大きくなった相棒
「あなたはこれから、超能力を持った勇者として異世界へと転生します。あなたが魔王を打ち倒した暁には、なんでも願い事を叶えましょう...」
異世界転生、特殊能力、女神との約束。
そんなありきたりで、だけれども非日常な光景を、俺は目の当たりにしていた。
そう、俺は今から勇者として転生します。
勇者として世界救っちゃいます。
どんな能力なんだろう、やっぱり俺にしか使えない剣とかあるのかな。それとも超強力な魔法を習得しているとか?いや、一周まわって超有能な僧侶とか!?
どんな形であれ、規格外なものに違いない!俺のサクセスストーリーが始まるんだ!!
そんな俺に与えられた能力は、それはもう規格外だった。
規格外の"モノ"だった。
「俺の俺が...あまりにもBIGだ...」
あの女神、何考えてんだ?何?超能力?コレが?
いや確かに立派だよ。そりゃもうどんな女性だって落とせちゃうよ。でもさ、俺勇者だよ?魔王倒すんだよ?世界救わなきゃいけないんだよ?イチモツじゃ世界は変えられないよ?
「文句言ってても仕方ないし、とりあえずちょっと歩いてみるか。」
実際、異世界に来たのは本当だ。俺の想像していた、中世な感じの如何にもな世界。ナーロッパってやつだな。もしかしたら他の能力も持ってるかもしれないし、仮に持ってなくてもこの世界で生活していかなければいけない。
しばらく歩いていると、大きな城を発見。早速お邪魔しようとしたその瞬間、重々しい金属音とともに門番が俺の前に立ち塞がってくる。まずい、やっちまったか...!
「申し訳ないが、旅人は入れない。立ち去れ。」
すみません、と呟いて引き返そうとする。
だが俺は閃いてしまった。俺は見逃さなかったのだ、門番は背丈が小さいことを。そして門番は、最初に断りを入れていたことを...!
俺は賭けに出た。
「これを見ても同じことが言えるかな」ボロン
門番は思わず二度見した。
俺の立派なイチモツは、どんな男も一度は夢見るビッグボーイ。
対して門番は、コンプレックスを抱えたシャイボーイ。
もはや勝負にならなかった。門番はひれ伏した。いや、精神が崩れたのだろう。コンプレックスを抱え、それでも門番という仕事をする上で舐められてはいけない、と強気に生きてきたのだろう。
しかし、隠しきれなかった。気づかれてしまった。
そして俺という現実を目の当たりにした時、彼の心は崩壊した。
「どうしてこの世界は不平等なのだろう...」
彼の残した言葉が、全てを物語っている。