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消えた弟  作者: しおやき
第一章 起

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12/73

材料集めと称して2





今日は朝ごはんを食べたら1人で外に行こうとしていた俺は、二度寝したい気持ちを抑えて洗面所に向かおうとカーテンを開けてから部屋を出た。



「待ってよ~」

「待ってるから来いよ」

「ん~・・・」


のそのそと起き上がり目を擦りながら欠伸をしたと思ったら、またタオルケットにくるまりゴロゴロしている。


「先行くぞ」

「え~、やだぁ!!おんぶして」

「・・・・はぁ・・・けいすけ、おいで」

「・・・じゃあだっこ~」

「ダメ」



このまま置いていこうとしたけど、何だかあんまり気持ちの良いものではないと思って答えもなしに言うだけ言ってみた。


(こうすれば来るだろ)



「帰ってきたら面白い話してやるから」

「え!?」

「おいで」

「行く!!」



(なんてちょろい・・・・可愛いな)


ぐずぐずしていたのが嘘みたいにすぐに起き上がって走ってきた。開きっぱなしにしていたドアを抜けて俺のとこに来たけいすけはなんの躊躇もなく両手を上げて抱っこをせがむ。



「兄ちゃん・・・」

「・・・・仕方ないな、今日だけだぞ」

「うん!ねぇ面白い話って何?」


(よっ)


けいすけを抱くと、首元にしがみついてきた。汗でベトベトしてはないけどやっぱり暑い。



「ん~、まだ秘密。あ、そうだ、父さんと母さんには内緒だぞ。2人だけの秘密な」

「秘密?分かった」


「ふふっ」と笑いながら足をぶらぶらさせ俺の腕の中で今度は寝ようとしているのか体重を預けてくる。



「兄ちゃん大好き」

「なんだよいきなり」

「兄ちゃんは?」 

「好きだよ」

「えへへ」


(彼女か)



けいすけを落とさないように足元に気を付けて階段を降りると、お父さんとお母さんがもうそこにいた。


ダイニングテーブルにつきコーヒーを飲みながら新聞を広げているお父さんと、朝ごはんの準備をしているお母さんがいる。


「・・・・おはよう」

「あぁ、おはよう」

「おはよう」


2人とも特に変わった様子はない。


(昨日の・・・夜とはちょっと違う)



「あら、けいすけはまだ寝てるの?」

「いや、起きたけど・・・・気のせいだったかも」

「そうなの?」

「おかしいな、さっき目が開いてた気がしたけど」


しかも、確か話もしたような気がする。

はて、あれは幻だったのか?


「全くもう」


少しため息をつきながらお母さんが言った言葉になんとなく相槌を打った。


(やっぱり出るよねそのセリフ)



「重くない?」

「重いよ。多分寝てるわ」

「ソファに寝かしといてやりなさい」

「あぁ、そうする」


新聞を畳んでテーブルの上に乗せたお父さんは、柔らかい声色で言う。昨日の夜中にお母さんと話してた声と、俺の部屋の前で言った独り言とはまるで大違いだ。



「よいっしょ・・・・っと」


(まじ寝してるわ)


よくもまぁ、あんなに瞬間的にはしゃいでからすんなりと眠りにまた入れるもんだなと感心する。

けいすけをソファに寝かしながら、お父さん達のほうをチラリと盗み見して今日の予定をどう伝えようか少し考えてみるけど、昨日のこともあるから素直に伝えたほうがいいのだろうか。



(・・・でも)



けいすけの頭を撫でてから、洗面所に行き顔を洗って歯を磨くと鏡の自分と見つめ合った。


「どうしようかな・・・嘘・・・じゃないけど、本当でもない・・・」




頭を捻りながらリビングに戻ると、お母さんも席に着いていた。2人で何かを話しているけど、雰囲気はわりと穏やかだ。


「あ、こうすけ、朝ごはん何食べる?」

「ん~・・・何があるの?」

「え~とね、ちょっと待ってね」

「あぁ、いいよ。自分で準備するから」

「あらそう?」

「うん」



パンでも焼いて食べようか、それともヨーグルトとかで済ませようか。この後のことを考えるとなるべく軽いものを食べたい。



「ヨーグルトがあるわよ。パンは、ごめんなさい、今切らしてる。昨日炊いたご飯ならまだ冷凍庫に入れてあるけど」

「じゃあヨーグルトでいいや」

「それなら一番上の段に入ってるわ」

「分かった」



冷蔵庫を開けると、言われたとおり確かに一番上の段にある。手を伸ばして取ろうとして少し背伸びをした。


(なんでこんな奥に突っ込んでんだ?)



「・・・・・」


取り出したヨーグルトを深めのお皿にスプーンで何回かすくって入れ、これだけだと味気ないからイチゴジャムもついでにと上に乗せた。


(2人とも会話なし・・・今・・言っていいか)





「あのさ、今日ちょっとこれ食べたら外に出掛けようと思うんだけど」

「あら、そうなの?どこに行くの?」

「ちょっと色々散歩しようかなって」


席についている2人の方をわざと見ずに、ヨーグルトはそっちのけで冷蔵庫を開けて中からお茶に手を伸ばしながら背を向けて話しかけた。



「散歩?散歩か~、いいね」

「ん~・・・まぁね」


(これで終わればいいけど・・・)



お父さんからも何か言われるとは思った。余計なことを聞かれたくなくて返事は最小に留めたけど、手に取ったお茶をコップに入れてから振り返ると、お父さんと目が合ってしまった。



「・・・・・」

「お父さんもついていこうか?」

「・・いや、大丈夫だよ」

「そう?」

「う、うん・・・・実はさ、」



(あんまり、言いたくないけど)


「なんだい?」

「・・・・自由研究の課題がまだ決まってないから」

「あぁ、そういう事か」

「うん。まずは材料集めにね・・・だからちょっと散歩に。今回は自分でやるからお父さんになるべく頼らないようにしようかなって」






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