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消えた弟  作者: しおやき
第四章 結 消えた弟

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橘えみ子(警察サイド)〜塚内〜



 「なんかおかしいですね」

 「うーん・・・」


 こうすけくんから事の一部始終を聞いた後、休憩がてらお手洗いに行った彼がいない間に、電話で春日井から現場の状況を聞き取った内容を足立さんと照らし合わせていた。


 「鍵穴は壊れてたらしいですけど、意図的に壊したような()()があったって言ってましたよね」

 「そうだな。こうすけくんが言うには、橘の奥さんに後の処理を任せたらしいから、彼は鍵穴が壊れてるなんて微塵も知らないだろう」


 電話で聞き取った内容だと、鑑識に詳しく調べてもらった結果、鍵穴はかなり変型していたらしくその理由は分からないとのこと。でも意図的に壊そうとしない限り、ああまではならないらしい。


 「・・・もしかしてこうすけくんが書斎から離れた後、橘の奥さんが何かしたんですかね?」

 

 こうすけくん曰く鍵の管理は橘の奥さんがしていたと言っていた。鍵があるのにわざわざ何でそんなことをと思いながら足立さんに意見を求めたが、気難しそうに眉間にシワを寄せただけでそこについては口を閉ざした。


 「塚内・・・・」

 「はい」

 「橘のほうはどうなってる」

 「あぁ、筧から1回連絡があったっきりですね。まだ何も喋ってないと思いますよ」

 「弁護士は?」

 「手配済みです」

 「そうか」


 手錠をかけられパトカーに乗せられた橘が一番最初に発した言葉は『弁護士を呼んでくれ』だった。そしてそれ以降は黙秘。目を瞑り担当の刑事から質問されてもまるで無視だという。

 

 「どうかされました?」

 「んー・・・」


 東京とは程遠い田舎で起こった事件のため、彼が呼んでほしいと言った弁護士が来るのにそれなりに時間がかかる。恐らく僕達が東京に着く頃には同じように弁護士が彼のもとに来ているはずだから、その時に何かしら話し始めるだろうと思い担当の刑事である筧に連絡するように言ってあったが、東京に着いてから最初の状況を聞いたっきり、時間が経った今でも筧から次の連絡はない。

 

 「後で、筧に電話できるか?」

 「できますけど、何を聞けばいいですか?」

 「14年前に起こった事件について、橘がこうすけくんのお母さんをどうやってあの状態にしたのか、聞き出すように言ってくれ」

 「分かりました」

 「ヤツが東京に移送されるのは明日の夜だから、リミットはそこまでだ。もし今日何も答えなければ明日俺が直接聞く」

 「んー・・・凶器はまだ見つかってないんですよね。数十年前のことだからそもそも既に処分されてる可能性が高いとは思いますけど。物的証拠がないと起訴は難しいんでしょうね。現場にも痕跡が残ってなかったって記録してありましたし」

 「あぁ、そうだな・・・あくまでも可能性だがな」

 「どういうことですか?」

 「あそこまで酷い出血だと、相当重さのあるものか、固いものじゃないと筋が通らない」

 「・・・でも橘がやったんなら、別にそこまでのものじゃなくても」

 「まぁ、そうなんだがな」

 

 コクンと頷いた足立さんの発言に、妙な疑問を覚えた。どういう意味か聞こうとしたけど、水の流れる音がしたのでこうすけくんがそろそろトイレから出てくると思い口をつぐむと、足立さんが視線を合わせてきた。

 

 「そのことについてだが、一つ気になることがある」

「なんですか?」

「スーパーでけいすけくんと一緒に居た橘えみ子に接触した時、彼女、妙なことを口走ってたんだ」 

 「・・・妙なこと?」

 「あぁ。『私も人を殺した罪に問われるのでしょうか』って、突然な」

 「・・・・」

 「橘えみ子は、林隼人が原因で精神的に病んでいたのは調べで判明している」

 「鬱病ですよね」  

 「あぁ。だから怒りに身を任せて感情のコントロールがきかない事もあるだろう。トリガーが何になるのかは分からないがな」

 「・・・すいません足立さん、言わんとしてることがよく分からないんですが」


 なんでここで急に橘えみ子の話が出てくるのだろうか。鍵穴のことなら、パニックになった橘えみ子が誤って壊してしまったという説明がつきそうな気がするが。


 「橘えみ子って、殺人は犯してないですよね?」

 「あぁ。そのとおりだ。彼女は()()殺してない」


 



 

 


 

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