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魔力ゼロの天才、魔法学園に通う下級貴族に転生し無双する  作者: 黄舞
第二章【天才、魔法の杖を作る】
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第二十五話【ユニコーンの気性2】

「な、なんなのあれ⁉」


 アムレットが心底驚いた声を上げる。

 それも仕方がないことだろう。

 俺の目的であるユニコーンに追われているのは、明らかに女装していると分かる男の猫の獣人だったのだから。

 おそらく元は純白のドレスだったのだろうが、逃げ回ったせいで土埃に汚れ、走りにくかったのか、大きく切り裂かれたスリットからは筋肉質の脚が見えている。

 顔はまるで子供のいたずらのような、化粧というのもはばかれるような真っ赤な極太の口紅や、目の周りや頬に塗られた朱の色が、滑稽さを誘う。


「なんだかわからんが、とにかくあいつがいるとユニコーンが落ち着いてくれなさそうだ。しかし……さすがに殺すのも忍びないしなぁ」


 獣人などの亜人は、俺たち人間からはモンスターとも同族とも見られる微妙な立ち位置にいる。

 要はそれぞれの価値観で評価が決まる。

 ドワーフであるガストンやエルフであるアメリアも亜人の一種だが、ある意味特殊な例だろう。


「わ、わ! マジで助けて! 誰か‼ あ! そこの君たち‼ 危ないよ! 逃げてー‼」


 助けてなのか、逃げてなのかどっちなのか分からないが、少なくとも咄嗟に得体のしれない俺たちに逃げろと言えるくらいだから、性根が腐っているやつではなさそうだ。

 俺は助ける選択肢を選ぶ。


「浮遊!」


 素早く唱えた魔法に乗って、俺の身体が高速で低空飛行を始める。

 見る見るうちに獣人の男へと近付いていく。


「わ、わ⁉ 逃げてって言ったのに、なんでこっちくんの⁉ しかも、ぶつかる‼」


 獣人の男へと向かって一直線に飛んでいく俺を避けようと軌道を変える。

 しかし、俺の方が機動力は上だ。


「わ、わぁ⁉ ……って。浮いてる⁉」

「ひとまず離れるぞ。お前と俺が居たんでは、せっかくの乙女の前でもユニコーンが落ち着かない」

「と、言うことは。助けてくれたんだね! ありがとう! 俺はシャーレオっていうんだ。ところで……乙女の前ってことは、あの二人は、つまりそういうことなのかい?」


 シャーレオと名乗った、獣人の言葉に、俺は思わず自分のうっかりに舌打ちをする。

 アムレットはわざとあそこに残したが、サーミリアのことを失念していた。

 ユニコーンが荒い気性を和らげるのはそ()()の前だけ。

 女なら誰でもいいというわけではない。

 しかし、サーミリアも学園の教師をやっているくらいだ。

 ゲイザーの時やここまでくる際の魔法の腕前を見ても、決して弱くはないだろう。

 どちらにしてもユニコーンの感知範囲から外れるために、俺とシャーレオはかなり上空まで上ってしまった。

 今から降下しても、ユニコーンとアムレットたちが遭遇するのが遥かに早いだろう。


「くそっ! 何とかうまくいっててくれよ!」


 すでに俺らからは地上の詳しい様子が視認できない距離にある。

 アムレットとは事前にユニコーンの角の取り方、上手く取れた後の合図に関しても打ち合わせ済みだ。

 もちろん予想外の緊急事態が起こった時の合図も。

 ひとまず、ユニコーンの感知範囲ギリギリまで降下して、俺はいずれかの合図を待つことにした。



 地上では――


「わー! ユニコーンの肌って、こんなに触り心地良いんですねー。きゃっ! くすぐったい! あはは。私の顔を舐めちゃだめですよぉ」

「うふふ。そうね。こんなに従順な下僕を得るのも悪くないかもね」


 シャーレオを襲っていた二体のユニコーンは、今やアムレットとサーミリアに寄り添い、二人と戯れていた。

 この様子だけを見えれば、確かにユニコーンは心穏やかな害のない生き物だと勘違いするのも無理もない話だろう。

 ユニコーンの角を取るという自分の役目もしばし忘れ、アムレットは――非常に限定的ではあるが――人懐っこいユニコーンとの戯れを楽しんでいた。

 サーミリアもまた、自分に頭を垂れてなすがままにされているモンスターが、どうやって見分けを付けているのか、興味津々で観察していた。

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新作ハイファン書き始めましたヾ(●´∇`●)ノ

千年の眠りから覚めた天才魔道具師は創りたい〜冬眠装置に誤って入った私が目覚めたのは、一度文明が滅びた後の未来でした〜

魔道具師が滅んだ千年後の未来で、コールドスリープから目覚めた天才魔道具師が、魔道具を創りたい衝動に駆られてあれこれ騒動を起こす話です。 良かったらこちらもよろしくお願いします!
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