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【完結】聖女級の治癒力でも、魔族だとバレるのはよくないようです ~その聖女、魔族で魔王の嫁につき~  作者: 稲山 裕


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第二章  二十四、工業区


 王都の外。

 工業区は、城壁からかなり北に離れた所にあった。

 荒野の中に、無骨な箱をドスンと落としたような、一角だけの工場都市がずっしりと沈んでいる。


「ごちゃっと目立ってる……」

 異質な光景だった。

 辺りは岩肌だらけなのに、機械や入り組んだパイプで積み上がった、巨大な人工物があるから。


「あれでも整備出来た方なんでさぁ」

 レモンドはご機嫌な様子で振り向き、ニカッと笑ってまた前を向いた。

 空飛ぶ車を運転するのは、エンジニアの彼だ。

 白髪交じりの短い金髪が、開けた窓からの風にあおられている。


「じゃあ、昔はもっとごちゃごちゃしてたんだ」

「そりゃあ、工場ってのはそんなもんでさぁ」


 数日前、片腕を失って運び込まれた人とは思えないほど、はつらつとしている。

 私が治癒で腕を再生させ、一命を取り留めたレモンドは、工場をぜひ見て欲しいと言って譲らなかった。

 そのせいで、私はシェナと、この空飛ぶ車の後部座席に乗せられている。



「私が見ても、何も分かりませんよ」

 専門外もいいところだ。


 前世の私は、ただの悩める女子高生だったんだから。

 何かに興味を持って、独学しているもの……なんてなかったし。


「それでも、魔法に関しちゃあ、聖女様はこの国一番と言っても過言じゃねぇですから」

「治癒魔法ですよ。私は」


「だとしても、絶対に我々よりもお詳しい」

 転移について、口を挟んでしまったのがいけなかった。

 体が吹き飛ぶようなものは、そもそも転移魔法として根本を間違えている。

 そんなようなことを言ってしまった。



「無用な詮索をすれば、その箱ごと消し飛ばしてやるぞ。無礼者が」

「しぇ、シェナさぁん?」

 私の代わりに、イライラをぶつけてくれたのはいいのだけど……。

 バカ勇者にするみたいに、ただの技術者に対して、過激な発言はしないでほしい。


「はい、お姉様」

「あんまり、ぶっそうなこと言わないの。ね?」

 やり過ぎたことを反省して、シェナはしょんぼりと俯いた。


「ハッハッハ! うちの子も、よくそんな感じでヒーローごっこしとります」

 私としては、そうやって流してくれてありがたかったのだけど、シェナはキッと睨みつけた。


 ただ、彼の真後ろなのでバレてはいない。

 私はシェナを落ち着けようと、頭を撫でてご機嫌をとった。



「もうすぐですか?」

 飛ぶにしても、自分で飛んだ方が早くて、ゆったりめのスピードが徐々に疲労感として募る。

 シェナも、そのせいで余計に機嫌が悪いのだと思う。


「申し訳ねぇですが、町の裏側だもんで、もうしばらくでさぁ」

 しかも、安全のためか町を完全に迂回したものだから、さらに半時間を要した。


 ――眠っておけばよかった。

 近くだって言ってたのに。



   **



 工場町の中は、やっぱりもっと、ごちゃごちゃとしていた。

 道はだだっ広いし、工場と工場も離れている。

 なのに、だからこそ沢山あるパイプや、工場を這うように重なっている太いコードの束たちが目立つ。


 ――想像通りの街並み。

 ちなみに、支配人のウレインもエンジニアのレモンドも、頭の上の数字は70に近かった。

 それなりに善人。


 温和で良い人格の集まりという、商工会ギルドのメンバーなだけはあるかもしれない。

 ただ、その彼らも、自分の求めるものに対して純粋なようだから、強引なところがある。


 ――まだまだ、押しに弱いのね、私。

 今だって、断り切れずに工場見学に連れてこられたのだから。

 同行するシェナは、基本的に私と一緒なら機嫌はいいのだけど……。


「不思議な魔力反応が、あちこちにありますね」

「おおっ、さすがは聖女様です!」

 その反応が奇妙なせいで、シェナが警戒していて落ち着かない。

 まるで、微弱な殺気を当て続けられているような、そういう嫌な感じだからだ。


「わかった。監視カメラみたいなものですか?」

 視線というよりも、殺気であるのが気になるけれど。


「ご名答です! ですが少し違いまして、オートパトロールなんです。ここには城壁がありませんで」

「誰かが操縦しているとかではなく?」

「今は全自動化しとりますで。すごいもんでしょう!」

 言うなれば、丸いドローンだった。


 それはプロペラではなく、魔力回路というのを積んでいるのだろう。

 バスケットボール大の、黒っぽい球体。


「安定して浮いて……追尾もしてくるんですね」

 音がしない。

 気配も微弱。

 なのに、殺気が込められている。



「意外と侵入者がおりますもんで。気付かれずに拘束するために、静音性にもこだわっとります」

「……他国からではなく、国の間者ですか?」


「仰るとおりで」

「私とシェナは、襲われたりしませんか?」

 レモンドは、この微妙な殺気が気になりはしないのかしらと、首を傾げたくなる。


「きちんと識別しますんで、聖女様もお付きの方も、大丈夫でさぁ。今は、あっしと一緒に居るのを覚えとるとこだと思います」

「そうなんだ……」


 どんな装備を積んでいるのか、聞いておこうか迷う。

 ――自律型って、映画みたいに暴走したり……しないのかな、なんて。



「おもしろい!」「続きが気になる、読みたい!」「今後どうなるの!」

  

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 何卒よろしくお願い致します。  作者: 稲山 裕



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