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やっぱり死にたくないお話

「死ん……じゃったの?」


「そりゃあ神風特攻隊だからな。死んじゃった。僕は不老不死だから死ななかったけどね」


「え……」


「死ぬ前は良かったよ。一緒に酒飲んで……ね。正直不味かった。他のみんなは『美味しい』なんて言ってたけど。もうすぐ死んじゃうって知ってたからかな。僕も美味しいって……感じたかった」


……。


「は……はは。アメ公の船に突撃してさ。流石の俺も意識が飛んだんだよ。そんで海に落下。死なないって言ってもさ、やっぱり海に沈んだら詰むんだよ。体動けないから永遠に苦しんじゃうの。それだけは不味い。でも意識が飛んでるからどうにもできない。色んな意味で死んだ、って思って心の中で今の両親とか昔の両親とかに『ありがとう』って伝えたんだよ……」


……。


「ふと目が覚めたら空。水には浸かってるけど沈んでない。なにごとって体動かそうとしたらさ……潤がいたんだよ。俺の下敷きになっててさ。死体って結構浮くんだな。半身ぶっ飛んでんのによ。まぁ実際はドラム缶と俺が潤を挟み込む感じになってただけだったんだけどな。あはは」


……。


「まだあいつ生きてて……『帰りたい』とか『もう嫌だ』とか『お母さんに会いたい』とか『死にたくない』とか言ってたんだよ。臆病者だよな。だから言ってやったんだ。『死にたくなけりゃ、死ぬ気で生きろ』ってな。そしたらアイツ笑いやがったんだ。……『あはは。やっぱりお前は頭おかしい』って。そしたら動かなくなってやがんの。俺が言い返す前に死にやがって。あはは……馬鹿なヤツだよ」


「……」


「俺は何百年も生きてるから、こんな死に目に何回も会ったんだぜ。だから君のような人を見るのも……何回目だろ。わすれた」

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