表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

これは私のお話

「でもさぁ……なんでだろうな。何回も死に目にあったのに……あったのに……」


 涙。涙が出てきている。私も、彼氏も。


「人が死ぬって……大事な人が死ぬってなると……泣いちゃうんだよ。潤の時も泣いたよ。海の上で泣いたよ。だって揺さぶっても起きないもん。死ぬなら『死ぬ』って言ってくれないと寂しいじゃん……悲しいじゃん。要らんことばっか言うのに、そんな大事なことは言わないんだぜ……アホだよ。最低なヤツだよ」


 ……どっちもどっちだったんだ。生き過ぎても、生きなさ過ぎてもダメなんだ。人間はちょうどよくできてるはずなんだ。

 はずだったんだ。だからこうして私たちは泣いている。苦しんでるんだ。


「君も……死んじゃう。もう疲れたよ。まっすぐに歩いていたはずなのに……もうぐにゃぐにゃの線になっちゃった。死ぬべきところで死ねないとこうなっちゃうんだよ人間って。家族も死んだし、友達も死んだ。君と出会う前にも恋人はいたさ。普通に別れることもあったし、死に別れもあった。結婚して、普通に暮らして、子供もできたことがあった。先に子供の方が寿命で死んだよ」


 先のない道。私は壊れた橋を渡っていた。私だけが渡っていると思っていた。一人で。孤独に。

 しかし隣の橋には彼氏がいたんだ。私と違って壊れてはいない。ただ永遠に続いている。彼氏は永遠に橋を渡り続けていたんだ。


「……ずっと聞こえるんだ。『なんでお前は生きてるんだ』って。『いつまで経っても姿は変わらないんだ』って。耳が壊れるくらいには聞いたよ。俺にもわかんないのに聞かれても困るな」


 そう考えてみると、橋には私だけがいるんじゃなかったんだ。普通の人。普通の人も私と同じ橋を渡っていたんだ。


「もう嫌だ……俺は……僕は……誰かと死にたい……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