43話 ジョーカー
現代 最下層の病院
ジョーカーは、妹 優実の手を握っていた。
優実は、かぼそい声で兄 ジョーカーに伝える
「お兄ちゃん?アタシはもういいの、後はこの病院で、いずれ植物状態になり死ぬだけなの、もう充分
これ以上アタシの為に犠牲にならないで‥」
ジョーカーは、何も言えず、只、手を握り返す。
こんな事を口走る「当てがあるんだよ、手術の金の、詳しくは言えないけど、早ければ一週間でカタがつく、逆に一週間でもどらなければ、優実の想像通りになる。俺も側にいてやれない‥寂しい最後になるが‥賭けてくれないか?俺に?覚えているか?
子供の頃のお祭り、射的に二人の有り金全部突っ込んだ時の最後の千円、お前は、黙って俺に賭けてくれて、取ったろ!あの〝ぬいぐるみ〟‥あん時と一緒だよ、兄ちゃんは、最後はやるんだよ‥一週間‥俺に賭けて、待っていてくれ」そう言って、涙ぐんだ目で、精一杯のウィンクをして、
「後でな」と言って病室を出た。
闇医者の診療所
ジョーカーは、手の甲の〝埋込端末〟の除去施術を受けた。
〝埋込端末〟を外すのは、犯罪者が殆どであった。
ジョーカーは、自信があった。
唯一の生還者、〝渋谷ショーン〟が体外人であることを、知っていた。
また、一度目の帰還の後もかたくなに、〝埋込端末〟を断ったことも。
〝埋込端末〟をなくす事は、戸籍をなくすも、同然であった。
でも、ジョーカーには、自信があった。
裏社会で、〝落伍者〟からの持ち込みデータを、〝はした金〟で買い取っていた。
ある日、エクストラエナジーのデータを売りにきた者がいて、〝タイムカプセル〟の製作図を手に入れたのだった。
ジョーカーは、全ての機器が、ソーラー充電に頼っていた事を知る。
〝太陽がなかったら、破綻する〟
そんな漠然とした空想がやがて、〝蓄電池〟を積み
只往復するという契約をエクストラエナジーに持ち込んだ。
ジョーカーは、帰ったら〝3億〟と言う金額を手にする事になっていた。
2050年
〝優実、待っていろ〟と心で呟き過去へ旅だった。




