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消えた弟  作者: しおやき
第二章 承

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28/73



「・・・・・」

「母さん、今日はもう何もしなくていいから」



外に行くと言った時、少し反応してくれた気がしたけどその後は黙り込んでしまった。買い物に行った時のことを聞きたい気持ちもあったけど、絶対にちゃんと答えてくれない自信があったから俺は外にけいすけを探しに行くことにした。



(スマホ・・・・と、あとは)



「夕方までには帰ってくる。あぁ、あと父さんだけど」

「こ・・・こうすけ」

「ん?」

「・・・私が・・・お父さんに言っておくわ」

「え?」

「・・・・けいすけのこと」



反応したのはもしかして『お父さん』のほうだったのだろうか。そういえば夜中に2人で話していた時お母さんは敬語だった。今更思い出したけど、それもおかしい。



「分かった・・・・ありがとう。さっき言おうとしてたことだけど、父さんから伝言で、今日は19時には帰ってくるって」

「そうなの・・・教えてくれてありがとう」

「うん」



俺の方を見ずに言った彼女の声は不安定で小さく震えている。

こっちを見てくれないのはもうこの際気にしてられなくて、伝言だけ伝えるとすぐに玄関に行き靴を履いて外に出た。



「・・・・くそっ」



外に出てとりあえず弟が行きそうな場所を探してみようと思い最初に向かった場所はけいすけが通っている小学校。



(けいすけの靴・・・なかった)


玄関で確認したけど、弟がいつも履いている靴は見当たらなくて、家に帰ってきた時になんでちゃんと見なかったんだろうと後悔した。


「っ・・・どこに行ったんだよ」



まさか居なくなるなんて思わなかった。

そもそも、6歳で歩いて行ける場所なんてたかが知れてる。自転車は置いてあったから、けいすけの足ならそう遠くには行ってないはず。



(行きそうな場所っ・・・・)


「ってか1人で家出るとか今までにないよな・・・」



小学校までの道のりを走りながら同時にあたりを見渡してみる。平日だからけいすけがほっつき歩いてるのを見てる人もいるかもしれない。



そう考えて最初に目についた人に話しかけようとした。

散歩をしてるのか、ゆっくりとしたペースで歩いているもう70歳のおばあさんだ。



「黒木さん!!」

「ん?・・・あら、こうすけくん、こんにちは。珍しいわね、どうしたの?ランニング?」

「こんにちは、すいませんいきなり。いや・・・・ランニングではないんですけど・・・」


焦りが滲み出た声で彼女の名前を呼んだ俺にゆっくりと振り返って愛想よく返事をくれた黒木さんは心なしか名前を呼ばれた時少しビクッとしていた気がする。



「そう?」

「はい、えっと・・・」

「・・・何かあった?」



彼女の前に来て立ち止まり一呼吸置いた。俺は今どんな顔をしているのだろう。いまだに気味の悪い天気で、雨が降りそうなくせにずっと空に留まっている雲が黒木さんを見た視線の先にチラッと入った時、幸か不幸かお父さんの事が頭をよぎった。



(・・・・・・)



言っても大丈夫なのか。


ここは噂が広まるのが早い。ましてや子どもが行方不明と分かればすぐに近所に話が伝わる。みんな総出で探しに行こうともするし、もちろんそんなことになれば警察にも通報するだろう。伝え方によっては誘拐されたと思われかねない。



(・・・・誘拐?)



「こうすけくん?」

「あ、すいません。な、なんでもないです・・・」

「あら、そうなの?大丈夫かしら?」

「・・・・・えっと、」



一瞬誘拐というワードが何故か頭に浮かんだけど、そんなことよりお父さんが何も知らない状態で事が大きくなればどうなるのか想像がつかなくて言葉に詰まる。怒られるかもしれない。



(っていうかお母さん・・・・本当にお父さんに言ってくれるんだよな?)


「顔色あんまり良くないけど・・・というか1人でここに居て大丈夫?けいすけくんは?お留守番?お母さんと一緒?」


(は?)


「・・・えっと、どういう意味ですか」

「あら、今朝の件知らない?」

「え?今朝・・・・ですか?」


(今朝の件ってなんだ?)


今朝はお父さんの職場に居たから何も知らない。何かあったのだろうか。けいすけのことだとしたら、彼女は俺にこんな聞き方はしないはずだからもっと別のことだ。そんなことを考えていると遠くの方から聞き慣れない音がすることに気が付いた。



「ん?」

「あら。またかしら」

「・・・また?」

「うん。こうすけくんは家に居た?今朝ね、なんか吉木さんの家に物取りが入ったらしくて警察が来てたのよ」

「・・・・・物取り?」

「うん」



遠くの方から聞こえてきたのは、普段は聞かないサイレン音だった。



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