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三話 <視点・ルゥカ>

一話ずつですが、今日・明日・明後日と三日間連続投稿を試みたいと思います!

本日はその第一弾!

 結局また外れてしまったけど秘密基地みたいなこじんまりした感じをルゥカは気に入っていた。

 この場所は例の考古学者以外にも誰か、例えば女の子または、女性が使っていたのではないかと思う。

 小難しい書物や色々と書き留められた紙の束は考古学者のものだろうが、小さな小物入れや表面に小花のあしらわれた宝石箱のような物は明らかに女の子が好みそうな代物だ。中身が入っていたかは蓋が開かなかったから分からない。

 秘密基地と言えば何か仕掛けがあるはず、と思ってあちこち触ってみたがこれといって手応えはなかった。たまたま目に入ったいかにも抜いてください、な石をつい勢いで抜いたけど特に何も起こらなかった。

 あんなに苦労して道ですらない道を通ってきたのに・・・・・・と落胆していたら、エクルが

「ねぇ、何か音が聞こえる」

 と言って耳を澄ませ、静かにと人差し指を口元で立てた。

「え・・・・・・?」

 ルゥカもつられて耳を済ませる。

「「・・・・・・!?」」

 突然先ほどルゥカが石を引き抜いた穴から水が噴き出してきた。

 勢いよく噴出す水は弱まるどころかさらに勢いを増し、あっという間に胸の高さまで上昇してきた。

 とっさに腕を伸ばしエクルの手を握る。

「ど、どうしよ!?」

「とにかくここから出なきゃ窒息するよ!」

「でもどうやっ・・・・・・きゃ!」

「大丈夫・・・・・・わっ!」

 引っ張られる感じがして身体が傾ぐ。そのまま視界が揺れてザブッ、と言う音の後すぐに息苦しさを覚えて必死で水中から顔を出す。

「う、ごほっごほっ。エクル!あっ!」

 手が届く所に天井があった。エクルの名前を呼ぶがすぐにまた水の中に引きずり戻された。ぐるぐると世界が回り途中で二、三回息継ぎができたがやはりすぐに水中に引き込まれる。息苦しくて、それでも一生懸命にもがく。

 ――――どれくらい流されたのだろう?気がつくと不思議な浮遊感がして身体が薄い膜のような、泡のような物に覆われていた。石鹸を泡立てた時にできる泡とよく似ている。息ができるのもこの泡のおかげだろう。

 片手はしっかりとエクルの手を握っている。

 エクルは空いた方の手で胸元を押さえている。ルゥカからは見えないが、たぶん眉間にしわを寄せて苦しそうにしているに違いない。

 二人を包むこの泡はエクルが造ったものだ。

 エクルは奇跡をおこすことができる。何もない所で火を熾したり、瞬時に水をお湯にかえたり、その逆もまた然り。

 けれどそれらを行うことはエクルにとってかなり負担になるらしくめったにやれることではない。曰く、心臓をわし掴みにされているみたい、らしい。

 だから、この能力(ちから)はとっさの時や他に手がなくどうしようもない時にしか使わない。

 はやく、一分一秒でも。はやく外へ出られないか、そもそも今どの辺りを流れているのだろうかとルゥカは首を巡らす。

 と、後ろを振り返ったところで光苔以外の灯りが見えた。それが段々近づいてくると縦にポッカリとあいた裂け目だということが分かった。そして大量の水と共に吐き出された。

 波に乗せられ数メートル滑走し、パンッと弾けるような音がして二人を包んでいた泡が消えた。

「はぁ、はぁ・・・・・・」

 ぐったりと四肢を投げ出してエクルが荒く息をする。

「エクル・・・・・・」

 息を吐きながら名前を呼ぶが、ルゥカも座り込んだまま動けない。

 一体どこに吐き出されたのかと周囲に目をやる。

 青々と茂った草や木が四方に生えている。折り重なる枝の間からは木漏れ日が射し、そこだけ見ると穏やかなとある昼下がり、だ。どこからともなく鳥の囀りまで聞こえてくる。風がそよと吹き木々と土の匂いを運んでくる。

 ガサ、ガサガサッ。突然木々の間から人影が飛び出してきた。エクルはまだ荒く肩で息をしている。ルゥカは一瞬その人影と目が合った。

「っ!?」

「え?」

「あ・・・・・・」

 ガッ、ズズズーー。エクルの足に足を引っ掛けその人影は一メートルほどの距離を盛大に滑っていった。

(うわ、痛そう・・・・・・)

 つい同情してしまう。

「・・・・・・・・・・・・」

 ピクリともしない。

「・・・・・・いっったーい!」

 ガバッ、と上半身を起こして叫ぶ。声が高い。頭の天辺からすっぽりと被っている上衣のせいで性別も年齢すらもわからない。

「女の子?」

 こちらに背を向けているからはっきりしたことはわからないが、そんな気がする。

 エクルがゆっくりと上体を起こすのが目の端に映った。

「痛い。鼻のあたま擦った、ひざ小僧も擦れたよー」

 なんか涙声だけど大丈夫なのかな?とちょっと思う。

「うぅー、・・・・・・あっ!それどころじゃなかった!」

 (多分)少女はくるりと振り向くと何の前振りもなしに言った。

「追われてるの。逃げて」

「「・・・・・・は?」」

 言われた意味を理解しかねて姉弟で気の抜けた声を出してしまった。それもハモった。



物語初の魔法発動です。

けれど、魔法を使うには代償が伴います。それが世界の仕組みなのです。

そして、謎の人物登場!出てきてそうそう地面となかよし。


閲覧ありがとうございました。

明日も同じ時間に投稿します。

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