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紫苑穢国のエトランジェ  作者: 葛葉狐
第三章    天帝の御世    《紫緋紋綾》
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第二六七話    帝都にて Ⅱ




「はっ? 軍集団司令官への推挙ですか?」


 ユーリネンが尋ね返す中、ナタリアが眉を僅かに跳ね上げる。


 懲罰人事……有能な将校を時世から遠ざけて追及から守ろうとしていると考えていたナタリアだが、その予想は裏切られた。エカテリーナに聞かされていた経緯とも違うという点も混乱に拍車を掛ける。当然、そうした経緯を知らぬユーリネンは動じない。


 興味深いと喉を鳴らし、応接椅子に深く腰掛けるのみ。


 視線すら動かさないユーリネンは自然体と見える。


 対する帝都の怪物も動じない。



 帝国陸軍総司令官、ヴァシーリー・アンドレエヴィチ・ドルゴルーコフ。



 陸軍大臣と帝都憲兵隊司令官を兼務する痩身の初老であった。


 灰色の髪に鋭い眼光であるが、口元は緩やかな弧を描いている。帝国の高級将校としては珍しく勲章や略綬の一切を纏わず、新緑の軍装に金糸の飾緒、階級章程度に留まる軍装は奇異に映る。称号や経歴が権威を形作る要素の一つである以上、それ等を纏う事で己の実力を示すというのは不自然でも不純な事でもない。


 ――とは言え、金物は老骨に堪えると各所で嘯いているらしいが……


 重量物を身に纏うという苦痛を避けるという発言は、方便ではなく事実であるという可能性も捨てきれない。第三(ボタン)まで開け放たれた軍装の上衣を見れば、ドルゴルーコフの安楽を好む姿勢が虚構ではないと理解できる。


 無論、陸上戦力の統率者にして帝都の憲兵を指揮下に収める者を軽く見る者などそうはいない。


 秘密警察への影響力すら噂されるドルゴルーコフは、帝国内の陸上戦力の七割を統率下に置いている事も踏まえると帝国軍事の枢機を担っていると言っても過言ではない。


 そして、門閥貴族との熾烈な政争を演じた人物でもある。


 帝王の信任が厚いのは、門閥貴族に兵権への干渉を許さない手腕と実力の依る所であるが、それを帝国で成せるという事実は卓越した政治手腕を有するという意味に他ならない。


 そうした帝都の怪物は柔和な笑みを浮かべ、眼窩に滲む残光を白皙の美貌を持つ青年将校へと振り翳す。


 ユーリネンは、鋭さを伴った不快感を覚える。


 戦野で装甲部隊の機甲突破に晒された恐怖を思い起こさせる鋭利な視線。


「司令部はドヴィナに置き、帝国東部を防護する。神州国の上陸作戦に備えるという名目だな」



 〈東域戦区軍集団〉。



 その名の通り、帝国東部の強大な海岸線を防護すべく組織される軍集団であるそれは、相応の戦力を有する。


 隣に控えていたナタリアから手渡された資料に目を通せば、現時点でユーリネンが指揮下に収めている〈第二六四狙撃師団〉を始めとした十二個師団を基幹とした戦力で構成されている。規模を見れば有力な戦力と思えるが、軍集団とは基本的に複数の軍団を束ねた軍を複数擁する戦力単位である。方面軍と同等規模であり、十二個師団という数は少ない。


 ――東部海岸線の警戒と防御か。


 足りない。


 明らかに不足している。


 東部海岸線……帝国東部を防護するには最低でも五〇個師団は必要であり、それすらも人口の存在しない地域を無視した数である。広大な海岸線に内陸部の都市の防衛まで考慮すれば、その数は膨大なものとならざるを得ない。それ故に今までは東部防衛は放置されていた。無論、そこには東部という地域が過疎にして係争地となり難いという実情を加味した結果である。東部自体を緩衝地と見なす陸軍総司令部の国防方針もあった。


 ユーリネンは資料を応接机に置くと、用意されていた紅茶に口を付ける。


「戦力不足だろう。どう思うかね?」


 笑みを湛えるが、その眼窩に収まる鉄の意志は、柔和な顔立ちを一層と畏怖の生じさせるものとしている。


 未だ空襲の被害が色濃く残る光景が窓越しに窺える帝都。


 それを背後にして自然体を譲らず、己の地位が揺らぎつつある中でも職務に精励する姿は、ある種の恐怖すら感じさせる。愛国心や打算、或いは確信があるという一般的なものが通用する相手ではない事をユーリネンは理解していた。


