうな顔! 私は笑いを堪えるのにどんだけ苦労したか! そんで私は海坊主にこう言ってやりましたよ。『そんな事言ってるからですよ。そんなつまらない事をごちゃごちゃ抜かしてるから、つまらない海坊主になっちまううです』と。すると海坊主の野郎、それで納得したらしい! まーた気色の悪い音をたてながら、マンホールのどん底に消えて行きましたよ! おまけに『ありがとお、感謝するよお』とか何とか言っちゃって! ハハハハハ。それで帰って行きましたとも。ええ」

エピローグ「何だったんだろうねえ! ハハハ、本当におかしな海坊主だ。自分が海坊主とも知らないで! そんな事では一生、人に好かれる事も無いでしょうな! ハハハハハ」

プロローグ「さて、あ、さて、私の話はこれまでです。あんまりにも薄い内容だ! これじゃあイカン! もっと話を!」

エピローグ「そうだ、そうだ、では今度はプロローグさんから、お話を振ると言うのは! それは如何だろうか!」

プロローグ「おお、成程! その考えは無かったよ。そうだ、全くもってそうだ。ウウム、ではどんな話題を振るか、ああ、非常に悩ましいですなあ! よし、よし、では決めました。エー、ゴホン。ゴホンゴホン。時にエピローグさん、昨日の夕食は何でしたかな? ハハハ」

エピローグ「なんと! まさかそのような質問が飛んで来ようとは! 驚き桃の木山椒の木、奇怪、痛快、摩訶不思議! ああ、昨日の夕食かあ、何を食べたかなあ? これがとんと思い出せぬ! まるでそこの記憶だけスッパリ切り捨てられてしまったかのようだ! ハハハハハハハ」

プロローグ「ええ、そうですとも。よく有る事です! 決して珍事などでは御座いません! これは毎日のように降りかかる喜劇なのです! 私にもよく起こります。昨日の晩飯がどーーも思い出せない。頭を振っても脳を絞っても、そこに関する記憶だけが微塵も抽出されない。よく有る事! よく有る事!」

エピローグ「そうだ! 思い出したぞ! そうだ、昨日はアレを食べたんだ! ほら、何と言ったかなあ、黒くて鮮やかで、甘くて苦くて、歯ごたえの無いくらい固くって、ほら、何と言ったかなあ?」

プロローグ「何だ? 何だ? それだけを聞いた限りでは、君、相当けったいな食事を取ったんじゃないかね! ハハハハハ、おかしい、一体何を食ったと言うんだ!」

エピローグ「ああ! 今度こそ思い出した! 蓄音機を食ったんだ! そうだったそうだった、いやー、ガッチリ思い出した。そうだ、そうだ、蓄音機だ! ああ、そうだ、旨かったなあ。あれは絶品だったなあ」

プロローグ「蓄音機! なんとまあ、それはそれは珍味ではないですかい! 味良し、香り良し、歯ごたえ良しの、超高級食材ではないですかい! ハハハ、羨ましいなあ!」

エピローグ「でしょう? ええ、本当にあれは絶品でしたとも。輝いておりましたよ! ピカリピカリとね」

プロローグ「羨望の眼差し! 羨望の眼差し!」

エピローグ「プロローグさんはお有りなのですか? 蓄音機は?」

プロローグ「いやあ、私はこれまでの人生でたった三回きりですねえ。生まれた直後と、二回目に靴下を無くした時と、それから初めてカーテンを引きちぎった時の計、三回! いやあ、本当に羨ましい、羨ましい」

エピローグ「まさかそれを失念してしまうなんてね! なんという愚物、なんという品の名さ、ああ、自分の策謀の甘さがにじみ出てしまいましたな! ハハハハハ」

プロローグ「ハハハハハ、それは確かに否定出来ますまい。誰にもね。なんせ蓄音機だ! 偉大なる発明家、ナンタラカンタラの手によって発明された歴史にも名を遺す偉作ですから! もう二度と、その様な事の無いように!」

エピローグ「ええ、ええ、以後気を付けますとも!」

プロローグ「ウム、ウム、ウム。エー、さて」

エピローグ「おや! もしや!」

プロローグ「そのもしや! 時間で!」

エピローグ「なんと! あああ、何と言うことだ。楽しい時間はこうも光速で過ぎ去ってしまうのか!」

プロローグ「ああ、だがしかし、これは仕方の無い事だ! 時間は流れるか流れないかの二択しか無いのですからな! そして流れなかったら大惨事です!」

エピローグ「そうとも、そうとも。仕方の無い事だ! ああ、だが、惜しいなあ!」

プロローグ「仕方の無い事です! 次の出演の機会を待ちましょう! 我々に出来る事はそれだけです! 待ちましょう、待ちましょう」

エピローグ「ではでは、皆さん、リスナーの皆さん、短い時間でしたが、聴いていただけた事に我々、感謝しない事もない! 楽しんで頂けたかどうかは定かではありませぬが、少なくとも我々は楽しませて頂きましたよ!」

プロローグ「ハハハハハ、それでは皆さん、リスナーの皆さん、お別れの時間で御座います。いやあ、ラジオと言うものがこんなにも楽しいものだとは! いや、いや、ここでグダグダと感想を述べてもつまらない! そんな事では我々が海坊主になってしまう! それではいけない! ここはスッキリと、あとくされの無い風を装って、お別れの言葉! お相手は私、プロローグと!」

エピローグ「私エピローグでお送りしたりしなかったり!」

プロローグ「皆さん! 次会う日まで! ハハハハハハハハ」

エピローグ「サヨナラ! サヨナラ! サヨナラ! ハハハハハハハハ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