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敗北を知る相棒

「まさか、こんな形で役立つなんてな...」


賭けはうまくいった。門番はしばらく外に出れないだろう。あんな辱めを受けたのだから、すぐに立ち直れる方がおかしいというくらいである。

そんなわけで城内を探索してみているが、どうやらこの国はかなり平和なようで、兵士たちは昼間から飲んでいる。今のところ攻撃手段がイチモツしかない俺にとってはありがたい話である。

ひとまず今夜泊まるところを探す必要があった。宿屋はここに来る途中にいくつか目にしたが、金がないので当然泊まれない。大きなイチモツを持っている方は料金要りません!なんて宿があったら良かったのだが、そんな都合の良い話はない。ある訳が無い。もろちん、割引もしてくれない。

だが俺は賢いので、何も目的なしにほっつき歩いていた訳ではないのだ。そう、俺には武器がある。誰にも負けない最強の武器。暴れん坊が俺の股間には携えられているのだ。



「そこのお姉さん、俺と一緒にシない?」

なかなかにスマートな誘い方。これで女の子はイチコロだ


「すみません、急いでいるので...」


急いでいるなら仕方がない。そそくさと俺から離れていった彼女が、居酒屋に入っていったのが見えたが気にしない。きっと大事な飲みが入っていたのだろう。そうに違いない。



「貴方美人ですね、私と一発しませんか?」

丁寧さを重視してみる。これなら落ちるだろう。


「ありがとうございます。でもお気持ちだけで結構」

気持ちだけでも受け取ってくれたなら良い。そう、俺は紳士だ。無理なアタックはかけない。引き際を知っているのだ。



「俺、実は息子大きいんだけど、興味ない?」

真っ直ぐが一番だ。カブレラも思わず三振する全力のストレート。


「...間に合ってます」


俺のバットも空を切る。

ああああああああああああ!!!ふざけんなよクソ女どもが。なんで俺という超がつくほどの巨根を持った男からの誘いを断るんだ。おかしいだろう、俺は天性のプレイボーイのはずだろ!?なんで誰も振り向かない。ちょっとナンパでもしてあとは俺のエクスカリバーでスライムをつつけば好き好き!とか言ってホテル代のひとつくらいポンと出してくれるだろうと思ってたのになんだこの仕打ちは。



...忘れていた。失念していた。確かに息子は立派だが、その父親である俺は、ビッグどころか女友達すら出来なかった生粋の童貞であったという事実を。




その日、俺は路地裏で一夜をすごした。

その夜は、俺の息子も小さくなっていた。

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