 ドルゴルーコフには確信があるのだ。


 自身の立場が揺るぎない、と。


 帝国建国以来、最大の敗北と被害の一端を担っても尚、ドルゴルーコフは己の立場と存在意義に何一つ疑念を抱かず、周囲を掣肘して権勢を維持できるとの確信があるのだ。


 その手段は容易に想像できるものではなく、彼の経歴と実績を踏まえれば帝王への嘆願や門閥貴族への迎合などというものではない事は明白である。それ故の恐怖。


 個人の才覚で、陣営を形成せず、ただ立身出世を成す。


 軍神ですら〈北部統合軍〉や皇州同盟という陣営を形成して権勢の拡大を図ったが、ドルゴルーコフは帝国陸軍という魔窟でのらりくらりと気が付けば、相応の立場を得ているという場面が多々あった。


 偶然が連続した訳ではなく、相応の戦果を挙げ、相応の実績を持つ。そして、門閥貴族を良く抑え、軍事への介入を最低限に抑えていた。


 しかし、門閥貴族を抑えた方法は不明確であった。


 何故か、ドルゴルーコフの名が出ると門閥貴族は静かになる。


 神秘に包まれた人物である事は確かであり、それ故に許容される部分や踏み込める領域が不明瞭である事を、ユーリネンは懸念していた。


 自身の一言が領地の興廃に直結する。


「不足ですが……しかし、軍事力としての期待とは見えません」


 隷下となる師団の指揮官にはアレクセイエフやアンドロポフの名前もあり、他にも〈南部鎮定軍〉所属の将官の姿が数多く認められた。何より、新兵器の試験評価を担う部隊や、戦術研究を前提とした評価部隊が随伴するとなれば、そこに軍事的活躍を求めている訳ではないと理解できる。


 〈南部鎮定軍〉の実戦経験を経た優秀な将兵を政争から保全しつつ、今次戦役で得た戦訓を研究し、各部隊へと反映させる試行錯誤を求めているのだ。


「貴官に出来るかね?」


 直截な物言いに、ユーリネンは咄嗟に言葉を返せない。


 十分な配慮の成された内容は、ユーリネンに対して十分な配慮が滲み出ており、敗残の将を辺境に匿おうという意図が透けて見える。加えて、領地に司令部を置く許可まで与えられているとなれば厚遇に等しい。領地ともなれば、部隊運営に於いて融通が利く。


 明白なる好意。


 だが、ユーリネンは眉を顰めて溜息を零す。


「この内容、そもそも無意味では?」


 ナタリアの驚く気配を無視して、ユーリネンは懐から携帯酒筒(スキットル)を取り出して、ウィシュケを嚥下する。皇国で鹵獲したものであるが、ユーリネンはそれをヴォトカよりも好んでいた。領地に帰還した暁には、特産物として製造を開始する心算ですらある。


「失礼ながら、戦略次元の敗北を戦術研究で打開できると? そうであるならば、総司令部は不要でしょう」


 これ以上、帝国という国家の思惑に振り回されては堪らない。


 根本的解決を図らないままに消費される事をユーリネンは何よりも恐れた。郷土の領民や人身、各種資源なども投じられては疲弊を免れない。領地に司令部が置かれるという事は、ユーリネンが見捨てられない事を意味する。それは鎖と成り得る。


 軍事的に見れば好意でも、政治的に見れば好意などではない。


 それは、鎖に他ならない。


「現状の軍備と情勢では国防は儘ならない。それを政府と陛下に上申すべきかと」


 戦略次元で敗北している以上、戦術研究が役に立つ状況が生じる可能性は低い。


 その点を放置した上での国防では意味がない。


 航空攻撃を受けたユーリネンは、将兵の血涙を以て理解したのだ。


 ――あれは駄目だ。防ぎようがない。


 航空攻撃の脅威を、ユーリネンは速度と射程にあると考えていた。


 射程は縦深となり、速度は常に主導権を生み出す。


 防護手段を確立しても、縦深と速度の前に容易く対応される。大軍であればある程に隠蔽や防空は困難となり、多段に張り巡らされた航空索敵を避け得ない。縦深の問題から航空基地への襲撃は難しく、現に皇国侵攻ではそれらを試みた部隊は壊滅的被害を受けている。


 ――トラヴァルト元帥の成功例を見れば、少数による潜入襲撃は有効なのだろうが……


 航空基地を極短時間で使用不能にできる個人を前提とした潜入襲撃など採算が合わない。


 縦深深くに孤立して消耗を免れ得ない個人や少数という精鋭を育成する予算と時間、資源は想像を絶するものとなる。


 互角の戦争を成すならば、防空を可能とするだけの航空戦力は必須である。


 その話を避け、現状あるものだけで対応しようとの方針はユーリネンにとって許容し得るものではなかった。上位下達を旨とする軍人と言えど、失われると分かりきった現状を無視した努力を当てにされては堪らないという心情がある。


