大事故! そして大手術の末には――?
世界の始まりは赤色とコンクリート。
ヒロキくんは学校の窓から飛び降りたので、ぐるぅんぐるぅんと回転してコンクリートの直撃しました。突き落とした同級生は笑いましたが、状況のヤバさを察すると死にそうなほど顔を青くしました。
とあるモノクロ色の病院。
顔が三日月形の女性がココロを失ったような顔をして、ゲル状の医者と真剣な話をしていました。
「先生、息子は大丈夫なのですか!?」
三日月形の顔を真っ赤にしている女性に、ブタの屠殺を見学するように申し訳なさそうな様子で。
「……一命は取り留めました。ただ……」
「ただ、……?」
「ええ、実はですね……息子さんが窓から転落して、頭を強く打ってからの対応がとても鈍重と言いますか、スムーズではなかったので、通常より危険な状態で手術を迎える事になったのです」
「危険……」
恐ろしい言葉の数々に、三日月形の女性は今にも吐きそうな表情でした。
「ですので……通常とは違う方法で手術する事になりました……、今の彼には、脳に特殊な装置を取り付ける事で生存している状態です。……彼に直接会った方がいいですね」
三日月形の女性はゲル状の医者に連れられると、そこには包帯でぐるぐる巻きにされたヒロキくんがいました。
「ヒロキ! 私がわかる?」
ヒロキくんは女性を見て、少し驚き、怯えましたが、すぐに女性が誰かわかりました。
「おかあ……さん?」
ヒロキくんは包帯で目まで遮られている訳でもありません。声も届いている筈でした。それでもすぐに自分に反応してくれなかったことが、女性を悲しませます。
女性は嗚咽を漏らしました。
すると女性の顔の形は、グニョグニョと変形を繰り返して、靴に踏まれたパンの様にグチャグチャになりました。