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【完結】聖女級の治癒力でも、魔族だとバレるのはよくないようです ~その聖女、魔族で魔王の嫁につき~  作者: 稲山 裕


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第二章  五十五



 工業区の会長の館、その会議室でも話し合いがされていた。

 それはまだ、日が暮れてすぐの薄明の頃。

 完全な夜が来るまでの、数十分程度は明かりが残る。


 二人はその光を受けながら、明日に控える模擬戦の様子を思い描いている。

「レモンド。本当にあれを使う気か」

「当然だウレイン。試験運用にゃ丁度いい。そう言っとるだろうに」


「しかし……あまり奥の手を見せるのはなぁ……」

 ウレインは、レモンドに不安を見せていた。

 すでに何度も同じ事を話し、同じ結論を出しているにもかかわらず。


「大丈夫だぁね。実弾はゴムに変更したし、レーザー兵器の出力はまぁ、指に当たるとあぶねぇかもだが最小にしてあるで」

「他のマズいものは使ってくれるなよ、本当に」


「核融合炉は街で使ってんだし、飛空装置も車で見せてる、マズいもんなんてねぇよ」

「あの実験のものは? 後になって取り付けていただろう」


「ありゃあ保険だ。もしも本体に傷が付いたら、目も当てらんねぇ。んでも、自動発動だし模擬戦レベルの火力じゃ、発動なんてせんせん」

「しかしな……第一王子はろくなことを考えん人だからな……」


 考えや作戦に抜け落ちがないだろうかと、ウレインはとことんまで思案する男だった。

 専門外であるからこそ、レモンドの気楽さが仇になるのではと、そう考えている。



「だけんど、軍に出回ってる兵器の火力じゃ、ビクともせんのだから。杞憂だ、ウレイン」

「転生者対策は、本当にしてあるんだろうな」


「んなの当然だぁねウレイン。あの勇者と賢者のレベルでねぇと、あれは発動せんだろうから」

「不参加か?」


「その様子だよ。よっぽど前のがこたえたんだろなぁ」

 聖女に挑み、卑怯な手を使った上で全力を尽くしてなお、敗北した勇者達。

 彼らは、命尽きる所に情けをかけられた事で、さすがに恩を感じたらしい。


「ふむ……」

「なんにしても、あれの装甲は破れねぇってば」


「しかし魔王はどうだ。彼の力は未知数じゃないか」

「んまぁ……。んでもよ、開幕に斉射しといたら、いっくら魔族達や魔王が凄いっても、たまらんだろうし。怯んだところでもっかい斉射すれば、降参すんでねぇか?」


 二人があれと呼ぶ物は相当に堅固なようで、そして斉射というからには、それなりの数を用意しているのだろう。

 魔王の力を見た事がないとはいえ、二人は文献などから推察はしている。


 その上で、大丈夫とレモンドは言う。

 そして二人共が、防御に関して魔族は、聖女無しでは並みの生物と同じだろうと踏んでいた。


「まぁ……それはそうだろうが……」

「んだね。どっちが早く降参すっかってぇ、そういう勝負になんだろうから」



  **



 そして魔王城では、聖女が魔王の考えに不満を漏らしていた。

 二人の話し合いはいつも、寝室のベッドの上と決まっている。

 そう決めたわけではなかったが、いつからかその縁に腰かけ、横になるまでの少しの時間がそのようになっていた。


「魔王さま。ほんとにお一人で参加するんですか?」

「他に居ても居なくても、変わらんからな」


「それはそうでしょうけど、何か、心配です」

「何が心配だ?」


 魔王は、この話は何度もしただろうと、愛する聖女にさえ冷ややかな目を向けた。

「お怪我をされないか、とか」

 またそれか。と、魔王は辟易とした態度を取る。


 しかし、以前ならそれで怯んだ聖女も、今ではそれさえ、愛おしいと感じるようになっていた。

 つまりは少々熱があるという事で、それは魔王にとって、面倒この上なかった。

 彼も彼女を愛するがゆえ、無碍には出来ないからだった。



「するはずがない。それに、一瞬で治るんだから大丈夫だ。何度も言っているだろう」

「あの王子が、絶対何か企んでますよ。模擬戦に紛れて、ぜったい直接、攻撃してくると思います」


「だとしても、人間の力では俺に傷ひとつ負わせられんぞ」

「う~ん……女神の封印を施した物が、実はまだ残ってるとか」


 それを言われると、魔王は弱かった。

 一度は女神の封印にしてやられた身では、強くは出られない。



「あれか……だがまぁ、あれの発動から完全に作動するまで時間がかかるからな。その時はお前が助けてくれ。そこは頼りにしているぞ、サラ」

「えっ……はいっ! お任せください魔王さま。私、魔王さまをお護りしますっ!」


 ここで不意に、聖女は何を喜んだのか、魔王への態度を変えた。

 不安をぶつける様子が消え、嬉々としてお支えするのだと、目を輝かせている。


「ハハハ。ああ、それに今からも、お前の頑張りを見せてもらおうか」

「ふぇ? きょ、今日もなさるんですか? 明日に備えて早く寝たりは……」

「冗談だろ?」


 この雰囲気になると、聖女は途端に大人しくなる。

 従順で、素直で、魔王のすることを全て受け入れるという、深い愛を示す女になる。




「おもしろい!」「続きが気になる、読みたい!」「今後どうなるの!」

  

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 何卒よろしくお願い致します。  作者: 稲山 裕



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