 退役しても構わないという開き直りがあるからこそ、ユーリネンは一歩も引かない。


 敗戦の責めを負わすならば、自領まで後退戦を繰り広げて蹶起しようとの覚悟もあった。労農赤軍の皇州同盟軍……介入を望む勢力は多い。彼とて皇国では相応の活躍を以て売名を成した心算である。


「正論ではあるな。無論、権力者を納得させ得ぬ類のものであるが」


 糸目となって瞳からの色という判断材料まで絶ったドルゴルーコフの言葉に、ユーリネンは道理であると胸中では賛意を示す。


 理解を得られない正論など、政戦の場では意味を成さない。不備と不全を招くだけである。いかなる政治体制であれ、国家というものが無数によって構成され、無数が鳴動する事で進むという点に変わりはない。無数が納得せねば意味がなかった。


 しかし、外的要因が国内権力者の納得の有無で変質する事もない。


「あの戦争屋が“我々は世界を射程に収めた”、そう口にした事実を誰もが軽視しています。愚かな事だ。その内に出てきますよ。世界の望む地域を焼き払える兵器が」


 世界を射程に収める兵器……戦略爆撃騎が実戦配備され、効率的な航空戦術が確立されつつある。帝国諸都市を実験場としてより効率的な都市爆撃の方法を模索し、彼らは洗礼された戦略爆撃という手段を遠くない将来に手に入れる。


 恐らく、搭載兵器も最適化されると、ユーリネンは見ていた。


 尚も皇国と軍事衝突の危険性(リスク)を放置し続けるのは、碌でもない未来を招き寄せる結果となりかねない。


 ドルゴルーコフは、興味深い、と言葉を促す。


「ふむ……では、どうするべきかね?」


「さぁ? 講和なされては? 少なくとも帝国人の人口が最も減らぬ手段ではありましょう」


 寧ろ、政策を見た場合、皇州同盟は帝国中央政府より優れたものがある。


 資源や賠償金を軸とした講和が無理ならば、領土割譲を以て妥協するしかない。寧ろ、難民を積極的に押し付ける好機であり、皇国の国力を消耗させる好機でもある。皇州同盟が領土に対して拡大志向を持つ事は、政治に於ける彼らの発言から明白であった。


「貴官は、政治的に無理な事を言う」苦笑を零すドルゴルーコフ。


 叱責や非難はなく、肯定や同意もない。つまり賛同できるものの、政治情勢がそれを許さないとの答えがそこにはある。


 帝国は余りにも被害を受けた。


 国家の面子や威光に賭けて、一方的に引き下がる訳にはいかない。国内統制を失い、国家そのものが空中分解する危険性がある為であった。


「しかし、誰かが言わねばなりますまい。幸い、小官は退役を厭いませんが?」


 できますれば退職金を望みます、と付け加える事も忘れないが、八割程度は本気であった。それだけの価値と努力が後退戦にはあったと彼は確信している。


「正直に言えば、採算の合わない土地は放棄すべきでしょう。最善を希求するならば、棄民政策も必要かと」


 後退戦でも身軽になりました、とユーリネンは肩を竦めて見せる。


 防御縦深と機動力の確保。


 政治戦略も軍事戦略と共通する部分が多い。無論、最善を求め得ない状況がある事も同様である。諸事情が最善を許さないのだ。


 だが、命令の基本は、精神的にも実践的にも、常に攻撃的でなければならない。だから、防禦もまた次の攻勢の準備として考えられねばならない。


 政治に於いても、それは変わらない。


 問題解決と利益最大化の為の命令は常に積極性を伴う。現状の放置は事態の悪化を招くのみであり、事態が好転する事は外的要因によるものでしかない。それを期待して座視する事は、指揮官や指導者の存在意義の放棄であり、体制と立場を揺るがし得る失点である。


「講和……和平は容易ではないだろう。それでも無理を押して成す価値があるというのかね?」


 相も変わらず糸目は感情を宿さないが、口元に湛えた笑みは変わらない。


 致命的な言葉を招こうとしている意図を、ユーリネンは理解しつつあった。


 己の政治姿勢や軍事的才覚を見透かさんとしている事を察するが、彼は止まる事もない。例え、不敬罪として捕らえられても、友軍が突入して救助を期待できるからという部分もある。しかし、最大の理由は、己の才覚が侮られることを嫌ったという酷く男性的な見栄からであった。当然、その見栄は、帝国という実力主義の国で侮られるという事が、要らぬ不幸と不利を招くという建前によって隠された男の本音である。


