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一人百物語 2

いつもそこに

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/20


介護施設で働いている介護士の大矢さんの話。

ある日大矢さんが施設二階の廊下を歩いていると

廊下の途中に二つ並んでいる洗面台の下に、足があった。

カーキ色の作業服の様なズボンと黒い長靴か軍靴の、左右膝から下あたりだけの存在が、洗面台の下に立っていた。

大矢さんはぎょっとなり、慌てて通り過ぎて一階へと階段を下りた。

その大矢さんを、足はしばらく追って来たという。足は兵隊の足の様にも思えた。

大矢さんは一階の職員室へと飛び込み、ピシャリと扉を閉めた。足は階下までは追ってこなかった。

蒼い顔をしている大矢さんに、部屋にいた看護師の島本さんがどうしたの、と声をかけた。

「あのね…」

変に思われるかと思いながらも、大矢さんは追って来た足の事を話した。すると島本さんは

「ああ。あれ。大矢さんにも見えるんだ」

と眉をひそめた。

島本さんの話によれば、足だけの存在はいつも二階の洗面台の下の決まった場所に立っていて、時々後を追ってくるのだという。

が、どうやら追って来られるのは二階の廊下だけで、階下に来る事はできないらしい。

追って来られた者が階段を下りだすと、いつも二階の階段の下り口のところで止まり、しばらくじっとしているのだという。

そしてまた洗面台の下に立っているらしい。



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