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【完結】聖女級の治癒力でも、魔族だとバレるのはよくないようです ~その聖女、魔族で魔王の嫁につき~  作者: 稲山 裕


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第二章  二十七、会長の疑念


 レモンドの非難など、聞く耳を持たぬ。

 会長はそういう態度だった。


 運転手が悠々とリムジンのドアを開けると、会長と見られるインテリな風貌の中年男性が降りてきた。

 縦ストライプのスーツをビシっと着こなし、こちらでは珍しい黒髪を真ん中で分けている。



「聖女様……で、合っているんでしょうな」

 黒い瞳でジッと、疑り深そうに鋭い視線でねめつけてくる。

 それをレモンドが、私の前に出て声を荒げた。


「会長! なんて失礼な! あっしの命の恩人だと、他の皆も救ってもらってると、そう説明しただろうに!」

「それには感謝している。だが、諸手を挙げて喜んでばかりもいられない状況になった」

 物静かだけど、有無を言わせない物言いは、さすが会長職といったところだろうか。


「一体なんだってんです! ともかくその、攻撃ドローンを下げさせてくだせぇよ!」

 やっぱり、あの大きな円盤型はそうだったんだ。



「その聖女様が、人間ではないとしても。か?」

「はぁ? 何いってんだ!」

「ともかく、話がしたい。ついて来てもらおう。レモンド、お前も一緒でかまわない」


「ったく……聖女様、こんなことになってすまねぇです。あいつは、悪いやつじゃねんですが融通のきかんとこがあって……」

 レモンドは心底申し訳なさそうに、でも、この場は言うことを聞かないと、どうにもならないだろうと言った。


「はぁ……。いいですけど、ヘンなことしないでくださいね」

 ――騎士団長もひと目で私を魔族だと見抜いたし、彼もその類かしら。


 それで、今度はあのドローンと戦う?

 馬鹿馬鹿しい。



「大人しくしてくれるなら、手荒な真似はせん」

 彼の頭の上の数字も、70近い。

 悪い人ではなさそうなのが、せめてもの救いかもしれないと思いながら言葉に従った。


「会長。ちゃんと説明してくんせえ」

「分かっとるいうとろうが。だが車じゃ落ち着かんだろが」


 会長も若干……なまっているのは同郷同士なのかしら。

 つられると言うし、ね。

 そしてそれ以降、沈黙のまま車で滑るような乗り心地で、会長の屋敷に連れていかれた。



   **



 会長の屋敷は、工場のように大きなものではなくて、常識的なサイズの、三階建てのお屋敷だった。

 両開きの玄関口。その前で降ろされると、中に案内された。


 その一階にある応接室で、奥にあるデスクに会長、そして来客用のソファに私とシェナ、正面にレモンドという位置に座らされた。

「会長。聖女様が人じゃねって、なんの話さね」


 レモンドが苛立ち紛れに言ったタイミングで、コーヒーがメイドさんによって運ばれてきた。

 濃いめに淹れたコク深い匂いに、ママとよく行ったカフェでの記憶が蘇る。

 ――こんな気持ちの時に、コーヒーの匂いなんて嗅ぎたくなかった。


「おもしろい!」「続きが気になる、読みたい!」「今後どうなるの!」

  

 と思ったら

  

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 何卒よろしくお願い致します。  作者: 稲山 裕



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