 男は常に求める。強者という称号を。女が理解できない部分で、それを狂信的なまでに渇望する。人類生誕以来の男の本質なのだ。


 ユーリネンは、渾身の笑みを以て両腕を広げる。


「……成せぬならば、帝国は崩壊し、無数の小国が乱立する時代となるでしょう」


 ナタリアが眉を顰めるが、ユーリネンは眉を跳ね上げて自身の意見の問題点があるならば口にしては、と暗に告げると、彼女は視線を逸らした。


 日頃、軍事力という棍棒を振り翳す職責にあるユーリネンは、正論という棍棒を振り翳す事も躊躇しない。振り翳す時期を逸する程に進退窮まるという経験則によるものである。


 そうした部分は、トウカと違いザムエルに近い感性を持つユーリネンゆえの拙速であった。


「貴官は優秀だな。まぁ、政治屋としては及第点だが」


 応接椅子に一層と深く腰掛けたドルゴルーコフは、応接机に置かれた保湿箱(ヒュミドール)から葉巻を取り出し、手品の様に吸い口を切り落とす。


「帝国の政治ばかりを考えている。困った事だ」


 長い燐棒(マッチ)で燻す様に銜えた葉巻を炙るドルゴルーコフは、思案の表情へと転じる。


 ユーリネンは空いた儘の保湿箱から、葉巻を一掴み……六本ほど拝借すると、五本を懐に入れ、一本を鼻先に向けて香りを確かめる。


 ――お、高級品だ。


 陸軍総司令官ともなれば給金も相応のものとなる。周辺諸国と干戈を交える都合上、半鎖国状態の帝国では外国製品の入手は困難を極め、何よりも価格が釣り上がる傾向にある。無論、抜け道はあり、軍であれば駐在武官を通して購入するなどの方法があった。寧ろ、最近では買い付けが駐在武官の主任務となりつつある。


 皇国侵攻で大敗した上、諸都市を爆撃されて生産力への打撃を加えられている現状を見て、強く出る国家は少なくない。流通量は確実に減りつつある。


 因みに、ユーリネン子爵領の領都である沿岸都市ドヴィナは、今次戦役時より船舶による密輸入で大きく売り上げを伸ばしている。非公式であるが、一年足らずで一〇年分の歳入を得ていた。


()の軍神曰く、平和とは謳うものではなく自ら掴み取るものだそうだ。敵対する連中を皆殺しにして」


 紫煙を燻らせ、紫煙と溜息を吐き出すドルゴルーコフ。


 ユーリネンは衝撃を受けた。


 帝国内の都合ばかり考えていた彼だが、相手方が望まねば停戦は難しい。領土割譲を以て停戦を成せると考えていたユーリネンだが、ドルゴルーコフはそれを困難だと見ていた。


 領土割譲がトウカの実績となると考えていたユーリネンだが、ドルゴルーコフには違う見解がある様子であった。


「しかし、停戦や講和を望む論調もあるのでは……」


「潰されたよ。彼らの言うところの皇都擾乱でね。次の選挙では急進的な面々が議会を席巻するそうだ」


 停戦の意思がない事を国内に示した軍神が、領土割譲程度で収まるはずがないとドルゴルーコフは見ている。トウカが停戦など望んでいない状況では夢物語に等しい、と。


「挙句に軍神は行方不明という。それを信じる者など我が総司令部には居ない。君も私もだろう? 次の謀略は進んでいるぞ? それは何故か? 決まっている。帝国を殴り付ける為だ」


 姿を消した軍神という点をドルゴルーコフは危険視している。


 何をしでかすか分からない男が皇国軍事の枢機を担う立場にあるという脅威ではなく、その立場を放棄してでも成そうとしているナニカを警戒している。少なくとも、トウカは国軍へ影響力を行使する立場にあるよりも有効であると見たナニカを実施しようとしていると考えられた。


「ですが、それは国内への政戦とは考えられませんか?」


 皇都擾乱の結果はユーリネンも理解している。


 和平を求め、戦争に消極的な集団を炙り出し、そうした主張を流布する勢力を撃滅した。それ以上の打撃は、強大な領邦軍を持つ各地の貴族と衝突の危険性がある。故に皇都擾乱は短期間で終結した……終結させざるを得なかった。


「国内貴族と事を構える心算は無かろう。確かに帝国を叩き、介入する余地を潰し、国内へと目を向けるというのは合理的に見えるが……」


「皇国各地に点在する有力貴族と事を構えれば全土での本格的な内戦……現実的ではないと?」


 確かに各所撃破となっても被害は積み重なる。帝国軍と正面から幾度も交戦した皇州同盟軍に耐えうる被害とは限らない。何より、皇国北部の復興と防衛を放置してまでの内戦となれば爪痕は各方面に後々まで残る事になる。


 皇国にも有力貴族の連合が存在するが、領邦軍を集結させねば、皇州同盟軍には抗し得ないだろう。しかし、集結させた場合、航空攻撃で一網打尽にされる事は先の決戦を見れば一目瞭然であった。


