ふたつめの光
ソナは言っていた「学校は行きなさいよ?たとえ大切な任務があろうとも、学校に通えるのは貴重な経験なのだから。」
大知とほのかは頷いた。
学校は2日ほど休んだが、普通の欠席扱いで終わったので助かった。
高速道路で人助けてました。なんて誰が信じるんだろう。
あれから2週間が過ぎた
授業中ほのかは考えていた。
ユーテの民は死ぬまでカシュパネに居なくてはならないのかな。
想像するとぞっとする。
それもこれも私達、表の人間の世界のために。
なぜ、そんなふうになったのか?
そもそもずっとそうだったのか?
世界ってなんて複雑に出来てるの。
ほのかは教室から見える校庭やその向こうの景色を見つめた。
会って当たり前な世界が多くの犠牲のもとに出来てる。
私達はもっと今に感謝しなくちゃいけない。
放課後、大知と一緒に下校する。
真剣な顔をしてるほのかに大知は気がついた。
大知「ほのか大丈夫か?」
ほのか「大丈夫。色々考えちゃって。」
大知「だよなー なんか世界が違う風に見えて来るよ。」
ほのか「うん。なんか私達だけ、なんの苦労もせずにこの世界にいるって気がして。」
大知「まさか人が植わってるなんて」
ほのか「大知、植わってるはちょっと違うかも。」
大知「! ごめん!言葉が浮かばなくて。」
ほのか「ユーテは何代も何代もそれをしてきたんだね。」
大知「家族は離れ離れになるんだろうか?」
ほのか「家族、、かあ。」
大知「寂しかったり、悲しくても、出られないんだもんな。」
ほのか「ねぇ、大知、どうしてカシュパネは出来たと思う?」
大知「ええ!? 難しいこと言うなあ。なんで、、必要だったからだろう。」
ほのか「なんで人間が必要だったの?」
大知「推測するにユーテの民族は不思議な力を持ってるんじゃないかな。」
ほのか「不思議な力?」
大知「そう、俺達、表の人間よりもきっともっと強い。」
ほのか「そうなんだ。」
大知「世界はユーテの力が必要なのは確か。」
ほのか「うーん。」
大知「念能力とかもあるじゃないか?」
ほのか「念能力!?」
大知「ああ、世界を創造して、維持する念能力。」
ほのか「なるほど。それだけ、世界を維持するのって大変なんだね。」
帰りの分かれ道が現れる
大知「じゃあまた明日!」
ほのか「うん!」
ふたりは家路につく
夕飯をすまし、晩御飯を食べたほのかはぼーっとこれからのことを考えていた
名前も知らない誰かがまだ苦しんでるんだ
世界の成り立ちに人が使われたのはなぜなんだろう?
人は世界を支えてる
ユーテは世界そのままの中に溶け込んで
私たちは実際に動かしている
そんなことを考えていたけれどいつの間にか眠ってしまっていた。
朝になって目が覚めたほのかは朝食を食べにリビングへ向かう
いつもの習慣でにテレビをつける
火事のニュースを放送している
場所は近くじゃないか
良く見るとその火事の現場の前の家、緑の光が見える!
ほのか「いた!」
朝ご飯を急いで食べて身支度をすませる
ソナ!
急いで彼女に知らせないと!
制服をひるがえしてほのかは学校へ走る
ほのか「走って来たはいいけれど、誰もいないわ」
静まり返った校庭の横を通り過ぎながら校舎へ向かう
ふと人の気配を感じた
振り向くとそこにはソナがいた。
ソナ「ほのか、なんて顔してるの」
ほのか「ソナ!」
ソナ「どうした?なにかあった?」
ほのか「やっぱりユーテは不思議な力があるんだね」
ソナ「あるかもね。元々人知を超えた空間にいるから備わっているのかも」
ほのか「そうなんだね、ソナ!また囚われた人を見つけたの!」
ソナ「本当か!」
ほのか「うん!ニュースで火事の場所のすぐ近く!」
ソナ「大知を連れて放課後会いましょう」
ほのか「わかった!またあとでね!」
ソナはシュッと消えた。
ほのか「どうやって消えれるんだろ、ソナが凄すぎるよ」
放課後、大知を捕まえて事の次第を話す
大知「わかった!一緒に行こう!」
ほのか「大知、またフォローよろしく!」
大知「当り前じゃないか!俺はいつだって…いや、なんでもない」
ほのか「?」
大知はそれ以上つっこまれないように話題を探した
ちょうどソナが視界に入った
大知「ソナ!」
ソナ「おそろいで。さあ、行くわよ。カズを連れてきたから」
カズ「やあやあ。誠は無事に回復して帰ったよ。」
ほのか「良かった!」
車に乗り込む。
ものの5分で着いたその先は火事の悲惨な光景であまり近づきたくは無かった。
大知はさあ行くぞと行ってほのかの背中を押した
怖くない ソナも大知もカズもいるんだから。