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【完結】聖女級の治癒力でも、魔族だとバレるのはよくないようです ~その聖女、魔族で魔王の嫁につき~  作者: 稲山 裕


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第二章  九


 王都で与えられていた家は、かなり快適なものだった。

 少し大きな二階建てで、一階はキッチンなどの水回りやリビングがあり、シェナと一緒に過ごす時間は基本的に一階になった。


 二階は寝室が三つと、柵に囲われたベランダもあって、盗難や侵入を気にせず洗濯物を干したり出来る。夜は魔王さまの元に帰るから、使わないけれど。



「最初からここに住めたら良かったのにねぇ」

 シェナはコクリと頷いて、コップの水をちびと飲んだ。


「でもやっぱり、王宮の方が良かった?」

 あそこは至れり尽くせりだったから、魅力がなかったとは言えない。


「いえ。私はお姉様の居るところが一番の場所ですので、どこでも」

「ふふっ。ありがと」



 窓からの日差しも気持ちがいい。

 南と東に窓があって、採光も完璧だった。

 広々とした部屋に、高い天井。

 多すぎず少なすぎず、家具もほどよく置かれていた。


 先刻まで品の良い誰かが住んでいたのでは。

 そう思うほどに、手入れも行き届いていた。



 ――今、なぜ王都に居るかと言うと、リズを探して夢魔の精神魔法を教わるためだ。

「やっぱり、中央区には居ないか……」

 この場所は貴族街の外れで、人気が少ない。


 リズが言っていたように、食事をごちそうになる相手を探しているならお金を持っている人が多い所だろう。

 と、思っていたけれど、貴族街はハズレっぽかった。


 貴族の移動は、基本的に馬車だったから。

 その辺をほっつき歩いている人は居ないし、居ても用事で従者が出歩いているだけ。



「商業区はいかがでしょう。人もお店も多かったです。市民街も多いですが、出店がほとんどでした」

 それなりのお食事処といえば、商業区だろうと。


 王城を中心に、貴族の住む中央区、それから商業区、市民街と輪を広げるように造られた王都。

「じゃ、明日からはまた商業区をうろうろしよう」



 変装……は、貴族寄りの質の良い服装と、ヴェールの付いた帽子をかぶることにした。

 貴族に気安く話しかける一般人は居ないし、かといって目立ち過ぎず、あまりジロジロと見られることもないだろう姿。


「聖女だとバレない上で街に溶け込んで、あんまり人が寄ってこない格好……だよね?」

 皆に治癒をするのは全然かまわないけれど、王子に伝わるのは避けたい。

 面倒事が多すぎて、もう、王子たちに関わりたくないから。


 第一王子の関係者はすぐに私を殺そうとするし、第二王子は……気のせいかもしれないけど、私を狙っている気がするから。

 人妻だと伝えていなかったっけ。



「そういえばお姉様。人の多いところに出向くにあたって、先に許可を頂いておきたいのですが」

 ジッと私を見つめて、シェナは言う。


「何かあった時の処断は、私にお任せください。お姉様の対処では命がいくつあっても足りません」

「うっ……」



 確かに、日本に居た時のような反応では、甘いというのは痛感している。

 竜王の加護があるので、ケガをするようなことはまずないけれど……。


 スリにひったくり、詐病で連れ込んで強盗しようとしたり犯そうとしてきたりと、数えたらキリがないくらいに犯罪が多い。


 衛兵は、ご近所間の殺人くらいでは動いてくれない。

 後でしょっ引くだけだ。

 連続殺人などの放置できない事件しか捜査しないし、目の前のスリを追いかけてもくれない。


 それでも、その辺を巡回して、抑止として居るだけマシにはなる。

 そういうものだから、日本の警察のような組織を期待してはいけない。



「良いですね?」

「……なるべく、殺しちゃったりしないでね?」

「生かしても繰り返すだけですよ」


 王都に戻ってきてから数週間。

 商業区や市民街を適当にウロウロした時に、街娘に変装をしていたのも悪かったのだろう。


 これでもかと犯罪に巻き込まれた。

 活気があるのは良いのだけど、私に隙があるのか、遭遇率が高かった。



「うぅ……でも、殺しちゃうのは……」

 この間、私を連れ込んで犯そうとした人たちは一瞬で肉塊に変わった。

 その時の私の悲鳴は、犯人に手首を掴み上げられたせいで出たのか、バラバラにされた人だったものを見て出たのか、よく分からなかった。


「不埒者にお姉様が触れられるのは、耐えられませんから」

 まあ、確かにシェナが斬ってくれなかったら、掴み上げられた腕に気を取られて、不意だったとはいえ胸を揉まれる寸前だった。


「わかった。体に触れられるのは、魔王さまに申し訳ないものね」

 ……私の価値基準も、だんだんよく分からないものになっていっている、かもしれない。


「おもしろい!」「続きが気になる、読みたい!」「今後どうなるの!」

  

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 何卒よろしくお願い致します。  作者: 稲山 裕



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