 皇国国内の軍事力は均衡状態にある。


 皇州同盟軍の航空戦力が睥睨している状況での軍事力行使は、一方的な敗北を招く。航空戦力整備は皇州同盟軍のと陸海軍が圧倒しており、各領邦軍は若干の要撃騎を擁するものの、戦闘爆撃騎や戦術爆撃騎は極僅かしかない。皇国へと侵攻した帝国軍の如く、遥か遠方から飛来する航空艦隊の前に、決戦地より遥か遠くで壊滅する事になる。


「大前提として、軍神とやらは皇国国内の政治情勢を棚上げするだろうな」


「それは……」


 均衡を、潜在的脅威が背後に存在し続ける事をトウカが許すとは、ユーリネンにはどうしても思えなかった。


 魑魅魍魎が跳梁跋扈する帝都で政略に於いて一歩も引かない実績を持つドルゴルーコフが、トウカや皇州同盟を取り巻く情勢を棚上げするしかないと見た意味は大きい。あの軍神ですら抗し得ない貴族勢力が皇国には存在するのかと、ユーリネンは紫煙と溜息を吐き出す。


 だが、帝国も、ドルゴルーコフも同様ではないのかと思い当たり、ユーリネンは紫煙に霞む天井へと視線を向ける。


「戦果を積み上げて発言権を拡大し続けて優位を築くしかないという事ですか」


 なんと消極的な、とはユーリネンも思わない。


 国内全域で大規模な内戦を行えば、遺恨は修復不可能な次元まで拡大する。一方が勝利しても、遺恨から遠くない将来、国家は分割されるだろう事は疑いない。


 国家の分割は、国力の分割であり、仮想敵国の増加でもある。


 トウカとドルゴルーコフ。


 似ても似つかない二人だが、一国の中に在って絶大な戦力を手中に収めているという点だけは同様であった。その視点からだけ見えるものがあったのだ。


 そして、ユーリネンは将来、それが自身に必要であると見ていた。


「彼は政治への介入に消極的な心算かも知れないな」


「?」その言葉の意図を計りかねたユーリネン。


 トウカの政治介入は政戦の境界が曖昧な軍閥という事を差し引いても苛烈なものがあった。それを当人が消極的な心算であったなどと知れば、介入によって軍事の理論で殺された政治関係者は発狂しかねない案件である。


 ――いや、政治が彼の軍事に介入しようとしたのか?


「彼は政治に介入しなかった。しかし、政治の方がやってきて彼に介入したのだよ」


 それに抗するべく、トウカは政治を痛打したが、それは政治の機能不全を招いた。


「政治という無数の歯車によって構成されるが、その歯車を無数と破壊したのだ。その代替品を用意したはいいが、周囲の歯車とは合わない。挙句、周囲の歯車も効率のみを追求すれば、最適解とは言い難い」


 そして介入の度合いは増えていく。


 当人は最小限の心算でも、他業種から見れば狂おしいまでの合理性を必要とする軍人の介入である。それは傍から見れば、苛烈な介入に他ならないのかも知れない。


「そして、際限のない介入を迫られるのだよ。私の様にね」


 片眼を閉じて茶目っ気のある姿を見せる……というには元より糸目で判断し難いそれに、ユーリネンは葉巻を一層と燻らせて見ていなかった体を取る。


「相互理解と妥協こそが政治の本質なのだ。対する軍事は合理性と打倒こそを本質とする。論法や発想は類似していても、本質は違う。軍神は理解していないだろうがね」


 哀れな事だ、とドルゴルーコフは糸目を更に細くして嘆く。


 論法や発想が同様でも、本質は違う。


 その言葉に、ユーリネンは酷く圧迫感を覚えた。否、紫煙に霞むドルゴルーコフの嘲笑を見た故か。


 軍事の理論で政治を扱うからこそ反発が起きる。過度な合理性は政治を滅ぼす。人間関係がより大きく反映される組織間協調や抗争の産物としての政治。そこに極限までの合理性を追い求め続け、敵の打倒を旨とする軍人が介入すれば反発は凄まじいものとなる。


 敵対組織を崩壊させ、人間関係を無視した合理的組織形成に、隙の無い指揮統率。既存政治と人間関係、組織間連携の破壊である。既存の政治によって物事を回す者達が納得と理解を示すのは難しい。


 そして、それを堕落や無駄、無能として排除しようとする。


 果てのない政治闘争の始まりである。それも、統治を踏まえれば撃滅をできない相手に、であった。


「まぁ、私も気が付いたのは首が回らなくなってからだがね」軽やかな笑声。


 だが、その一言は、そうした反発を受けて尚、権勢を維持し続けている事を意味する。


 そうした卓越した政治感覚を持ち得る自信がユーリネンにはなかった。無論、軍神の如く政治が沈黙を余儀なくさせる程の軍事的戦果を打ち立てる真似もできない。


「少なくとも、皇国政治が……貴族の大部分が己に敵対的であるとは、軍神も理解しているだろうね。その中で姿を消すのだ。まぁ、碌でもない事を考えているという点だけは確信できるよ」


