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消えた弟  作者: しおやき
第一章 起

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13/73

材料集めと称して3





「分かった。何か困ったことがあったら言ってね。もし出来そうになかったら僕が手伝うよ」

「ありがとう」

「こうすけ、こっちで食べなさいよ。行儀悪いわよ立って食べるなんて」

「あ~、すぐ食べ終わるから」



一回席につくとなんだか席を立ちにくい。

後ろめたいことがあるから見透かされるのが嫌で、お母さんの注意を軽く流して、ヨーグルトを胃にかきこんだら流し台に空の皿を置いて水につけた。



「準備してくる」

「あら、もう?」

「うん。昼近くになると余計に暑くなるから嫌なんだよね。今の時間帯ならまだそこまで」

「まぁ、そうね」



お茶が入ったコップはそのまま手に持った。後で部屋で飲みながら準備をしようとこぼさないように慎重にゆっくり動かす。


部屋に戻る前に、けいすけはどうしたもんかとソファを覗き込んだら、後ろからお父さんの声がした。



「多分しばらく起きないよ」

「・・・・やっぱり?」

「うん」


(赤ちゃんか)


何も考えず何も気にせず好きに寝られるのは今のうちだけだぞと、心の中でため息。

部屋に戻ろうと持っているお茶に集中して、また新聞を読み始めた父親を横目に階段に足を向けた。




「・・・はぁ、上手くいった。良かった~、下手なことは言わないほうがいいよな」


お茶を机に置いて、必要なものをリュックにしまい込む。スマホは必須で、財布も必須。あとは、うちわに暑さよけのツバ付きの帽子と、メモ帳にシャーペンだ。



「こんなところでいいかな・・・飲み物は・・・あぁ~、まぁいいか。佐藤のおっちゃんに会えば分けてくれるか」


これから向かおうとしている場所は、よく知っているおじさんの家がある場所からそう遠くない。近くでもないけど、歩いていける距離だ。


「おし・・・・着替えて行くかな」



白い大きめのTシャツに、涼しい薄めの長ズボン。半ズボンだと草むらで虫に足をやられる。帽子を深く被り、リュックを背負って少しだけ気合を入れた。




タンッタンッタンッ


階段をかけ降りてリビングに行くと、さっき見た光景となんら変わらない。


「準備できた?」

「うん。行ってくるよ」

「何かあればすぐに連絡しなさい。あと、知らない人にはついていかないように。変な人にもだぞ」

「大丈夫だよ。父さんと違ってスマホは無くさないし。俺ガキじゃないからそんなの相手にしないから」

「はは。まぁそうだな」

「うん。じゃあね。また後で」


足早にリビングをとおりぬけようとしたらつかまってしまった。


「あぁ、こうすけ、お昼には帰ってくるのよね?」

「もちろん。昼飯食うよ」

「分かったわ。気を付けて行ってらっしゃい」

「うい」



(悪いなけいすけ、兄ちゃんちょっくら1人で調べてくるわ)


2人だけの秘密だから口に出しては言えない。

心の中で呼びかけてリビングをあとにし、家を出た。








「あちーっ」


家を出て数分しか経ってない気がするが、もう既にうちわで扇ぐ。


「お茶全部飲めばよかったな~、失敗した」



今日外に1人で出かけたのは、自由研究の材料集めと称して実はけいすけが言っていた『知らないおじさん』の正体が何なのかを確かめるためのものだった。



「あれだな・・・・夏休みだから居ないかもな。っていうか多分顔見知りだと思うんだよな~」



自由研究の材料ももちろん探すけど、本題はこっちだから9割方外にいる時間をそちらに費やすことになるだろう。


「・・・ちょっと温度下げてくれよ」



太陽を直視はできないからツバを押さえて少しだけ上を向いた。意味がないのは分かってる。すぐに前を向いて、足を前に進める。






「もうちょっと歩けば・・・・ってか喉かわいたな。おっちゃんいないかな」


目的地まであと少しだ。ここらへんはおじさんの家の近く。おじさんって言っても親戚じゃない。血縁関係なんて皆無だけど、そこが田舎の良いところか。知り合ったのはおじさんが去年こっちに戻ってきてからだけど、まるで昔からの知り合いのように話す時はお互いに壁がない。


「・・・あ、いる」



視線の先にはおじさんがいた。広い庭で何をしてるのかと思ったけど、いつものように庭に生えた草を刈っているようだ。



「お~い、おっちゃーん!!」

「・・・・おー、こうすけくんか、どうしたー?」


少し顔を上げて声の主を探すように、キョロキョロしたおじさんは俺を見つけて鎌を持った手を上げて左右に振っている。


近くに行くと、当たり前のように招き入れてくれる。



「ちょっと自由研究の材料探しにね」

「自由研究?はは、そうか。高校生も大変だな」

「本当だよー宿題とか、ぜんぜん休めないから・・・・あれ、それどうしたの?」

「ん~?あぁ、久下の爺さんに貰ったんだよ。話し相手が欲しいのかここ最近はよくうちに来てこいつを置いていくから・・・よっと・・・こうすけくんも食うか?美味いぞ」

「・・・・食べたい」



立ち上がったおじさんからふと視線を外した先には古びた縁側に、お盆が一つ。

そこに乗せて置いてあったのは切ってきれいに並べられた美味しそうな赤色が入った平らなお皿。



「冷蔵庫から出したばっかだぞ」

「すげ~、美味そうなスイカじゃん」



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