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消えた弟  作者: しおやき
第一章 起

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散歩3




佐藤のおじさんの家から少し蛇行しながら歩くと、けいすけが通ってる学校に着いた。



「あち~・・・っていうかこんなちっさかったっけ」


田舎だから人数もそんなにいない。

全員顔見知りだし、今のけいすけも多分そうだろう。


(俺がデカくなったのもあるんか?)



学校の周りをうろちょろしてみようかと軽く見て回ったけど、帽子を深く被ってキョロキョロしているからなんだか自分が不審者に思えてくる。心がざわついた俺は仕方なく帽子のツバを後にもっていった。



「顔面に直撃だけど・・・・あっつ・・・やっぱ無理」



秒で諦めてすぐにまた戻す。

不審がられたら、近付けば俺が誰かなんてほとんどみんな分かるだろうし、お父さんには事前に散歩という体で知らせてるから問題ないかと暑くて考えるのが適当になってきた。



「・・・ここは、人が入れないしな、」


裏に回ってみても休みだから当たり前に施錠されている。だいたい、人が少ないのに見知らぬ人物がここらへんをうろついてればけいすけ以外の他の生徒も気が付くはずでは?



「けいすけの見間違い・・・なような気もするけどな~、・・・あ~、待てよ。確か父さんが夜中になんか話してたな・・・」


ポケットに手を突っ込んで、なんて言ってたっけと首をかしげていると、どこからか俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。



「こうすけく~ん!!」


(ん?)


「・・・・・あ、」


視線を向けた先には自転車に乗って爆走してるのか、躊躇いなく俺に向かって来ている女の子がいる。

音からしてかなり手前からブレーキをかけているようだけどあんまり効いてないように思える。


(大丈夫か?)


このまま突っ立ってるとひき殺されそうな気がして、少し横にズレておいた。キキィーッと耳障りな音で自転車が目の前を少し滑りながら通り過ぎていき、その彼女の後ろ姿を残念な目で見つめたまま黙っていると、両足を地面について止まった。


(ブレーキの意味・・・・)


「よっ・・・と、危な。こうすけくんにぶつかるところだったわ、あはは」

「・・・ぶつかるつもりだったろ」

「いや~、ごめんごめん」


降りればいいものを、乗ったまま足を動かしてバックしてきた。黒くて長い髪をゴムでくくりポニーテールにしてる彼女は、どちらかというと二つ結びのほうが可愛いのではないかと実はこっそり思っているけどそんなことは口が裂けても言えない。



「なに?」

「え~?なにが~?」

「は?」

「なにしてんの?こんなとこで。こうすけくんまた小学校にかようの?」

「違うわあほたれ」

「じゃあなに?」


遠慮の『え』文字もなくズケズケと聞いてくるこの子は俺よりも年下の中学生で、元気だけが取り柄のような子だ。


「ちょっと散歩」

「ふ~ん・・・変なの」

「うっさいな」

「けいすけくんは?いないの?」

「いないよ。あいつは寝てるから」

「そっか」


(・・・・・まぁ、普通はこんな感じで聞いてくるんだよな)



何も聞いてこない佐藤のおじさんは、近所の爺さんと戯れるほうが好きなのか。


「何にもないなら俺行くけど、なんかようでもあんの?」

「いや~、特にないよ?なんか変な人居るって思って~、ちょっと気になったんだけど実はこうすけくんだったっていう」

「そおっすか」

「え~、なにそれ。つまんない返し~」

「・・・・・」


なんだその喋り方はと思いながらも、あんまり話すと、ずっとついてくるからそれは勘弁してほしい。それにお喋りだから余計なことは口にしたくない。


(別のヤツだったら良かったのに)


「ごめん、もう行くわ」

「あ、ちょっと待って」

「なに?」

「これ、あげる」


カゴの中に入ったカバンの中をゴソゴソと漁って、なにかを取り出したと思ったらまさかのチョコレート。


(・・・・え)



「お前食えばいいじゃん」

「いらない」

「なんで?」

「溶けてるから」

「は?」


(いや、溶けてるから人にあげずに自分で食うんだろ)


「家に持って帰って冷蔵庫に入れればまた食べられるよ!」

「・・・・・」

「じゃあもう行くね、バイバイ~」


無理やり手に持たされたそのチョコレート菓子は、もはや原型を留めてなくて袋を触っただけでもふにゃふにゃしている。


「・・・いや、すげー意味分かんね」


颯爽と去っていく彼女の背中を見て、ため息をついてから貰ったチョコレートは捨てるわけにもいかずカバンにしまった。



「ちょっと・・・・まじで真剣に散歩しよ」



気を取り直して歩き回った。無駄な時間を過ごしたとは思わないけど、お昼ご飯を食べると言った手前ずっとこんなとこでうろうろすることはできない。



(飲み物も持ってないし・・・)



散々歩き回った結果、休みだから怪しい人や知らない人は見かけなかった。というか人がいない。ついでに自由研究の課題もいいものが見つからず。


(頑張ったけど無理でしたって言ってお父さんに手伝ってもらおうかな)



太陽が天辺に昇ったような暑さのおかげで、首元と日に照らされてる腕が熱い。日に焼けやすい体質だけど、流石に真っ黒にはなりたくない。


スマホをリュックから取り出して、お父さんとお母さんに【今家に帰ってるとこ】と一言念のためメッセージを送っておいた。



ブブッ


「んっ・・・・父さん・・・だ。なんだろ」


返信がきて、スマホの画面をタップ。



【分かった。何かいいものは見つかった?ちょっと今お母さんとけいすけが外に買い出しに行ってるから、お昼ご飯はまだ待ってね】


「・・・・」



(買い出し?)


何か足らないものでもあったのだろうか。



【何も見つからなかった。ということで自由研究助けて。買い出しって、何か足らなかったとか?】



「・・・・珍しいな。やっぱ母さん体調悪いんかな・・・夏バテ、」


か、もしくは、また弟か妹ができるとか?



ブブッ


(はやっ)


お父さんからの返信がいつになく早い。既読をつけずにそのまま下にスワイプして読んだ。



【そうだね。卵と、あとついでにお菓子も買ってくるって。卵は昨日の夜使い切ったの忘れてたらしいよ】






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