 不在を責任感の欠如と槍玉に挙げるのは政治の伝統である。相手の失点、乃至、失点に見えるそれを失点と印象付ける事で相手の要素を毀損するという行為を当然の如く行えてこその政治家と言えた。


 しかし、トウカのそれは戦場に於ける行方不明とされ、非難を受け難い。国防の為に戦死したかも知れない者を非難する事は保守的な層から多大な反発を招く。


 そうした点を見るに、計画的な行方不明と見ることができた。


「最早、訪れるべき戦後に備えるしかない」


 葉巻の灰を灰皿に落とし、ドルゴルーコフは独語する。その視線はユーリネンを見ているようで見ていない。幾つもある戦後という可能性を俯瞰しているのか。ドルゴルーコフの思惑は計り知れない。


「貴官は優秀だ。だからこそ〈東域戦区軍集団〉に避難させる」


「避難。避難と仰いますか」


 その一言で、ユーリネンは全てを察した。


 帝国を見限っていたのはユーリネンだけではない。ドルゴルーコフもまた同様であったのだ。否、次善の策として見ているという可能性もある。担保の一つとして戦力の保全を考えるというのは不自然な事ではなかった。


「そうだ。今次戦役で得た戦訓を持つ帝国陸軍部隊を纏め、戦術研究を行う点は確かだが、有力な戦力を中央から遠ざけるという意味合いもある」


 中央の混乱は想像を絶する。


 労農赤軍の跳梁に加え、門閥貴族の権力闘争も激化し、中央政府を加えて三つ巴の有り様となっていた。皇国戦線が事実上終結した為、兵站上の負担は消失したが、代わりに皇州同盟軍の戦略爆撃航空団が飛来するという問題が発生した。


 門閥貴族は労農赤軍を討伐しようと各地で領邦軍を展開しているものの、皇国に投じた戦力が完全に失われ、大部分が共和国戦線に投じられている為、戦力不足である事が否めない。神出鬼没の不正規戦を繰り広げ、一部の国民……労働者層を味方に付ける労農赤軍は、致命的な敗北を上手く避けていた。


「労農赤軍の討伐は宜しいので?」


「貴官、政治力学に疎いな。労農赤軍の伸長を抑える必要があるからこそ帝国東部を梃入れする必要があるのだ」呆れたようなドルゴルーコフ。


 紫煙に眉を顰めたナタリアが立ち上がり、窓を開け放って換気を始めた事で遅れて訪れた春風が吹き抜ける。


「奴らは貧困に巣食う獣なのだ。貧困に過疎、加えて地形も防衛戦に向いておる。根無し草の輩が展開するには格好の土地なのだ。おそらく武器調達も東部沿岸地域からの密輸入と考えておる」


「それは……」ユーリネンは愕然とする。


 帝国東部沿岸が帝国の政戦に関係する土地になる機会が巡ってくるとは予想だにしなかった。挙句に戦乱の時代に在って注目されるなど不運以外の何ものでもない。


「高速船舶による輸送を行い、商船の積み荷として隠蔽……中央までは鉄道輸送だろう。奴らは鉄道の関係者を抱き込んでおるのだろう」


 貧困に喘ぐ労働者層が労農赤軍に好意的である以上、摘発も容易ではない。恣意的な物資の見逃しも各所で頻発しているとみて間違いなかった。挙句に先の諸都市への空襲で優先攻撃目標とされた鉄道路線や車庫、倉庫、駅舎、集積場などは軒並み破壊されている。臨時の鉄道関係者を穴埋めとしている事は想像に難くなく、或いは鉄道憲兵隊とて多くが失われているかも知れない。


 身元が完全ではない鉄道関係者が溢れ返っていても不思議ではない。物流の停止は、食糧供給の停止を意味する。そうなれば革命は避けられず、鉄道路線は過密な計画の下で運行されていた。


 その辺りもトウカの計略であると帝国陸軍総司令部では推測されていたが、鉄道網という帝国全土に張り巡らされた巨大な人工物を防空可能な計画や装備など、未だ起案すらされていないのが現状である。


「現在の帝国鉄道の時刻表(ダイヤ)を知っているかね? 過密も過密。そうした状況で臨検や荷物検査など徹底できるはずもない。車輛が失われ、人員も失われた。補うべく、無理が続き、時間を取られる行為は避けねばならん」


 装甲列車が陸軍から鉄道局に臨時編入された出来事も、労農赤軍への対策の一環というだけでなく、労農赤軍への抑止力であった。ユーリネンが想像しているよりも労農赤軍は強大化している。


