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夜は完全に明けていた。
光は、すべてを同じように照らす。
一流のものも、
基準を下げたものも。
光は、区別しない。
だが――
人は、区別することが出来る。
コンラッド・ヒルトンは、日本を見つめながら言った。
「国が一流へ戻る方法は、複雑ではありません。」
「難しいのではない。」
「決断が必要なだけです。」
その隣で、ポール・ラッシュが静かにうなずいた。
「そして、その決断は、制度の前に、人の中で始まります。」
日本が一流へ戻るための、最初の五つの行動
基準を、言葉ではなく「行動」で示すこと
ヒルトンは言います。
「人は、命令では変わりません。」
「基準によって変わります。」
例えば、
納期を守る
小さな約束を守る
見えない部分を整える
それは、小さなことに見える。
しかし、その積み重ねが、
組織の「現実の基準」を決めます。
一流とは、
宣言ではなく、習慣です。
責任を、上にいる者から取ること
ラッシュは、はっきりと言います。
「組織の基準は、上から決まります。」
上にいる者が、
言い訳をするか
修正するか
責任を引き受けるか
それを、全員が見ています。
もし上が責任を取れば、
組織は強くなる。
もし上が責任から逃げれば、
組織は静かに崩れ始めます。
若者を「管理」ではなく「信頼」すること
ラッシュは、日本の若者を深く信頼しています。
「若者は、弱いのではありません。」
「基準が示されていないだけです。」
若者は、
本物の基準を見れば、
自然に、それに応えようとします。
問題は、能力ではない。
基準です。
第短期の評価より、長期の信頼を選ぶこと
ヒルトンは、強く言います。
「短期の成功は、国を強くしません。」
「長期の信頼だけが、国を強くします。」
そのためには、
今、評価されない決断をする勇気が必要です。
一流とは、
十年後の信頼のために、今日を使える者です。
「自分から始める」と決めること
ラッシュは、最後に最も重要なことを言います。
「国は、誰かによって変わるのではありません。」
「一人ひとりによって変わります。」
政治家が変わるのを待つ必要はない。
会社が変わるのを待つ必要もない。
自分の基準を上げることは、
今、この瞬間から出来ます。
風が、日本の上を静かに吹いていました。
それは、試す風ではありません。
問いかける風です。
あなたは、どの基準で生きるのか。
ヒルトンは、最後に言いました。
「一流とは、選ばれる結果ではありません。」
「選び続けた結果です。」
ラッシュも、静かに続けました。
「そして、その選択は、毎日行われます。」
特別な日ではない。
今日という、
普通の日に。
その日々の積み重ねが、
静かに、
しかし確実に、
国を、再び一流へと導いてゆくのです。




