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【完結】聖女級の治癒力でも、魔族だとバレるのはよくないようです ~その聖女、魔族で魔王の嫁につき~  作者: 稲山 裕


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第二章  二十二



「でしょうなあ。第二王子は、少々疎いところがありますで。あ~んなに大々的に、聖女様をお披露目されるんですからなぁ。実のところ、どうにかしてここに、聖女様をお匿い出来んだろうかと話しておったんです。ウレインのやつぁ、内心大はしゃぎして小躍りしとることでしょう」


「まぁ……そうだったんですか。お心遣い、感謝します。ありがとうございます」

 とはいえ、最上のスイートルームは気が引けてしまうけれど。



「まぁまぁ、聖女様。ウレインだけじゃぁありません。我々街のもんは、聖女様にはほんっとうに、感謝してもしきれねぇんです。せめて、寝泊まりだけでも使ってやってください。うちらの総意っちゅうことで」


 そう言ってレモンドは、拝むようにして頭を下げた。

 それは心から出ている言葉と礼であるのが、よく分かる。


「頭をお上げください。その、お気持ちは本当に、よく分かりましたので――」

 だけどお城にバレたら、とんでもなく迷惑をかけそうなことだから。

「そうですか! それなら、おおい! ウレイン! ずぅっとお泊り頂けるそうだぞ!」


「ぇ、そんなこと言ってなぃ」

「本当か! せ、聖女様、ありがとうございます! やっと、念願のお礼の一端を、叶えることが出来ます!」

 部屋には居なかったと思ったけど、扉の向こうでずっと待っていたんだろうか、この素早い登場は。


「あのぅ……そうは言ってなくて」

「ああ、聖女様。王城とのことは、何もご心配いりませんよ。我々は独立しているのです。軍事力でも、という意味で。商工会ギルドは、王都にありながら別の国と同じとお思いください」

 ううん?

「それは、どういう」


「この三十年ほど、といっても、目覚ましい進歩を遂げたのはこの十年ですが。有能で温和な人材が揃い、飛躍した技術力と経済力を得て、我々は対等以上の力を手に入れたのです。もちろん、あらくれ者の転生者が現れても、対応可能ですので」

 仮に、お城側に戦闘系の恩恵を受けた転生者を取られても、開発した兵器で無力化できるのだと言う。


「じゃあ、あの勇者と黒い人も封じてくれてたら良かったのに……」

 二度目は操られていたとはいえ、裏切られて剣を突き立てられたのだから。


「すみません……警戒すべき対象ではなかったもので。聖女様が現れた時に、対処すべきでした。まさか関わることになるのが、あれほど急だとも思わなかったものですから」

 勇者たちはあまり素行の良い転生者ではないのに、まさかあのお人好し王子が、私と引き合わせて魔物討伐なんかに行かせるとは、全くの予想外だったらしい。


「い、いえ。ちょっと当たってしまいました。ごめんなさい」

 彼らのせいではない。

 けどやっぱり、力を持っていても、抜けがあるのだという良い例だ。


「いえいえ、とんでもございません。それよりも、最上階はもう、ご自宅と思ってお使いください。何なら権利書もお渡しいたします。ホテルだと思うと、気を遣ってしまわれるでしょうから。後でお持ちいたします」

 頼りにはなりそうだけど、頼り切ってはいけない。

 自分で出来る限り自衛して、その上で少し力を借りる。という程度でなくては。



「もぅ。……言っても無駄のようですね」

「左様でございます。是が非でもお受け取り頂きますよ」

 ウレインは嬉しそうに、ウインクをした。


 ――そもそも私は、もうここに居る必要もなくなったのだけど。

 シェナとリズがここを気に入ったようだから、なんとなくお邪魔しておこうかな、くらいで。

 だから、あの子たちのために頂戴してしまおう。という魂胆だ。


「今日のように急患が出ても私が居ない時は……リズに伝えてください。きっとすぐに連絡が取れると思うので。それでも間に合わなかったら、ごめんなさい」


「とんでもございません。元々そのお話は、ここにお泊り頂きたい一心で申し上げただけの事でございますから。お気になさらないでください」

「ふふっ。お二人はお人好しですね」



  **



 最上階のスイートに戻って、ただいまと言ってベッドに寝転んだ。

 なんとなく、もやもやとした気持ちを抱えて。


 ――基本的に全ての行動は、魔王さまのため。


 今回も、魔王さまのためにリズを探しに来ただけ。

 その用も済んだのだから、彼らの希望に沿ってあげる必要はなかった。

 お礼の気持ちは嬉しいけれど、どこか王子殿下の姿と重なる。


 ――やっぱり、人間とは何かが違う。


 決定的に。

 それはきっと、力の持ち方なんだろうと思う。

 私と彼らは、対等ではない。

 それが、くっきりと浮かび上がってしまった。


 ……彼らの得た力は、どこかでいつか、滑り落ちてしまうもの。


 でも、私たち魔族は違う。

 力は死ぬまで消えることがない。

 持ち続けられる者とそうではない者では、その意識も思想も、違ってくるのは当然だろう。


 ――私はこれまで、他人に気を遣い過ぎていたんだ。そんな必要などないのに。


 死ぬ前は、そうやって強く、顔色を伺っていた。

 今回のことに限らず、リズが言っていたんだった。

「貢ぎ物は、ありがたく貰っておきなさい」と。


 ……それさえ面倒だなと思ったら、離れればいいだけだ。




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 何卒よろしくお願い致します。  作者: 稲山 裕



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