「帝国東部を護り、労農赤軍の浸透を抑えよ。先んじて防護を固めるのだ」


 ドルゴルーコフの言葉に、ユーリネンは困難を察して言葉を返せない。


 不正規戦を得意とする相手に有効な対策は人心掌握を行い、貧困を低減する事であるが、それは軍隊の職分を逸脱する。政治の主戦場であり、多大な予算を要する行為でもあった。


 不正規戦への対応は、領土拡大に熱心な帝国という国家に於いて、陸軍に義務付けられた宿命に等しいが、既に各地で火の手が上がっている状況では対処能力を超えている。自慢の砲兵は皇国で大部分が放棄され、共和国戦線でも必要とされている状況では、民衆に対する力による支配はおぼつかない。


「その為に成せる全てを成せ。手段は問わぬ。予算も後ろ盾もある」


 自前で帝国東部の貧困問題の是正に対処せねばならないのだ。


 持ちうる総てを賭して。


 それは軍人の職務を逸脱する傾向にある帝国に在っても、政治への過度な介入に値する行為である。端的に言えば、帝国東部の貴族を纏め上げて統一的な方針の下で共産主義者の侵入を抑止せよと言っているに等しい。


 独立国に等しい扱いであり、もしも成すならば総督府を設立するべき案件ですらあった。


 ユーリネン子爵領が帝国東部沿岸にある為、無視し得る問題ではなく、寧ろ全てを叶える好機ですらある。


 しかし、それを見越しての抜擢であるというのであれば、ドルゴルーコフはユーリネンの野心を見透かしていると捉える事もできる。安易に同意する事は憚られた。ユーリネンは唸ることで困難であるという姿勢を暗に示して見せる。


「やはり、後ろ盾というのは、白き女帝殿でしょうか?」


「そうなる。恐らくトラヴァルト元帥は退役させられぬから、帝姫一人の後ろ盾となるだろうな」


 エカテリーナだけではなく、リディアまでもが後ろ盾となる可能性もあった事を易々と吐露するドルゴルーコフに、ユーリネンは既に子爵家当主として領地運営を理由に遁走する道がない事を悟る。


「エカテリーナ帝女が議長決裁(キャスティングボード)を握られるとの解釈で宜しいでしょうか?」


 見目麗しい帝族の姫君、それも政治力に秀でた文官として名を馳せる人物ともなれば、御飾りに甘んじる筈もない。ましてや謀略や政略で実績のある彼女との主導権争いともなれば、ユーリネンとて不利は免れない。領地で周囲に親交のある貴族が無数とあれど、相手は帝族で政治に秀でた姫君である。門閥貴族や中央政府が介入すれば、天秤がいずれに傾くかは不明瞭であった。


 権威というものに挑戦する経験はなく、忌避感だけはある。


 ユーリネンとしては、権威というものの有効性を測りかねており、踏み込み、寄り添うべき距離というものを未だ掴めていない。皇国侵攻では、リディア相手に散々と意地を張って見せたユーリネンだが、それは彼女の軍人気質を知るが故のものである。周囲もそれを理解し、良しとしていたからこその蛮行と言えた。


「卿は主導権を求めるのか?」


「貴族です。領地の繁栄を求めます」


 主導権なくとも利益が生じるのであれば、ユーリネンとしては望ましい。主導権を持つと言う事は責任を背負うという事であり、危険性が増大する。


 問題は意見が分かれた場合、どちらが優先権を持つかという点にある。


 思案の表情もなく、ドルゴルーコフはナタリアを見やる。


 ――そうか、そこに繋がる訳か。


「このナタリア君……ケレンスカヤ中佐も付ける。彼女が困った拾い物をしてきてね。ドヴィナなら面倒も少なかろう」


 これ以上の情報を得ることは難しく、ナタリアを経由して情報を得るべきだというドルゴルーコフの善意を、ユーリネンは黙して受け取る。


 エカテリーナがナタリアという人事を押し込んだとは考え難い。露骨に過ぎるという事もあるが、正面切って人員を一人押し付けたところで大局に影響を及ぼすものではなかった。おとりにして複数人が影から張り付くという可能性があったが、ユーリネンはその点を心配していない。


 ユーリネン子爵領邦軍の防諜能力は、帝国に在って絶大なものがある。


 嗅覚や視覚、聴覚に優れた獣人種が数多く従軍しているからであり、幾らエカテリーナが政略に秀でていたとしても、鉄壁であるとユーリネンは確信していた。それ故に、ユーリネン子爵領や周辺の貴族領主は領内に異種族を匿う事に成功していた部分もある。叛乱が起きぬのであれば良しと、辺境に対して中央が徴税以外に興味を示さなかった事もあるが、同時に諜報を意図した工作員の流入を可能な限り阻止していた。情報面での封鎖を重視し、経済も周辺貴族との連携を重視し、輸出も海産物加工品を船舶によって行っている為、閉鎖性は維持されている。


