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【完結】聖女級の治癒力でも、魔族だとバレるのはよくないようです ~その聖女、魔族で魔王の嫁につき~  作者: 稲山 裕


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第二章  二十三、姉妹の絆



「どうしたのぉ? なんだかご機嫌ナナメじゃないのよぉ」

 リビングにも寝室にも居ないと思っていたら、リズはお風呂に浸かっていたらしい。


 ホカホカとした熱と、フローラルな香りを振り撒きながら、ベッドの縁に座って髪を梳き始めた。

 長い金髪が、濡れてキラキラと光を映す。


「べつに……ナナメなわけじゃ」

 なんとなく、嫌な気持ちなだけで。


「あんまり人間とぉ、距離を縮めすぎると、よくないわよぉ」

「そんなこと言ったって……」

 枕に横顔を埋めたまま、私は頬を膨らませた。


「アハハ。サラは色々と真面目に考えすぎなのよぉ。どうせ、何かの事情とか聞かされて、それを背負っちゃうみたいになってイヤだったんでしょぉ?」

「え……わかんないけど、そんな感じかも」


 胸につっかえていたものの正体を、明かされたことに驚いて座り直した。

 気を遣い過ぎる性分だから、それが気にいらないだけかと思っていた。

 もう気にしない。

 そうは思っても、すぐに自由に振舞えるかと言ったら、そんなわけはないもどかしさ。



「またあれ、やってみたらぁ? 世直しのやつぅ?」

「あれは……ちょっともう、やだなぁ」


「どうしてぇ? 楽しそうだったじゃないのよぉ」

 リズの髪を梳かす姿が、同性から見ても、妙になまめかしい。



「だって、せっかく名前考えたのにさ。誰もそう呼んでくれないし」

「ドラゴンフェイスだっけぇ」

「ちがうぅ! そっちが皆勝手に呼ぶほう!」


「あはは、ごめんごめぇん。ヨモツヒルイでしょぉ」

 リズは時折、両目を細めて優しく微笑む。

 それを見せられると、心がふと落ち着いてしまう。


「なんだ、知ってたの?」

「だぁってぇ。お食事する時、み~んなそのお話してくれたもの。ここだけの話なんだけど、とか言ってぇ」


 皆、同じ話をしてくれたそうだ。

 特別に手に入ったんだとうそぶいて、情報通を気取りたかったらしい。

 それがどうにも、可愛らしく見えるというのだから、リズの懐は深い。



「露出狂みたいに言われたわ。あのデザイン、リズだったわよね」

「もぉ~。怒んないでよぉ。こわぁい」


「まったく……まぁ、カワイイのはカワイイけどさ」

「で、その名前だけどぉ。シェナちゃんの事を想ってつけたのぉ?」

 急にそれを言われて、驚いてしまった。


「えっ? ……そのとおりだけど、なんで?」

 あの言葉の響きは、この世界の人には分からないと思っていたのに。

「ヨモツって、黄泉の国の事よねぇ。ヒルイは、悲しい涙でしょ? わかるわよぉ」


 黄泉で悲しみに暮れる魂を、一人でも救いたいと思って呼び出した。

 その中でも、悲しみだけじゃなくて、強くありたいと願い続ける魂を。


「リズって、意外となんでも知ってるよね」

「意外は余計よねぇ?」

 そう言ってずいっと寄せて来た顔は、怒っているのではなくていたずらな微笑みだった。

 かわいくて、チュッとほっぺにキスしたくなるくらい。



「ダメです」

 と、いつの間にかシェナが、私を後ろから抱き止めた。

 ベッドの上で、後ろで座っていたらしい。


「な、なにがダメなのよ」

「いま、ちゅーしようとしてました。私にしてください」


 私が自分を解放する前に、シェナが先んじてそうしたような。

 今まではあまり、自己主張しなかったのに。

「し、しないわよ。どっちにもしない」



「とにかくぅ。人間って、ものすごく自己チューだから。優しく見えても、油断しないことよぉ。サラはすぐに信じ込んじゃうでしょぉ? だから疲れちゃうのよぉ」

「うん……。全部信じちゃう」


 ここまでは信用して、ここからは信用しない。

 なんて、器用に振舞えない。

 そもそも、そこまで深く考えていないものだから、マルかバツかになってしまう。

 そして、優しいなと思ったら、ひとくくりにマルにしてしまう。


「魔力のコントロールは上手なのにぃ。なぁんでそこだけ、そんなに不器用なのよぉ」

「うぅ……。だって、そんな風に考えたことなかったもん」


「考えないと、ダメよ」


 その言葉だけ、語尾を伸ばさない普通の言葉で言われた。

 冷たいわけではなくて、温もりのある響きなのに、厳しい。



「は……はい」

 思わず、かしこまってしまった。


「ふふっ。いいこねぇ。でも、ほんとにちゃんと、考えるのよぉ?」

 ふわりと頭を撫でられる。

 するとシェナも一緒になって、私の髪を撫で始めた。


「こ、こどもみたいにしないでよ……」

 照れくさい……けど、まだもし、ママとパパが側に居たら……こんなだったかもしれない。

 ――リズはお姉ちゃんで、シェナは妹かな。



「なんか……ほっとする」

 魔王さまに甘えるのとはまた違って、子どもに戻ったような、そういう甘えかた。


 なんて思っていたら、シェナも甘えたくなったのか、リズとは反対側の横に来て、頭を私の膝に乗せた。

 私の手を取って、頭を撫でろとばかりに、その真っ白でふわふわの髪に触れさせる。

「ふふ。そうよね。シェナも撫でられるの、好きよね」


「えぇ~。いいなぁ。私も撫でられたぁい」

 言うなり、リズも頭を乗せて来た。

「ちょっと、二人とも……」



 でも、それはそれで胸がきゅんとして、母性のような気持ちが湧き上がる。

 世界一、仲良しの三姉妹。

 私たちに血のつながりはないけど、この三人はそれ以上に、深く繋がっているはずだ。




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 何卒よろしくお願い致します。  作者: 稲山 裕



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