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【完結】聖女級の治癒力でも、魔族だとバレるのはよくないようです ~その聖女、魔族で魔王の嫁につき~  作者: 稲山 裕


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第二章  六


   **



 お爺さんは、実は魔族の国でちゃんと偉い人で、お城と国の一切を取り仕切っている。

 魔王さまが居れば最終判断を仰ぐけれど、居なくても国が回っていたのはこの人と、その部下の皆さんのお陰だ。



 管理室とでも言おうか、お爺さんを始め、白い司祭服のような姿の十数人が詰めている大きな部屋。

 入ったこの扉に対して横向きの、互いに向かい合う二列の机に、それぞれが向かっている。

 その部屋の真ん中、真正面の窓の前に、お爺さんの机がある。


「あのぉ……。お邪魔します……」


 当然……勢いで来たものの、入るとその真剣な雰囲気に呑まれて……声も小さくなった。

「おお。王妃様ではありませんか。何かご用ですかな?」

 普段はかけない黒ぶちの眼鏡をクイと上げて、なのに、わざわざ外して席を立ってくれた。


「あの、相談したいことがあって……」

「ほうほう。なら、場所を変えましょうなぁ。隣の爺の部屋に参りましょう。ほれ、レイリン、何かお飲み物を頼む」


 こちらに向かうついでに、お爺さんは部下の一人に声を掛けた。

 お爺さんのお仕事の手を止めた上に、部下の人のお手を煩わせてしまう羽目になった。

 私はどこか学生気分で、けれど、立場はこの人達の上の、魔王妃だというのを失念していた。



「あっ、あの、お気遣いなく……」

「王妃様。お気になさらず、ですぞ」

「ええ、そうですとも。こんな機会はなかなかありませんから、私達も嬉しいんですよ?」


「だ、そうですじゃ」

 嘘のない笑顔で、給湯室らしき小部屋にその女性は入って行った。


「ありがとうございますっ」

 見渡すと、他の皆さんも笑顔を向けてくれている。

「あ、あの……。皆さんいつも、お仕事頑張って頂いて、ありがとうございますっ」



 何か、お菓子でも持ってくれば良かったなと思った。

 毎日グータラと過ごしている分、余計に立つ瀬がない。

 なのに皆さん、今度は一斉に立ち上がって敬礼をしてくれた。


「わぁ……! い、いやあの、お仕事の邪魔しちゃってごめんなさい」

 私も一礼をして、そしてそそくさと部屋を出ては隣だというお爺さんの部屋の前に、逃げるように早歩きした。


「ほっほ。王妃様のお姿もさることながら、御心の美しさに、皆見惚れておりましたなぁ」

「おっ、お爺さん、そういうのはいいですから。恥ずかしいですから」

「ほっほっほ。慣れて頂くしか。では、こちらにどうぞ。そこのソファにお座りくだされ」

 扉を開き、簡素だけれどとても上品な部屋へと、案内してくれた。



 難しそうな本が沢山詰め込まれた大きな本棚と、赤茶色の大きな二つのソファに、濃い木目のテーブル。

 その奥に執務机があって、一人でもここで仕事をしているのかもしれない。


 向かい合ってソファに座る頃に、レイリンと呼ばれた女性が飲み物を持ってきてくれた。

「王妃様には、少しだけお酒を垂らしたオレンジジュースをお持ち致しました。お話をするには、程良いかと思いまして。ファル様にはお茶です。お酒は無し。ですからね」

「なんじゃと?」

「お控えください」

 レイリンさんはピシャリと冷たく言い残して、けれど私にはお辞儀と、微笑んでウインクして出て行った。



「ふふっ。愛されてますね」

「むぅ……」

 期待していたのか、裏切られた感たっぷりに、悲しそうにお茶の入ったカップを見つめている。


「お爺さんじゃなくて、ファル爺の方がいい? よね? 私、実はお爺さんのお名前今まで知らなくって」

「ああ、そうでしたな。これはこれは、とんだ失礼をば。ファルコン・グレインですじゃ。ですがどうか、魔王さまと同じく、爺とお呼びくだされ。その方がうれしゅうございますからの」


「かっこいい名前! ファルコンの方がいいじゃない!」

「ほっほ。王妃様はこんな古い名を褒めてくださいますか。ですがまぁ、呼びにくいでしょう」

「む……それは、たしかに」



 そして、名前を聞いたからにはやっぱり、ファル爺と呼ぶことにした。

 ファルコンさんと呼ぶには、親しみ感が足りない気がして。


「それで、ご相談というのは? まぁ恐らくは、魔王様の事でございましょうが……」



「おもしろい!」「続きが気になる、読みたい!」「今後どうなるの!」

  

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 何卒よろしくお願い致します。  作者: 稲山 裕



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