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【完結】聖女級の治癒力でも、魔族だとバレるのはよくないようです ~その聖女、魔族で魔王の嫁につき~  作者: 稲山 裕


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第二章  十一

   **



 一言で言って最高の庭園を抜け、浮遊ホテルの正面に来た。

 二階部分までの、横に広い豪華な建物。


 全面ガラス張りだけど、中は暗くて見えない。

 だけど、入り口は間違えないように工夫されている。


 扉となっているガラス面の左右から縦に、間接照明がここだと教えてくれているから。

 その他の、いわば壁面とされるガラス面は、上下からほんのりと横一線に照らしてあるのだ。



「オシャレだわ……」

 ドアボーイは居ないけれど、近くまで行くと自動で扉が開き、招くように光が中へと順に足元を照らす。


「は、入っていいのよね」

 シェナも、少し緊張した面持ちだった。

 入口を抜けると、受付カウンターまでの赤いカーペットが幅広に敷かれてあって。


 ――その他は、下に空が広がっている。

「ひっ」

 カーペットはとても広く備えられているのに、その空に吸い込まれそうになる。

 飛べることも忘れて、たじろいでしまった。



「ご安心くださいませ、お客様。踏み外しても落ちる事はございません」

 低い、老齢を思わせる落ち着いた声が横から聞こえた。


「あっ。あ、はい」

「初めまして、お客様。わたくしはここの案内人にございます」


 白髪と、もみあげからの口と顎髭を完璧に整えた、初老の紳士がそこに居た。

 燕尾に近いスーツを、自然体で着こなしている。



「本日はご宿泊でしょうか。それとも、お待ち合わせで?」

「ひゃ、ひゃいっ。しょの……くすん。その……待ち合わせというか」


 庭園と、入り口にこのロビーと圧倒されっぱなしの状態で、さらに完璧な紳士と立て続けに緊張したせいで、完全に舞い上がって噛みに噛んでしまった。

 しかも、もはや涙声になっている。



「こちらのホテルは、お客様のためのものです。もちろんこのロビーも。自由に滞在して頂いて構いませんよ」

「あ、あり、ありがとうございますっ」


 ――もうだめ、倒れそう。

 お金もそんなに持っていないし、場違い過ぎて気を失いそうだ。

 王宮に居ても、そこまでじゃなかったのに。


 たぶん、あっちはファンタジー過ぎて現実味がなかったけれど、ここは記憶に近い超高級な場所、というリアリティがそうさせている。



「おや……大変失礼ではございますが……」

 完璧な紳士は白手袋に包まれた手を口元に添え、私に耳打ちをした。


「聖女様ではございませんか? よろしければ、全て無料でサービス致しますので、ご滞在して頂けると嬉しいのですが」

「ふぇっ? にゃ、にゃんで?」



 ――あぁ。もうダメ。

 正体がバレたことの衝撃と、無料で泊まってくれという申し出の両方でパニックだ。


「聖女様にご宿泊頂けたとなると、当ホテルにはさらに箔が付きますので」

「え、で、でも」

「ご遠慮なさるよりも、お受け頂けた方がわたくしどもは、本当に有難いのです」

「えぇぇ……ど、どうしよう、シェナ」


「もちろん、お連れ様もご一緒に。もし、お食事もまだのようでしたら、ご用意させて下さい」

 シェナは、こっちに振らないでと首をフルフルさせている。



「あらぁ? やーっぱりぃ! サラじゃないのよぉ」

 名を呼ばれて、ドキリと心臓が跳ね上がった。

「ふぇぇ?」

 もう、足に力が入らないし、声も震えている。


「なぁんて顔してるのよ。わたしよ? り、ざ」

 ドレスアップしたその美人さんは、リザと言った。

 妖艶さと上品さを、最高級に併せ持つ曲線美の女神のような人。



「もぅ。まさか、初めて来て緊張してるの? だぁいじょうぶよぉ」

 とんでもない上流階級の美女だと思っていたら、よく見るとリザだった。


「イザリス様。お知り合いでございましたか」

「えぇ。私の大切な人よ」

「リぃザぁ……。な、なんか、無料で泊めてくれるって……」

 リザに会えた喜びよりも、助けてほしい気持ちでいっぱいだった。


「え、すごいじゃない! もちろん泊まるわよね?」

「い、いいのかな……」

「是非にと、お勧め致している所でございます」

 紳士の笑顔は、完璧過ぎてそれが営業スマイルなのかはもう、分からない。

 後で王宮に、莫大な請求が行ったりしないだろうか。



「この人がいいと言うなら、いいのよ。ね、私も一緒に泊めてもらえない?」

「もちろん、聖女様が良いと仰いましたらば」

 もはや、私はコクコクと頷くしか出来なかった。

 正常な判断がもう、出来ない。


「決まりねっ。やったぁ!」

 リザは両腕で小さく、グッとガッツポーズをした。

 それがまた、胸を挟むようになるものだから、豊満な白いふくらみがむにゅっと強調される。


 何をしても、曲線美が勝つように出来ているらしい。

 けれどそのお陰で、なんとなくいつもの雰囲気に少しは戻れた。



「それでは、お部屋にご案内致します」

 女の私でさえ、リザのたわわに目が釘付けだったのに、完璧な紳士は私たちの目から視線を一ミリも外さなかった。

「……プロね」




「おもしろい!」「続きが気になる、読みたい!」「今後どうなるの!」

  

 と思ったら

  

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 何卒よろしくお願い致します。  作者: 稲山 裕



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