 そうした努力と、中央に対して不干渉を維持させる政治的手腕は、先代ユーリネン子爵の頃に最盛期を迎えた。


 現在は、中央政府が度重なる戦役に疲弊し、以前よりも更に辺境地域へ興味を失った事で自然と安全が確報される状況に陥りつつある。今次戦役に於ける獣人系種族の存在を知りながらも辺境軍所属の師団を動員した点にも、そうした姿勢は窺えた。


 ――さて、彼女がどの様な情報を持っているのか。


 ユーリネンはナタリアを一瞥し、軍帽を被る。


「やんごとなき血縁からの“願い”とあらば選択肢はありますまい」


 ――これは腹を括るしかないな。


「違いない。権威とは振り翳すものではないのだが、若さゆえであろうな」


 ドルゴルーコフは返答に困る言葉を返して、ユーリネンが何とも言えない表情をする事を楽しんでいる。少なくとも、そう確信したユーリネンは努めて無表情を装う。 


 不意にドルゴルーコフは緩やかな笑みと葉巻の日を揉み消す。


「……全てが終わってしまった後は、思う最善を成すといい。貴官に一任する」


 圧し折られた葉巻が躍る灰皿に落とされた視線から、ドルゴルーコフの感情が垣間見える事はない。


 ユーリネンは黙して次の言葉を待つ。


 宿将は今、何ものをも視界に収めていない。


 遠く何処かを見ていた。


「……君の祖父は盟友だった。大した男だった。この帝国に在って意地を張れる男だった」


 不意の一言。


 (いの)る様に囁かれた、それでいて断固として事実であったと確かめる様な言葉に、ユーリネンは目を見開く。


「それは……」


 寡聞にして知らぬ事実であり、幼少の砌に幽明相隔てる事となった祖父が宿将の戦友であった事を知る機会などなかった。彼にとり、祖父とは窓際で小難しい表情で書類を読み漁る横顔しか印象に残らぬ相手であった。政局に敏い偉大な人物であったが、家族や個人としての姿はそこにない。


「有能の士はどんな足枷を嵌められていようとも飛躍する……そう思ったが、あれは違った」


「領地にしか興味を示さない人物であったと聞いています」


 木漏れ日の様な笑み。糸目は真実を映さないが、そこには懐古と追慕の色があった。


 領地運営と言えば聞こえは良いが、帝国では獣人系種族の人権が認められていないという点を逆手に取り、人口計算を過少に見積もって領地を小さく見せ、中央政府へ税収の申告を低減したりなどの逸話がある。未開の森林の最奥に獣人系種族の都市を造成し、協力を取り付ける事で輸出製品の生産や軍備を拡大させた。


 放置に等しい辺境である事を差し引いても、大胆な脱税と過少申告である。


 その先に一体、何を見ていたのか?


 領地が単独で運営できるように消費財の生産と軍備を整えると言えば、非常時の備えと言えば聞こえは良いが、武器弾薬の備蓄が非常識な規模があった。加えて獣人系種族を主体とした戦術行動の模索は三〇年の歳月をかけて実施され、その精華は対皇国戦役で発揮され、後衛戦では貴重な時間を稼いだ。


 ユーリネンは領主になって気づいた。


 祖父は帝国東部に独立国を夢想していた。


 あの帝国の国力が健在であった頃に野心を抱いた祖父に、ユーリネンは恐怖すら覚えた。そして機会を得られずに没した点がそれを助長する。冷徹に機会を窺い続ける忍耐と、中央政府に不信を抱かせない政治手腕は卓越したものと言えた。


 不出世の怪物。


 今こそ必要な人物であったかも知れない。帝国にとっても、帝国東部にとっても。


「意地を張れ。君も男だろう?」


 その意味するところは明白であり、ユーリネンは息を呑む。


 ――俺に意地を張れと言うのか。あの祖父の如く。


 運命の女神は未だ微笑む先を決めかねていた。






 命令の基本は、精神的にも実践的にも、常に攻撃的でなければならない。だから、防禦もまた次の攻勢の準備として考えられねばならない。

                    《亜米利加合衆国》欧州派遣軍総司令官 ジョン・パーシング元帥



「彼は政治に介入しなかった。しかし、政治の方がやってきて彼に介入した」


                    《仏蘭西第二帝政》作家 ロマン・ロラン



『有能の士はどんな足枷を嵌められていようとも飛躍する』

                   

                    《仏蘭西第一帝政》 仏蘭西人民之皇帝 ナポレオン・ボナパルト



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