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消えた弟  作者: しおやき
第三章 転

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62/73

東京 午後 隠され続けた真実





 「・・・・そうか」


 報告の電話を受け取ってから、次にどうしようかと考えながら返事をした。


 「分かった」


  (さて・・・・大変なのはこれからか)



 「橘・・・逮捕出来てよかったですね」

 「・・・あぁ」

 「下手したら皆殺られてたかもしれなかったですけど。彼は、もしかして無理心中とか・・・狙ってたんですかね」

 「いや、それよりももっと最悪なことだ」

 「・・・と、言いますと?」


 受話器を置いた途端、目の前にいた部下が少し興奮気味に話しかけてくる。


 「無理心中に見せかけて自分だけ生き残ろうとしてたのさ。あいつは自殺するような人間じゃない。根っこの部分が腐りきってる」


 恐らく、逮捕されたとしても精神異常を訴えて罪を軽くしてもらおうと考えてる可能性が高いだろう。流石に、ヤツにずっと張り付いていた我々の言い分もあるのと、ここまでしておいて無罪放免はほぼ無理に近いと思いたい。

 

 (が、あちらにややこしい弁護士が付けば・・・)

 

 我々の立証に少しでも矛盾があれば裁判官は疑ってくるだろうし、そこをついて相手の弁護士がこちらの懐に入ってくれば簡単に形成が逆転する世界でもある。

 裁判官の心象を悪くするとそこにつけ込んでくるのが上手い弁護士だと厄介だ。


 だから、こうすけくんの証言がかなり重要になってくるのだが。

  

 「それにしても、竹川よかったですね。これで昔の汚名を挽回できそうじゃないですか!」

 「・・・・」

 「いや〜、小さなことでヘマして部署異動とか、やっぱり出世コースに乗ってた人が一回でもミスするとそこから外されるんですかね」

 「・・・さぁな。俺は知らん」


 昔の事情を知らない奴らが好き勝手言うのは仕方がない。



 「でも、こんなに早急に・・・・かなり早い対応ですよね」

 「あぁ」

 

 話しかけてくる部下を適当にあしらいながら、ある人物を待っていると、コンコンと軽いノック音が聞こえてきた。


 「足立です」

 「入れ」

 「失礼します」


 ドアを開けて現れたのはいつもと変わらない表情ではあるが、やはりどことなく疲れているような目つきの部下だった。


 「俺はこれで失礼します。足立さんお疲れ様です!」

 「あぁ」


 入れ替わりで、さっきまで話していた部下がすぐにこの部屋から出ていったが、足立が重たい雰囲気をまとっていたのもあるせいか、いつもより敬礼の時間が長かった。


 「「・・・・・」」


 そしてドアが閉まってから10秒程度。

 2人で顔を見合わせ、ドアの外から音がしないことを確認したあと、ようやく口を開いた。


 「ご苦労だった」

 「・・・・横溝が・・・腹をやられました。報告だと思った以上に深い傷らしいです。意識はありますが、すぐに復帰はできません」

 「そうか」

 「はい」

 「こうすけくんの様子は?」

 「・・・かなり精神面でやられてます。けいすけくんのことを気にしてましたけど・・・この後話を聞くにしてもちょっと時間がかかりますね」

 「・・・・」


  足立の言葉に、少し目を閉じた。


 

 「彼は今どこに?」

 「病院で見てもらってます。精神面のサポートも既に手配済みです」

 「分かった。とりあえず検査が終わって問題がないようであれば、署に連れてくるようにしてくれ」

 「そのつもりです」


 コクンと頷いた足立は、神妙な面持ちでため息をついて言葉を続けた。


 「・・・・どうやってこの事実を彼に伝えようか・・・どんな言い方をしても恐らくパニックになると思うのですが」

 「あぁ・・・そこは確かにそうかもしれん。マスコミに騒がれる前に、本人に伝えることができれば一番いいんだが、今は多分何を言われても耳に入ってこないだろうな」

 「・・・ですね」


 

 (裁判は恐らく・・・・長引くだろうか) 


 

 事件が解決したところで、この後の裁判は長引く。いつまでも事件の当事者として彼がマスコミに騒がれるのは避けたいところ。

 

 すぐにでも平穏な暮らしに戻してあげたい。


 足立も、横溝もそう思ってる。



 ひと通り話をしたあと、足立は部屋から出ていった。


 そして時計の針が午後4時を回った時、部屋の電話が鳴った。


 

 「もしもし・・・・あぁ、分かった。よろしく頼む」



  それだけ言って切った電話。


 こうすけくんが、病院から打撲とかすり傷だけで入院する必要はないとの診断を受けて、これから署に来るとの連絡だった。







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